軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

厚顔無恥

「こちらのサーカスでも同様ですぞ。フィロリアル様達、どうか和やかな雰囲気ではいけませんからな」

魔物商のテントの裏側にある待機所はフィロリアル様も近寄れる区画なのですぞ。

テントの奥は絶対に近寄りません。

「厳戒態勢ですわね」

「それくらい大事な時期なのですぞ」

フィーロたん計画にはしっかりと準備をしておかねばいけませんぞ。

「しかし、岩谷様に襲撃者が来る可能性は十分にあるのではないですか?」

ウサギ男が俺の提案するフィーロたん計画に疑問をぶつけてきますぞ。

確かに昨日から派手に動いてしまっている手前あり得る話ではありますな。

ですが問題は無いですぞ。

「その際はお姉さんのお姉さんが迎撃ですぞ。それだけの腕前があるので安心ですぞ」

「あらー」

「まあ……確かに腕はありますよね」

「そういう訳だからお姉さんとナオフミちゃんの楽しいデートタイムの始まりねー」

「お姉さんたちはパンダの村で待機ですな」

「なー兄ちゃん、遊びに行っちゃダメなのかー?」

キールがお義父さんに聞いてますぞ。

「うん。少しの間だけね。俺も不機嫌ってのがどれくらいしなきゃいけないのかわからないし、フィロリアル達は嘘を見抜くの得意だから不安なんだけどなー」

ちなみにお義父さんにはしばらくの間、助けることが出来なかったお義父さんの演技の練習はして貰っておりますぞ。

時々ポッと優しいお義父さんが顔を出しますがおそらく少しくらいは再現出来ていると思いますな。

「まあいいや……とりあえず再現として武器屋の親父さんの所に挨拶に行った後にリユート村に滞在しながら復興の手伝いをしてるよ」

「お願いしますぞ」

ふと思いますがリユート村で謎のレースをすることになるあのループは何だったのでしょうな。

気を付けねばならないのはクズあたりから領地権を樹が貰ったりする可能性ですぞ。

そうなると面倒ですな。

予測と異なる結果になりかねませんぞ。

それでもフィーロたんにはなりましたから大丈夫ですかな? ヒィ……。

「じゃあ行ってくるね」

「いってらっしゃいませですぞ。後は俺に任せるのですぞ」

「ちなみにボクたちはどうしたらよいのですか?」

「お義父さんの匂いを消したらお前たちは魔物商の手伝いでもしてればいいですぞ」

「そうですか。シオンはエクレールという方の介抱をしていますね」

ワニ男はまだ体調が万全ではないエクレアの所にいるようですぞ。

まあ、見た所すぐに本調子を取り戻すとは思いますがな。

「で、槍の勇者様は?」

「俺は城で報奨金をユキちゃん、クロちゃんと一緒に貰ってきますぞ」

波でのMVPはクロちゃんですぞ。

錬は背中に乗っていただけですな。

コウはゾウと一緒に村の者たちのお世話をしたいとのことなので留守番なのですぞ。

「クロちゃんも錬に会いに行きたい様子ですからな」

「うん。闇聖勇者が来るんだよね? ならクロも行くー」

「あんな状況なのに行ける精神は感嘆に値しますよ。ね、ヴォルフ」

「ヴァウ」

「貰えるものは貰う。これぞお義父さん直伝の処世術ですぞ」

そんなもの教えてない、と脳内のお義父さんが仰っているような気がしますが教えてくれたようなものですぞ。

「無くても十分稼げるというのに……」

このウサギ男は色々と小言がうるさいですぞ。

「ああ、そうですぞ。ウサギ男」

「それボクの呼び名ですか? なんです?」

「お前には大任がありますぞ。ピッタリな役柄ですな」

樹を相手に随分と皮肉が効いた笑みを浮かべるようですからな。

「後で俺がしっかりとLv上げをしてやるので防御と速度資質を極限まで上げてタフになるのですぞ」

「何をさせる気ですか!?」

「それは後のお楽しみですな。ああ、しっかりと俺の指定した演技をするのですぞ」

「割と命に関わりそうな事をさせようとしてます! 誰かボクを助けて下さい!」

「ヴァウ?」

「む……もう出発か。城に行くのか?」

エクレアがワニ男と一緒にやってきましたな。

「そうですぞ」

「では私も同行しよう……」

「エクレール様」

「シオン、お前はここに残ってくれ。事情を聴いた時の口ぶりからして、来られると騒ぎになる」

「ですが……」

エクレアはワニ男を睨んで黙らせつつ微笑みましたぞ。

「大丈夫だ。どうやら大人しく牢に入っていられる事態では無いようなのでな。お前の話ではキタムラ殿は腕が立つのであろう? なら問題あるまい」

「……」

ワニ男が俺を見ていますぞ。

エクレアを守れとでも言う気ですかな?

獄中死を阻止してやったのだから感謝するのですぞ。

「ワニ男、俺に任せろですぞ」

「非常に不安だが、承知した……エクレール様、無茶はしないでもらいたい」

「そうも言ってられん状況だ。シオンや皆が力を尽くしているのだからな……私も今出来る事をしなければならん」

「ははは……いってらっしゃいませ」

「いってきますわー」

「闇聖勇者、漆黒の爪牙が駆けつけるー」

シルトヴェルトの使者と最後まで騒がしいウサギ男とヴォルフが見送る中、俺達は城の方へと行きました。

城の門をくぐって朝の謁見を堂々としてやります。

あ、樹が居ますな。

相変わらず奴隷解放を宣言したい愚痴でも吐いてますかな?

「このままでは奴隷廃止をさせる方向に舵切りが……いえ、根本的な原因は……」

相変わらずのようですな。

記憶の樹よりも不機嫌そうですぞ。

で、樹は俺が来たのを確認した後、キョロキョロと周囲を見てますぞ。

何ですかな? 喧嘩を売る為にお義父さんを探してるのですかな?

「お義父さんは来ませんぞ。最初からそう言っていましたからな」

「そうですか……元康さん、貴方は?」

「貰えるものは貰いに来ました。お義父さんと俺は別ですぞ。クロちゃんが頑張ったのですからな」

「……まあ、確かに錬さんと活躍はしていたのは否定しませんよ」

ここは揺るぎようのない事実ですからな。

評価が低いのでしたらクズには相応の罰を与えてやりますぞ。

赤豚を引っ張り出して目の前で顔面を焼いてやりますかな?

調子に乗るのも大概にしないといけませんぞ。

勇者を怒らせた罰ですな。

ふと思ったのですが決闘をするパーティー会場の段階で虎娘をクズの目の前に持っていったらどんな反応をしたのでしょうな?

まあ、赤豚が居ると面倒な事になるのでしない方が良いとは思いますがな。

下手をすると虎娘がフレオンちゃんのように暗殺されかねません。

生憎と赤豚の毒殺に付き合うような真似はごめんですぞ。

「そちらの女性は?」

「お初にお目にかかる。私の名前はエクレール=セーアエットと言う。話に聞く限り弓の勇者殿と思われる。色々あったと聞いているが、よろしくお願いする」

エクレアが樹へ妙に格式ばった礼をしますな。

「ああ……あなたが尚文さんの言っていた騎士ですか。本当に、奴隷狩りから亜人を守ったのですか?」

「うむ、私の父が亡くなったのを良い事に奴隷狩りという暴挙に出た者どもを裁いていた所、捕縛されてしまってな。女王が来るまで牢で待っていたのだが、大人しく牢に居て裁きを待つ時ではない様なのでこうして出たのだ」

「……」

「弓の勇者殿、盾の勇者殿と共々、この国の抱える事情に巻き込んでしまった事、女王に代わって謝罪させてほしい」

樹は真偽を確かめたいと言った様子で配下の燻製に顔を向けてますぞ。

そいつはまともな事は言わないと思いますぞ。

下手に騒ごうものなら串刺しにしてやろうかと思って槍で威圧してやってると燻製は忌々しいと言った目つきで俺を睨んでいましたな。