軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

闇の道

「さっさと走って逃げろ!」

「ブ、ブヒ!」

雑種のリザードマンの声に豚は頷いて逃げますな。

「……」

雑種のリザードマンは避難した豚が逃げ切った後、波の亀裂を黙って見てますな。

そして徐に近寄る次元ノ屍食鬼を屠りました。

「皆さん! ばらばらに逃げないで、1か所に固まって! こっちには魔物は居ませんし、腕の立つものが守ってます!」

ウサギ男が俺とフィロリアル様の警備網が敷かれている所に村の者たちを避難させてますぞ。

想像と違いますぞ。

もっと村の外、波の亀裂から離れた所へと案内しろですぞ!

「ブブ」

怠け豚はどこから出したのかウサギ男が指定する逃げる先を示した立て札を立てて棒立ちになってますぞ。

どこまで怠け者なのですかな!

「エアストシールド! シールドプリズン! 本当、無数に魔物が出て来るな。ヴォルフ!」

「わおーん!」

お義父さんが落ち着いたヴォルフの背に乗って出した盾を足場にしながら攻撃指示をしてますぞ。

縦横無尽に動くその姿は中々様になりますな。

スタッとお義父さんは雑種のリザードマンの隣に着地するとヴォルフから降りましたな。

「ここにヴォルフがいるとどんな流れ矢が来てもおかしくなさそうな気がする。シオン、波のボスの所に……行ってきてくれないか?」

「……持ち場を離れろという事か?」

「錬や樹が終わらせてくれるとは思っているけど、シオン、君も本当は行きたいんだろう?」

「自分は……」

「何か答えを出せるなら行け、行きたくてしょうがないんだろ? ヴォルフ、お前もな」

「わおーん!」

「お義父さん、俺はどうしますかな?」

「元康くんはフィロリアル達を守りたいんでしょう」

おや、知られてしまってますな。

本音で言えば次元ノキメラを出来る限り奇麗に仕留めたい所ですな。

ただあまり力を入れ過ぎると肉が吹き飛んでしまうので加減しないといけません。

狙いは正確にですな。

「まあ……国の兵士が駆けつける前に終わらせたい。時間は残ってない。シオン……」

「……わかった。配慮、感謝する。行くぞヴォルフ!」

「わおーん!」

という訳で雑種のリザードマンとヴォルフが走って行きました。

「はああああああああ! ふん!」

「ヴァウ!」

と、メルロマルクに留まったループでサクラちゃんが仕留めた大型の次元ノ屍食鬼を雑種のリザードマンとヴォルフが容易く屠ってそのまま走って行きました。

「大型魔物もあんな簡単に……二人ともやりますね」

「テオも武勲を上げたいかい? 国は評価しなくても俺が見てるよ。あっちの方で報告してもいいし」

「興味が無いわけではないですけどボクが活躍できる隙間はあそこには無いですよ。それくらい、シオンとヴォルフは実力がありますからね。何よりクロさんもいるのでそう掛からないでしょう」

「そうだと良いんだけどね」

「むしろ混乱している村人を如何に負傷させずに守るかが大事です。兵士たちが岩谷様を攻撃するかもしれないので村人たちにも飛び火しそうな所にいてほしいです」

と、ウサギ男はお義父さん直伝とばかりのオーラを纏った笑みをお義父さんに向けてますな。

お姉さんもお義父さんにすることのある笑みですぞ、あれは。

「テオ……君ね」

「それくらい、この国の者はしかねないと思ってますよ。ならボクたちは村人たちを守りつつ彼らには兵士たちに攻撃された際の目撃者兼被害者になって貰えばいいのです」

「はあ……腹黒ムーブもほどほどにね」

「処世術と思ってほしいです」

「本当、口が回るようになってきたね、君は」

「岩谷様達に鍛えられましたからね」

フフ……と、ウサギ男が笑ってますぞ。

遠目で確認すると城の方から兵士共が……少ないですな。

一体どうしたのでしょうかな?

そう思ったのですが、そういえばこのループに来た時に国境の砦にいた兵士と騎士団長とやらは俺が仕留めていたのですな。

その抜けがまだ補充されていないという事でしょうか?

もしくは盗賊に偽装した三勇教徒に兵士も混じっていて本格的に兵士が足りないという所でしょうか。

別部隊で駆けつける予定だったゾウとキールたちの方が駆けつけそうですぞ。

ルナちゃんに乗ってキールがどんどん近づいてきてますな。

「さてさて、キールくん達が来る前に終わらせられるかな。元康くん。そろそろ準備をお願い」

「わかりました。ユキちゃん! フィロリアル様と他の者たちの護衛を頼みますぞ」

「わかりましたわ!」

さて、それでは誰に乗って現地に向かいましょうかな?

いえ……ここでやってやりますかな。

「では行きますぞ! ドライブモードを」

「却下! 元康くん。いずれやる演目なんだからさ」

くっ……お義父さんにお披露目をしてはいけないと注意されてしまいました。

「ではコウ、お願いしますぞ」

「えーコウ、この子たちを守っておきたいのにー」

コウが村の子供たちを守りたいと仰ってますぞ。

おお……このループのコウは子供を守る意欲が他のループよりも強く感じますな。

メルロマルクに留まった際には食いしん坊さんだったのにですぞ。

これもゾウの教育の賜物ですかな。

「コウ、その子たちは俺たちに任せて良いよ」

「ええ、早く波を終わらせましょう。シオン達の尻を叩くには良いですね」

「うー……わかったー」

コウが渋々と言った様子で俺を背に乗せて走り出しましたぞ。

そうして波の亀裂の方へと行くと。

「とー! 闇聖勇者ー神魔滅殺闇ー」

「勝手に技名を作るな!」

クロちゃんが錬を背に載せて素早く次元ノキメラを翻弄しながらとどめの技を放つように要請してましたぞ。

「ヴァウウウ!」

「フン!」

その間に雑種のリザードマンとヴォルフが次元ノキメラの頭を各々丁度叩きつけて切断してますな。

中々の威力ですぞ。

「ガアアアアアア!」

「思ったよりやりますね」

樹も矢を放って目を潰しているようですな。

かなり楽勝の次元に見えますぞ。

「じゃあ行くよー」

シュン! っとクロちゃんがフィーロたんを含めたフィロリアル様が得意とする加速魔法で加速して通り過ぎますぞ。

「ガ、ガアア――!?」

「ぶー、神魔滅殺闇ーじゃなくて神魔殺魔爪になっちゃってるー」

「わ、訳の分からない技名を付ける、な!」

直後、ドスンと音を立てて次元ノキメラは絶命しましたな。

仕上げはしっかりとしますぞ。

俺はすかさず波の亀裂に攻撃を加えて波をしっかりと鎮めましたぞ。

ワインレッド色の空が消え去り、晴れやかになりましたな。

「まあ、こんな所ですな」

俺が来るまでもなく仕留められましたな。

クロちゃんの成長は中々のもののようですぞ。

雑種のリザードマンとヴォルフに関してはまあ足手まといにはならなかったのではないですかな?

「何が……う、……こんな所だ」

ドサッと錬がクロちゃんの背中から滑り落ちました。

「レン様!」

「闇聖勇者どうしたのー?」

「ぎぼぢわる……い」

ゲロゲロと錬がその場で吐いてましたな。

ああ、フィロリアル様のお背中に初めて乗って酔ってしまわれたのですな。

錬はそのままぐったりしてますぞ。

「フィロリアル様の高貴な酔いですな。乗り慣れてないからそうなるのですぞ」

「あれだけ縦横無尽に動き回っていたら酔いもするでしょうね。むしろよく放り出されず戦えたと感心しますよ」

おや? 樹が敵愾心無く錬に言いますぞ。

クロちゃんの背に乗って錬は活躍したようですな。

すべてクロちゃんのお陰なのですぞ。感謝するのですぞ。

「おー! またクロの背に乗って闇聖勇者としての闇の道<ダークレジェンド>を歩むのだー」

「ふざける……な。うぐ……」

「レン様!」

「大変ー、じゃあクロが運ぶね」

「い、いや! 良い! 俺は元気だ! うぐ……さあ獲物を山分けにするぞ!」

クロちゃんが運ぼうと提案すると錬は青い顔のままフラフラと立ち上がって元気をアピールしました。