軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

雇用交渉

そんな訳で交渉の時間ですな。

俺はパンダ達のテーブルの椅子に腰掛けますぞ。

「……で、アンタはアタイ達に何の用なんだい?」

「お前達を雇用して仕事をして欲しいのですぞ」

「雇用……ね」

ゾウがユキちゃんとコウを手に乗せて微笑みながら呟きました。

「そこのエルメロはともかく、アタイに声を掛けてるって事をわかってるんだろうね?」

「もちろんですぞ」

パンダの事はそこそこわかっていますぞ。

お義父さんとは実は気が合うのと、初対面でかなり気に入るタイプのようですな。

どうやら初恋の相手である虎男の父親とパッと見の印象が重なるようですぞ。

「なんで私を除外するのよ。まあ、仕事内容によるかしらね。報酬次第って所かしら」

「まずは前金でこれでどうですかな?」

どん。っと、俺はフィロリアル様の購入資金にしていた金袋とメルロマルクの砦で拝借した金銭の一部をテーブルに置きますぞ。

交渉にはインパクトが大事と言いますからな。

「……へー随分と太っ腹な事だねぇ」

パンダがチラッと金袋に視線を向けつつ酒を面倒そうに飲みました。

「で、仕事内容は何なんだい?」

「一緒に来て欲しいのですな。そしてお義父さんの護衛兼、癒やしをパンダにはして欲しいのですぞ」

「はぁ?」

何やらここで記憶の中のお義父さん達が元康くんは交渉がド下手過ぎると嘆いていますが気のせいですぞ。

俺の交渉術はお義父さんには劣りますが中々の物なのですぞ!

「パンダって……ラーサの事かしら?」

「今アタイになんて言ったかもう一度言ってみな」

おや? 聞こえなかったのですかな?

「一緒に来て欲しいですぞ。そしてお義父さんの護衛兼、癒しをパンダにはして欲しいのですぞ。と言ったのですぞ」

「ボディガード兼奉仕ぃい? ふざけるんじゃないよ。アタイはアンタの父親の世話をする様な職業じゃないね。そういうのは専門の奴に任せな!」

アタイは傭兵だよ! っと何故かパンダは不快そうに断って来ましたぞ。

確かにお義父さんは将来のお義父さんですぞ。

世話というのは大げさですな。お義父さんの癒やしをして欲しいのですが違ったのですかな?

「私にもそれをやれと?」

ゾウが怪訝な目で聞いて来ますな。

「警護はそうですが、ゾウの場合はその子……コウとフィロリアル様のお世話をして欲しいのですぞ」

「「ピヨピヨ!」」

ユキちゃんとコウがゾウの前で跳ねて自己主張しますぞ。

ゾウは優しげな目でユキちゃん達を見つめております。

「大事な仕事なのですぞ。偉大なるお義父さん、盾の勇者の護衛任務なのですぞ」

おかしいですな。

パンダの食いつきが悪いですぞ。

「盾の勇者だぁ? はいはい。抜かしてな。アタイは興味無いね。ったく、冗談じゃないよ。馬鹿にするなら他でやってほしいね」

パンダはサッと立ち上がって去ろうとしていますぞ。

「待って欲しいのですぞ」

と、言った所でパンダがツメを出して俺の前で止めますぞ。

「アタイの手がその顔に食い込む前にうせな。そんな仕事はごめんだね」

別にお前の手が当たった程度ではどうにもなりませんぞ。

ううむ……交渉失敗ですかな?

無理矢理捕縛して連行する事も出来ますがお義父さんと仲良く出来るパンダですからな……しょうがないですぞ。

機会を見てお義父さんに勧誘をお願いしましょう。

きっとお義父さんなら上手く勧誘出来るでしょう。

と、立ち去って行くパンダですがゾウの方に振り返りますぞ。

「エルメロ、アンタは来ないのかい?」

「まあ金周りは良さそうだし、もう少し聞いてから判断するわよ」

「「ピヨピヨ!」」

「は、物好きな事で。じゃあ後でどうだったか土産話を期待してるよ」

そう言い終わるとパンダは配下と共に酒場を去ってしまいました。

ううむ……パンダは失敗、ゾウは話を聞いてくれるようですな。

「ではゾウ、仕事を受けてくれるのですかな?」

「さっきも言った通りもう少し聞いてから判断するわ。少々気になる話もあるしね」

「良いですぞ。ではお義父さんとフィロリアル様に会ってもらいますぞ。楽しく歌を教えて欲しいのですぞ」

「う、歌!?」

ゾウが若干怪訝な顔をしましたが、ピヨピヨと鳴くユキちゃん達を見て軽く咳をしました。

「……わかりました。まず案内してください。対象と話をしてから判断します」

「もちろんですぞ。PTに入って欲しいですぞ」

と、俺はゾウをPTに誘いました。

ゾウは早速受けてくれましたな。

「では仲間と合流してからお義父さんと合流しますぞ」

そんな訳で俺はゾウを連れてシルトヴェルトの使者達との合流しました。

「おや? 槍の勇者様、そちらの方は?」

「俺の信頼する良いゾウですぞ。俺が雇ったのですぞ」

「……傭兵のエルメロと申します」

家名を言わないのですな。

あの家名はいやなのでしょう。

何よりこの使者達は亜人なので家名から出自がバレるのを面倒に思っているのでしょうな。

「はあ……その方も連れて行くので?」

「もちろんですぞ。フィロリアル様達と仲良く遊んでもらうのですぞ」

「そうですか……こちらは関係各署に連絡し、入荷した奴隷の売買が終わったそうです。金銭はどう致しましょうか」

「出所の不明金なので適度な範囲での使用が良いですな。こちらに来た際にゾウに報酬としても支払って欲しいところですが、お義父さんに相談ですな」

「わかりました。では帰りましょうか」

「では行きますぞ! ポータルスピアですぞ!」

こうしてシルトヴェルトからお義父さんの元に帰還しました。

もちろん場所は考えて人目の付かない所からの合流をしますぞ。

「こ、これは――!?」

ゾウが絶句してますな。

文字通り目を白黒させていますぞ。

「では行きましょうか。盾の勇者様がお待ちですよ」

シルトヴェルトの使者が苦笑しながらゾウに案内を始めますぞ。

「ピヨ!」

コウはもうゾウと仲良しなのかゾウの上で元気よく跳ねてますぞ。

驚きの表情のままゾウを連れて俺はお義父さんの元に戻りました。

「あ、みんなおかえり」

お義父さんは広げられたテント内で奴隷達を相手に何やら打ち合わせをしていらっしゃった様ですぞ。

フィロリアル様達もお義父さんに命じられて思い思いに飛んだり跳ねたりしております。

三人の奴隷達から離れてこちらにやってきますぞ。

「お義父さん、シルトヴェルトで奴等の売買は終えましたぞう」

「悟られない範囲でこちらに反映しますね。こちらの先方との取引で話は通されることになっています」

「あー……うん。ありがとう、みんな。それで……」

お義父さんは俺の後ろに居るゾウへと視線を向けますぞ。

ゾウはお義父さんに対して萎縮するような様子で手を合せていますぞ。

そう言えば前回の周回でもお義父さんと最初に遭遇した際に納得したような話をしてましたな。

なんとなく感じるものがあるようですぞ。

「このゾウは良いゾウですゾウ」

「それは元康くんなりのジョーク?」

「とても良いゾウなのであちらで声を掛けて、傭兵として雇って来てもらったのですゾウ」

「ゾウ縛りで説明する気かな? 元康くんに覚えてもらっている良い人って事なんだろうけど……わかったよ。まずは自己紹介だね」

お義父さんはゾウに向けて挨拶をしますぞ。

「俺の名前は岩谷尚文、どうかよろしくね」

「俄かには信じられんだろがここはメルロマルクで、この方は本当に盾の勇者様だ。貴様も噂には聞いているであろう」

わかるな? と、シルトヴェルトの使者がゾウに言いますぞ。

「まあ……今はちょっと理由があってあんまり人に言えない仕事をここでやる事になってね。堂々と言えないけどさ」

「……なるほど、事情に関して承知しました。これは思わぬ大義のある大仕事に私は幸運にも誘われたと判断してよろしいですかね?」

さすがゾウですぞ。

事情を察するのが早くて助かりますぞ。

「そこまで大層なものかの判断は難しいけれど、そうなるかな」