軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

クロちゃんと闇の剣士

「うん。やっぱり明日、波が来るんだね」

龍刻の砂時計で登録をして波の到来時間を確認しましたぞ。

明日の波は楽勝なくらい戦力は整ってますぞ。

まずはフィロリアル様の避難を優先、お義父さん達のお手伝いをしつつ波のボスであるキメラの討伐ですぞ。

前回の周回のお義父さん達曰く、フィーロたんを形作るキーは波のボスにあるとの話ですからな。

ふと思ったのですが今回の波はライバルの居る方の世界に繋がって居るのでしょうか?

……悠長に構えているとライバルが来るかも知れませんな。

決戦前の夜という事でお姉さんのお姉さんに頼んでお義父さんと楽しい夜を過ごして貰い、童貞を卒業して貰うようにしましょう。

「元康くん?」

「元康様、とても凜々しい表情ですわ」

「んー?」

「静かすぎるとは思っていた」

「変な事を考えているのではないですか?」

うっとりするユキちゃん、それに引き換え雑種のリザードマンとウサギ男が妙なクレームを付けてますぞ。

「問題無いですぞ。明日の波は怖がらずに挑むのですぞ」

「うん。大丈夫、みんな居るからね」

「ああ……だが……」

「気になる沈黙でしたね。妙な事……決戦前夜であるからと変な事をしない事を祈るばかりです」

尚、お姉さんのお姉さんにお願いした所、俺がお義父さんに夜に呼ばれて怒られてしまいましたぞ。

どうしたらお義父さんは童貞を卒業して下さいますかな。

優しいお義父さんは表向きは性的なものに興味があるように見えて非常に奥手なのですぞ。

臆病というより関心が表面的で実は薄い……性別が無いと言うアークと重なるのはこう言った所もあるのかも知れませんぞ。

きっとお義父さんは男女の友情は成立する事に全肯定するでしょう。

もちろん俺も肯定派ですが、恋愛も重要だとも思っていますな。

両方を尊重するのですぞ。

アークはドラゴンの親戚みたいな話をしていましたがここは明確に違うのでしょう。

ライバルやその血縁者を見ると違うのは明確、奴等は性欲の塊なのですぞ。

絶対に許しませんぞ。

なんて考えて居ると樹の声が聞こえてきましたぞ。

「おや? そこにいるのは元康さんと尚文……さんでは無いですか?」

記憶の通りに樹は赤豚を連れずに仲間と一緒に居ますな。

「なんだお前等? 何か集まりでもあったのか?」

丁度、錬も姿を現しました。

「わー」

クロちゃんが錬を見てピピっと反応して目をキラキラさせつつ距離を詰めて行きますぞ。

「別に何かある訳じゃ無いけど……」

「随分と暴れたからな……あのまま国を出て行ったのかと思ったがまだ居たのか」

「まあ、ちょっとね」

「そうか。アレから会う事は無かったが……尚文もある程度仲間が出来たようだな」

錬が俺とユキちゃんを見た後、お義父さんの後ろに居る雑種のリザードマンとウサギ男へと視線を向け……徐々に近寄るクロちゃんへと向かいました。

「羽の生えた……亜人か?」

「闇の剣士ー」

「なんだコイツ」

「クロちゃんですぞ」

「そークロの名前はクロ」

「……そうか」

錬はなんだかんだフィロリアル様のお姿を気に入っては居るようですぞ。

背中にある翼が錬の感性に引っかかるようですからな。

自身の背中に翼が生えた際は切除するのを先延ばしにしていたのですぞ。

「ねーお前の名前はなんて言うのー? クロと闇聖勇者<ブラッククロニクル>のディスティニーのバトルに身を置き、破滅の運命<カタストロフ>を阻止する戦いに挑もうー」

錬が困惑の一文字で彩られた顔でお義父さんと俺へと視線を向けますぞ。

なんとなく助けを求めるとも、話をする友達を見つけたとも取れる態度に見えますな。

「クロちゃんは錬を気に入ったみたいだね。ちょっと話し相手になってあげてくれない?」

「な……ちょっと待て尚文!」

「クロちゃん。その人は天木錬って名前で剣の勇者なんだよ」

「わかったー。レンは闇の剣士で闇聖勇者なんだねークロとお話して闇の運命<ディスティニー>に目覚めよー」

「ふん! 俺はそんな真似は好みじゃ無い」

錬が腕を組んで背を向けますぞ。

「わー」

クロちゃんの目が更に輝きましたぞ。

ここで話に合わせるのはクロちゃんの好みの展開では無かったのでしょう。

「まあ、勇者と言えば剣ってイメージはあるよね。クロちゃんが憧れる意味は分かるね」

「ふん」

「お義父さん俺はどうですかな?」

「槍を持つ勇者ってどっちかというと歴史とか架空戦記かな?」

「三国志ですな!」

「まあ……アレは偶像劇な所があるけど……」

そんなやりとりを少し眉を寄せつつこちらに近寄ってきた樹が見てましたぞ。

「尚文さん。あれだけの事をして国が風聞しているのに同行して下さる仲間が出来たのですね」

「まあね」

お義父さんは雑種のリザードマンとウサギ男に視線を向けてから頷きますぞ。

「……」

雑種のリザードマンはややため息が混じった同意をしているようでウサギ男は怪訝な目で樹を見てますぞ。

「「……」」

お義父さんと樹の両者に沈黙が支配しますな。

「ねー闇の剣士ー」

「勝手に変なあだ名を付けるな!」

背景で錬がクロちゃんと戯れております。

のどかな光景ですな。

クロちゃんのお陰で悪い空気が浄化されているように感じますぞ。

さてさて、分かってはいますが俺が進行役をするとしましょう。

「錬と樹は仲間をクラスアップさせに来たのですかな?」

「そう……ですけど」

「お前等は違うのか?」

ちなみに錬も樹も後方に仲間を連れては居るのですぞ。

「……まずは下見だ」

「おや? ご存じないのですか?」

雑種のリザードマンとウサギ男が錬の質問に対して答えようとしてますぞ。

「何をですか?」

「この国では亜人や獣人はクラスアップの許可が下りないのですよ」

「ほう……」

ウサギ男の返答に錬と樹の眉が跳ねますぞ。

「波が近づいているんだろう? なんでダメなんだ? こういう時こそ勇者の仲間には必要な事だろう」

「いえいえ、許可が下りないのは尚文さんが原因では? 国の信用が得られないと言う意味で。幼い子供を戦わせようとしているようですし」

「おやおや、それが世界の為に戦う勇者に対する行いですか? 頼む側がそのような事をするとは随分と世界を蔑ろにしているのでは?」

ウサギ男が樹の返答に対して素早く返しますぞ。

なかなかの煽りですぞ。

「そもそもユキちゃんとクロちゃんは俺のフィロリアル様ですぞ」

俺の仲間ですからお義父さんではありませんぞ。

現在、俺達が連れているのは俺がユキちゃんとクロちゃんでお義父さんは雑種のリザードマンとウサギ男、そして建物の外にヴォルフですぞ。

なので子供を戦わせているは通じませんな。

「岩谷様が何をしたと?」

「皆さんは知っていますか? 尚文さんは強姦未遂の前科を持っているんですよ」

「樹!」

お義父さんが堪え切れずに睨みました。

雑種のリザードマンが溜息を吐きますぞ。錬はため息をする暇は無いようで絡んで行くクロちゃんの方に意識が向いてますぞ。

「それくらいの押しがあればまだ良いんだがな。槍の勇者がしつこい位、盾の勇者に童貞を卒業しろと絡んでいるくらいだ。いい加減経験でもして大人しくなってもらいたいものだが」

なんですとー! とても大事な事なのですぞ!

おいトカゲ、どういう事ですかな!

「シオン!」

「別に良いだろその程度……まったく、まああれだけ催促されたら萎えるのは分からなくも無いが」

「岩谷様が強姦?」

怒るお義父さんを窘める雑種のリザードマンの隣でウサギ男が樹に答えますぞ。

この空気、ユキちゃんもうずうずしてますぞ。

ダメですぞユキちゃん! ここで思った賛同をするとお義父さんにお叱りをうけてしまうので我慢ですぞ。

俺はユキちゃんの手を握って我慢するように口に指を当てて合図を送りました。

ウサギ男は腹を抱えるように笑いますぞ。