軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

解放を意味する

「それはすまなかった。イツキ殿、では弓の勇者であるイツキ殿対盾の勇者の決闘をここに宣言する!」

形ばかりの謝罪をしてからクズはお義父さんと樹の決闘を宣言しました。

俺は黙って成り行きを見守ってますぞ。

ウサギ男に教育的指導をしてますからな。

いい加減面倒なのでしびれたウサギ男をワニ男に渡しますぞ。

「うわ、テオ……静かだと思ったらこんな事になってたの?」

「――ッ!」

「だが……そうだな。自分たちは盾の勇者様の雄姿を見届ける他ないようだ。槍の勇者……貴殿はもう少し加減をしてやってくれ」

はぁ……と何やらため息をされましたが知りませんな。

そうして城の庭に移動して決闘になりましたぞ。

痙攣しているウサギ男を見て最初お義父さんはギョッとしてましたが作戦会議ですな。

「色々と騒ぎになったけど、まあ上手く決闘に持ってこれたね」

「大丈夫ですかな? 黙っていましたが間に入って暴れても良かったのですぞ」

ワニ男に合わせて突っ込んで赤豚を嬲った後にクズをボコボコにして、エクレアは奪還して城から離脱という手もありました。

そしてお城は火の海ですぞ。

HAHAHA。

ですがお義父さんにお考えがあっての事ですからな。

この元康、心を鬼にして決闘を見守りますぞ。

「いやいや、黙ってくれて助かったよ。テオの扱いはー……まあ、テオは樹が相手だと妙に絡んだりするからしょうがなかったのかな……ごめんね」

「――」

お義父さんに謝られて麻痺しているウサギ男が大人しくなりました。

ちなみにワニ男にお姫様抱っこされてますぞ。

「この後の決闘、何か勝算があるのですかな? 有利になるとあいつらが余計な真似をしますぞ?」

樹を毒で弱らせた後に抑え込むと赤豚が妨害して、それを耐え抜くとクズが猛攻撃ですぞ?

「うん。大丈夫、相手がどんな行動をするのかわかってるなら対処はいくらでも出来るさ。まあ、元康くんはシオンとテオ、ユキちゃん達が間に入らないように見張っててくれればいいから」

「わかりました! 下手に動こうものならどんな手を使っても仕留めますぞ」

「いま……しとめる。言いました。この、ひと」

おや、ウサギ男の麻痺効果が切れたようですな。

追加のサイレンスランスをしますかな?

槍の穂先をキラリと光らせました。

「大人しくしてるからやめてくれ……」

ワニ男がそういうのでやめてやりますぞ。

ですが下手に動けば黙らせますぞ。

「ま、まあ……ほどほどに。シオン、大丈夫だから」

「……リベラシオンだ」

「え?」

「自分の本当の名前はリベラシオン。父とセーアエットから聞いた意味は解放を意味すると聞いた。盾の勇者を信仰し忠義を尽くす血族の掟からの解放を望んで名づけられた」

そんな自分が何の因果で盾の勇者に忠義を尽くす事になるとは運命とは皮肉な物だとワニ男は続けましたぞ。

「偉大なる盾の勇者様、自分は貴方の武器にして力となりましょう。どうか自分が堪えられるほどの戦いをしてくださることを祈ります」

「ああ、みんな心配性だからね。大丈夫さ。見ててよ」

と、お義父さんはワニ男との話を終えて樹の方へと歩きだしました。

「なんとも大変な騒動になってますわ」

俺と同じく黙って成り行きを見ていたユキちゃんが仰いました。

そうですな。

「ブー……面白くないー早くコウ帰りたい」

「コウ、このやり取りを村の子たちに話せばワクワクして聞いて下さいますわよ」

「えー? そうなのー? でもコウ、面白く話せるかわからないーエルメロに教えてもらうー」

ユキちゃんとコウは微笑ましい話をしておりますぞ。

「さてと……じゃあ始めようか」

さて、決闘がもうすぐ始まりますな。

ちなみにお義父さんは魔法を……一応習得出来ました。

間に合いましたな。

ウサギ男と勉強した結果、習得出来たとの話ですぞ。

なのでメルロマルクに留まったループのお義父さんより出来る手札は多い状態なのですぞ。

記憶の中のお義父さんと樹の決闘によく似た状況が目の前で展開しておりますぞ。

今のお義父さんは俺の話を聞いて更なる勝算があるようですがハラハラとしますな。

この公開処刑に等しい茶番をお義父さんはどういった作戦で盛り上げて下さるでしょうか。

不安は多く、それでありながらワクワクとしているのは非常に失礼でしょうな。

ワニ男とウサギ男が捕らえられる事無く見守る状況ですぞ。

「では、これより弓の勇者と盾の勇者の決闘を開始する! 勝敗の有無はトドメを刺す寸前まで追い詰めるか、敗北を認めること」

あの時と同じくお義父さんは準備と構えをしております。

やはり作戦は樹をカウンターで毒にしてそのまま毒が回りきって倒す作戦なのでしょうか?

何度だってここで間に入ってお力に成りたい衝動に駆られるのですぞ。

やっても良いのですがそれはお義父さんの望む展開ではないとの話……ままなりませんな。

エクレアを助ける為にお義父さんはここで戦うというと非常に誤解されそうですぞ。

エクレア等、真実を話して檻から出せば勝手に出てくると思いますな。

女王に会いたいようですからそのまま出荷すれば良いだけなのですぞ。

「弱職の尚文さんと戦っても結果がすぐに出てしまいますが、正義の為です。早めに負けを認める事ですよ」

「樹に教えてやるよ。大抵のネットゲームじゃタンク職と言われるのは対人じゃそれなりに強いんだ。攻撃できない盾の恐ろしさを、お前に叩きこんでやる」

お義父さんの挑発ですな。

ゲーム知識を妄信している樹に現実を叩き込んでやるのですぞ。

「何より樹、そろそろ君も気づくべきだと思うよ」

「……好き勝手しておきながら罰を受けずにいるあなたの話など聞きません!」

「引くに引けない状態にしちゃった件は謝っておくよ。まあ……また不快な思いをするだろうけど正義感に溺れた報いだと思ってね」

お義父さんの慈悲を樹は蹴りましたな。

さすがのお義父さんも猶予は過ぎたとばかりに答えました。

この樹にはお灸が必要なのは間違いないですぞ。

記憶の中の真実を知る樹も満場一致で抗議はしませんからな。

ですがなぜか俺に余計な真似はするなと注意してますぞ。

余計な真似とは爪楊枝サイズに槍を変えてエアストジャベリンとかを放つことでしょうかな?

赤豚が魔法を放つと同時に樹の頭にぶっ放してやっても良いですぞ。

一瞬で昏倒しますな。

ですがお義父さんが何か考えがあるので黙って見ているとしましょう。

むしろ堪えきれなくなったワニ男とウサギ男が余計な真似をしないように見張るのが俺の使命ですぞ。

「では――勝負!」

司会が開始の合図をすると同時にお義父さんと樹が動きましたぞ。

「うおおおおおおおおおおおおお!」

「はぁああああああああああああああ!」

で、前と同じく樹がバックステップをしながら弓を引き絞って駆けるお義父さんに矢を放ちました。

当然お義父さんは矢を掴んで止めますぞ。

「なに!?」

お義父さんを止められると思ったら大間違いですな。

記憶の通りに樹はそのまま距離を取りながら即座に矢を何本も放ちますぞ。

「狙いは正確だが、それだけだな」

お義父さんはエアストシールドを使うことなく矢を盾で逸らしながら樹に向かって一直線に向かっていきます。

なんと! スキル無しで樹の攻撃を捌くまで技術が上がっているとは驚きですぞ。

ですがこのお義父さんは奴隷たちとの付き合いで訓練をしていたのですから出来て当然なのかもしれません。

ヴォルフと遊ぶ際に結構機敏に動き回っておりましたからな。

更にパンダと老婆の稽古にもある程度参加しておりました。