軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

はぐれ魔物

「わあ……素敵なレースですわ」

ユキちゃんがフィロリアルレースを見ておめめをキラキラさせていましたぞ。

「ユキちゃんも出たいですかな?」

「出たいですわ!」

ユキちゃんはどのループでもレースが大好きですな。

「ですが」

ユキちゃんは拳を握りますぞ。

おや? 何か出たくない理由があるのでしょうか。

「今はユキはリーダーとして群れの統一と導きをしなくてはいけない身、もう少し群れの者たちの認識強化が済んでからですわ」

ユキちゃんはリーダーとして頑張ってくださるのですな。

確かにみんなまだノビノビとしていて統一感は薄い状況ですぞ。

ゾウの歌指導の時はみんな楽しく一緒に歌っておりますが、ユキちゃんとしてはまだ上手く行っていないのでしょう。

徐々にフィロリアルの皆様はユキちゃんの指示を聞くようになってきてますぞ。

後発育成でしたがユキちゃんはリーダーとして育って下さいました。

「がんばるのですぞ!」

「もちろんですわ!」

という訳で俺とユキちゃんはゼルトブルでしばらく時間を潰しましたぞ。

「これは……元康様とヴォルフの勝負みたいな場所ですか?」

ユキちゃんが闘技場を遠目で見て聞いて来ますぞ。

「あれは演舞なので少し違いますな。ですがお義父さんの話では奴隷達を戦わせるのも演目にするか考えているようですぞ」

お義父さんがサーカスの演目に戦わせるのを考えているのは見世物の鞭打ちが思いのほかきついからが理由のようですぞ。

怠け豚に任せても嫌だという事ですな!

雑種のリザードマンとウサギ男に戦闘を覚えるかと聞いて両者ともに覚えたいと答えたので三人の奴隷が各々勝負をする演目も視野に入れるのだとか。

ゾウと稽古をしている時に閃いたようですぞ。

問題は戦いを上手く見せると三勇教に目を付けられるので、ある程度制限を施した拙い試合にして見苦しい形にしないと行けないのではないかと言う怠け豚の話ですがな。

色々と面倒なのですぞ。

「ふむ……地味な試合が多いですな」

この時期のゼルトブルは賑わって居るように見えて闘技場の動きが鈍いらしいですな。

パンダもゾウもお姉さんのお姉さんも居ませんからな。人気闘士が居ない時期という奴ですぞ。

なので闘技場の歓声もそこまで聞こえないのですな。

……考えてみれば波が起って数日辺りにタクトがコロシアムを荒らしに来るのですな。

今回はどうやって奴を嬲ってやりますかな?

闘技場という公衆の面前で苦渋を何度も舐めさせてやるのも面白そうですぞ。

命すら賭ける裏コロシアムで問答無用で殺すのは面白みがないですな。

奴隷商人殺害を先回りして阻止して豚箱にぶち込む……いえ、生け捕りにして七裂島で豚共と一緒に出られないようにしてじわじわといたぶってやりますかな?

……うーむ。

存分に苦しめて殺すのは決定事項ではありますが同時に七星武器の回収をするのに利用するのに丁度良いのもまた事実なのですぞ。

なので……お義父さん直伝の盗賊は資源の如く、タクトは資源としてある程度泳がせるのが無難ですな。

少なくとも霊亀の頃までは泳がせつつ、適度に嬲って苦しめるのが良いでしょう。

七裂島魔王伝説殺人事件~新たなる殺人~とかが良いでしょうか。

問題は嵐を留める方法ですな。

前回はライバルが行って居ましたが俺では適正に問題があるのですぞ。

ふむ……色々と実験もしたいので閉じ込めるのは無理でもタクトだけでも生け捕りにして人体実験に使ってやるのは良いですな。

やられたらやり返せですぞ。

タクトで色々と実験してやりましょう。人体改造は俺も出来るようになりましたからな!

改造されたフィロリアル様の苦しみも味わわせてやるのですぞ。

何にしても調子に乗ったタクトはコロシアムで嬲るのは良い考えなのですぞ。

「元康様ーこちらは何の建物ですか?」

ユキちゃんが今度はゼルトブルの冒険者ギルドを指さしますぞ。

「ギルドですな。いろいろな雑務をこなすことでお金が貰える施設ですぞ」

「そうなのですわね。ではサーカスをせずにここでお金を稼ぐことも出来るのですか?」

「できますな。ですが俺達はサーカスで楽しくお金を稼ごうと決めたのであまり使わない予定ですぞ」

「わかりましたわ」

と、ユキちゃんと冒険者ギルド内を物色しますぞ。

「おい……はぐれの強力な魔物が出るらしいぞ」

「ああ、俺も聞いたな。賞金を掛けられたら狩れるか確認しねえとな」

なんて雑談が耳に入りましたな。

はぐれ魔物ですかな? 時々ある話ですな。

賞金が掛かったりするので腕に自信があれば美味しい仕事でしょう。

そう言えばお義父さんは魔物を引き寄せる性質があるのでは無いかと樹が言ってましたな……お義父さん達が遭遇する可能性がありますかな?

まさか……きっと大丈夫でしょう。

「おう。そういやメルロマルクの方で時々場違いなはぐれ魔物がよく居るって話だけど、あれって」

「ああ、あの国には居るんだよ。魔物を衝動で飼ってる貴族様が。よくゼルトブルの裏ルートで運ばされるってんで有名だぜ?」

ふむ……俺もまだゲーム感覚が抜けきらなかった頃に見たような気がしますな。

「ちょっと前に頭が二つ生えた犬を運ばされたぜ? あの魔物、何処が生息地だったか」

「東の方に生息するヌエって魔物もメルロマルクに運ばれるのを見たぜ? あそこの貴族は魔物好きな奴がいるもんだ」

「随分前にその貴族にクリームアリゲーターの卵を高値で売りつけた商人が金をせしめたって話もあるよな」

……そんな魔物居ましたかな?

「なんか変わった魔物を捕まえたらあそこの貴族に売るのが良いって話だぜ。ま、その後はどうなっても金にしかならねえからよ」

ちゃんと管理されているのでしょう。もしくはしっかり処理しているとかでしょうかな?

ふむ……奴隷を育てて売る考えをお義父さんはしてないようなので魔物の売買を提案するのは良いかもしれませんぞ。

シルトヴェルトやシルドフリーデン辺りの魔物を購入して育てて件の貴族に売る。

悪くはありませんな。

フィロリアル様を売る? 絶対にさせませんぞ。

む……ヒィ……フィーロたんが脳裏に過ぎりますぞ。あの周回のお義父さんが魔物の売買でお金儲けをして居たような気がしますので辞めた方がいい気がしますぞ。

「元康様ーこちらの街にはサーカスはありませんの? 演目の参考にする為に探すのが良いと思いますわ」

「そうですな。見つけてお義父さんに提案するのですぞ」

そうしてユキちゃんとゼルトブルでのお散歩と調査を終えてお義父さんとの合流地点で待っていると、何やらお義父さんがくたびれた様子でやってきましたぞ。

後ろにはやり遂げた表情のボロボロの奴隷達が居ますな。

何やら結束が深まったかのような顔つきで各々親しげに拳を合わせたりしてますぞ。

「お義父さんお帰りですぞ。何かありましたかな?」

「まあ……あったと言えばあったかな」

と、お義父さんは経緯を語ってくださいました。

何でも奴隷達を使って陣形の練習をしていたそうですぞ。

お義父さんが出てくる魔物を受け持ち、奴隷達が攻撃するという何時もの連携ですな。

基本的にこの陣形で戦うので戦闘経験が乏しかったお姉さんでさえも怪我無く戦えたという素敵な戦闘方法ですぞ。

Lvの均等化がされた奴隷達はそこで問題無く戦えていたようですな。

ヴォルフ、雑種のリザードマンとウサギ男と各々攻撃をしていたとか。

ただ、若干暴走気味のヴォルフが先行して手傷を負う等があったのはしょうがないそうですぞ。

問題はしばらく戦闘していた所で起ったとお義父さんは仰いました。

なんでも場違いに強力な魔物が出現したとの話ですぞ。

お義父さんが抑え込むにしても大きく、反撃で奴隷達が吹き飛ばされたりしていたとかで、しかも攻撃力が足りないと言った状況だったとか。

「みんな! ここは俺が足止めするから助けを呼んで! ゼルトブルで元康くんかユキちゃん辺りに!」

「で、ですが……」

「そんな真似を……」

「ヴォウウウウウ! キャン――!?」

と、ここでヴォルフがお義父さんの命令を無視して魔物に飛びかかって反撃に吹き飛ばされたりしていたようですぞ。

雑種のリザードマンとウサギ男は各々見合い……。

「うおおおおおおおおおおお!」

「はああああああああああ!」

逃走、ではなくヴォルフと同じく魔物に向かって飛びかかって行ったそうですぞ。