軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

年下に優しい

「クラスアップをさせてくれ」

「ブブヒー」

そのような流れで錬の仲間のクラスアップが行われていました。

ちなみに樹の仲間はクラスアップが出来ないはずとニヤニヤしながら俺たちを見てましたぞ。

滑稽とはこの事ですな。

「クラスアップで選ぶのは敏捷を重視しろ」

この頃の錬はゲーム知識で指示を出してましたな。

なんとなくメルロマルクに留まったループを思い出しますぞ。

思えば前回のループは既に錬と樹とは和解していて平和になった後のループでしたし、その前は第二の波……フレオンちゃんと再会したループでした。

槍の精霊が初期のループに飛ばしてくれたのですが懐かしく感じますぞ。

樹も仲間たちにクラスアップ先の指示を出していますな。

錬はともかく樹の仲間は揃いも揃って論外な連中ですからな。

精々リスーカですがこの頃にはいません。全くの戦力外ですぞ。

フィロリアル仙人にコンタクトを取ってフレオンちゃんを樹に派遣するのは何時頃にしましょうか。

まあ、前回の樹が出来る限りフレオンちゃん以外の手だてを考えてくれとお義父さん経由で命令していたのでやむなく考えますが本当にウザいですぞ。

最終手段として本当に間違えるまでは猶予をでしたな。

三勇教騒動前後くらいを目処にしてやりましょう。

ウサギ男が樹を相手に舌戦をしていましたし今回は見逃してやるとしますぞ。

で、この時にクラスアップできるか否かで錬に国への不信感を持たせる方法がありますな。

既にウサギ男が説明しているので錬も耳にしたという事になりますぞ。

「ではここでボクたちがクラスアップが出来ないことを証明しましょうか」

ウサギ男がまたも自己主張しますぞ。

どうも樹の態度が本当に不愉快だったようですな。

「ほう、クラスアップできるのか。お前は……足が速そうな感じだな」

どうやら錬はウサギ男の耳を見て判断したようですぞ。

実際は能力の伸びが悪く、魔法習得をメインにしているので速さは不安ではありますな。

「そりゃあ出来るでしょうね。最低限のLvはありますよ」

「じゃあ波も近いんだ。やっておいた方が良いだろ」

「クロもやるー闇の魔法が使えるようになりたーい。闇聖勇者ーこの漆黒の爪牙、ぶらっくさんだーに闇を授けてー」

「……」

錬がまたもお義父さんの方へと視線を向けてますぞ。

そういえばクロちゃんは闇系統の魔法が使いたいそうですぞ。

ブラックサンダーことクロタロウも同様でしたな。

ですがクラスアップでも闇魔法の習得は出来なかったとの話でした。

適性や血筋などの関係がこの辺りはあるようですぞ。

ルナちゃんは闇魔法の使い手なのですがな……なんとも難しい話ですな。

「え、選べばいいんじゃないか」

深くため息を吐いた錬が諦めたようにクロちゃんの言い分に応じますぞ。

「わーい」

トコトコと錬の指示でクロちゃんがクラスアップをしようと前に出ますが三勇教の者たちはブツブツと内輪で囁き始めましたぞ。

「ブブブ」

「だから俺が許可をしたと言っただろ。元康の仲間らしいがさせろと言ってるんだ」

「ブブブ」

「おい。何を屁理屈を言っている。お前らが世界の為に頼んだんだろ」

さすがの錬も訝しみ始めましたぞ。

「ブー……闇聖勇者ークロ出来ないの?」

クラスアップをさせて貰えないことにクロちゃんが錬に尋ねますぞ。

純粋な顔で親し気にしているクロちゃんに錬も突き放すことが出来ずに三勇教の豚共に抗議しましたな。

錬は後輩育成をしていたのだろうとお義父さんが仰っていましたな。

年下への面倒見はそこそこ良いらしいですぞ。

嫌がっては居ますが嫌ってはいなかったんだろうと後にお義父さんは仰ってましたぞ。

なんだかんだ錬とクロちゃんは相性がいいのですぞ。

クロタロウことブラックサンダーとよく絡んでいますからな。

闇に目覚めるのですぞ。

「ブブブ、ブブヒ」

「金銭? 勇者の仲間なんだから必要ないとお前等が言ったんだぞ。現に俺の仲間は無料だっただろ」

「ブ、ブブブヒ」

「紹介状だ? 同様だ。ふざけるな! じゃあ俺が許可した。それが紹介状になるだろ」

「ブブブ」

黙っていても豚共が自爆して次々と錬に論破されていきますな。

「尚文が王に謝罪しない限り許可しないだと? あの時の茶番をいつまで根に持っているんだ? 何より尚文ではなく、俺が許可しろと言ったんだ。尚文は関係ないだろう」

ふむ……思ったよりも展開が変わるものですな。

「というよりいい加減にしろ、そんな取って付けたような言い訳をするとはどういうことだ!」

「そうです! 実の娘を強姦されそうになったんですから許可するはず無いじゃないですか!」

「樹、お前もいい加減にしろ!」

俯くクロちゃんの姿に俺の知る記憶の錬よりも感情を露わにして錬は樹に怒鳴ったのですな。

思ったよりも錬はクロちゃんに肩入れするみたいですな。

そういえば以前、お義父さんが錬は年下に優しいとか言っていた気がしますな。

きっとその部分がクロちゃんに反応しているのでしょう。

「元康、尚文。何かおかしいぞこの国は……まるで尚文を迫害するために王や王女……国が行動しているんじゃないか?」

「ブブー! ブブブブ!」

クロちゃんがいると特に刺激しなくても錬は真実に行きつくのですな。

やはりフィロリアル様との交流がより良い方向に導いてくれるのですぞ。

これも発見ですな。

まあ、新たな可能性という事で真実を話してやってもいいでしょう。

場合によっては樹も話を聞くかもしれませんぞ。

「いや……亜人獣人はクラスアップ出来ないと尚文の仲間が言ってたな。そこに何かあるな」

即座に錬はウサギ男とお義父さんに視線を向けました。

お義父さんは俺の方を見てどうするかを視線で尋ねて来ますぞ。

問題ないですぞ。何をしても今までとは異なる結果になるのですからな。

なので頷きますぞ。

「信じるかどうかは錬と……樹次第だけど答えるよ」

「ブブブヒ! ブブ! ブヒイイイイ!」

豚がひときわ大きな声で遮ろうとしてきますぞ。

「イツキ様! このような犯罪者の台詞などに耳を傾けては――」

「黙れですぞ」

素早く俺は樹の後ろにいた鎧にサイレントランスをぶちかましてやりますぞ。

「マルド!? 何をするのですか!」

樹が咄嗟に臨戦態勢に入ろうとしますがそこを遮るように錬が樹の喉元に剣を突きつけましたぞ。

「武器を抜く前に尚文の話を聞くのが重要だ。聞かれて困ることがあるからこいつらは阻止しようとしたんだろ」

錬はこの辺りの判断力はあるのですな。

「ブヒ――!?」

「ここはボクも岩谷様の話の邪魔をする方には黙っていてもらいたいですね」

おや? 豚にはウサギ男がナイフを喉元に当てて黙らせてますな。

雑種のリザードマンも何時でも戦えるように力を貯めているようですぞ。

「ですがいきなりこのような真似をして良いはずありません」

「そんな長い話でもないだろ? 簡潔に言えばいい。元康でも誰でも良い」

「……この国メルロマルクの宗教は三勇教と言ってね……盾の勇者と亜人獣人が敵と定めているんだよ。ただ、俺を理不尽に差別したら他の勇者が疑って協力してくれないし諸外国と角が立つ。だから――」

「罪をでっちあげた、と。なるほど……まあ真実かどうかはここの連中と樹の仲間が証明した様なものだな」

「……いつまでも争っては前に進めないと亜人獣人との関係を変えようと動いていた貴族も居たのだが、波で死んだ。これ幸いと貴族の領地にいた者たちは三勇教に狩られた」

雑種のリザードマンが補足をしましたぞ。

「どうしようもないな。それで世界を救えとは」

「レ、レン様!」

錬の仲間が不快感を持つ錬に一歩踏み出して声を掛けますぞ。

「お前らもか?」

「いえ、俺たちはレン様と共に行きます! 最初はそう思っていましたが、レン様と各地を見てわかりました。今はそんな事を言っている場合ではありません。盾の勇者様の仲間もクラスアップすべきだと思っています」

「……」

やや怪しんだ眼を錬はしていますが樹を抑えるために抜いた剣は仕舞いました。

合わせるようにウサギ男も武器を仕舞いましたな。