軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

再度合流

そうして待っていると……見覚えのある亜人が操縦している馬車がトコトコと砦の方へとやってきました。

目を懲らすと馬車にはお義父さんがいらっしゃるようですな。

どうやら特に何か問題があった訳では無さそうですな。

「少々待つのですぞー」

サッと隠蔽状態を解除して俺は馬車の前に出て手を上げますぞ。

「おや……? あなたは槍の勇者様」

「え? 元康くん?」

ブルルンと馬車が止まり、お義父さんが馬車から降りて来ましたぞ。

「一昨日ぶりだね。どうしたの? 元康くん。 もしかして国外に出るから見送りに来てくれたの?」

「色々と事情があるのですぞ。なので少々話をしてほしいのですぞ」

「え? うん……」

ああ、お義父さん、懐かしいですな。

ループした際の最初のお義父さん、ある意味フレオンちゃんのようなお義父さんですぞ。

フィーロたんショックでぼんやりしている最中にも会ったかもしれないですが、それでも俺にとってのお義父さんですぞ。

「お義父さん。この先には厳重な警備網が張られていてお義父さんが国外に出ようものなら殺す算段を付けた連中がいたですぞ」

「え? そうなの? まあ……元康くんの話とシルトヴェルトの人たちの話を聞くとありそうだとは思ったけど、温和にいけるって話になってるって聞いたけど」

女王の言付けではそうなるでしょうな。

ですがそれを聞けない連中が無数にいるのですぞ。

「じゃあどうしよう? 迂回するとか密出国する感じになるのかな……」

「その心配は無用ですぞ。俺がズバッと解決しておきましたからな」

既にあの砦はもぬけの殻ですぞ。

「ですが話は色々と複雑な事情があるのですぞ。何を隠そう、俺はあれからループして戻って来たのですからな」

「え? ループしちゃってたの? どういうこと?」

「話せば長いのですがあの時の俺は四聖勇者の誰かが死ぬと召喚直後にループする状況でおそらくこの先でお義父さんが死んでしまってループしてしまったのですぞ。ですが今回はこのループの前日に戻って来たのですぞ」

「そっか……何か色々と複雑な事情が絡んでいるんだね。じゃあ、俺が殺されるのを阻止するためにこのループに戻って来てくれたって事なんだね」

「ですな」

「となると……これまでのループ経験も加味して、元康くんとしてはどうしたら良いと思う?」

ふむ……正直に言えば砦は既に陥落寸前ですし、ポータルを使えばシルトヴェルトに一瞬でいけますぞ。

お義父さんと合流出来たと言う事は安全が約束されたような状況でもありますし、出来る選択は非常に多いですぞ。

このままお義父さんをシルトヴェルトに送り出すのでしょうかな?

う……何やら記憶に霞が掛かっていますが、今までと違う方法を模索した方がいい気がしますぞ。

何より、前回のフォーブレイにみんなで向かったループのお義父さん達に色々と教わった事を試すのも良いですぞ。

アークとの出来事も脳裏に蘇っています。

お義父さんに気付かせるなと何か教えてはいけない話があった気がしますぞ。

ですが話が出来るものはありますぞ。

「お義父さん、シルトヴェルトに行こうとはしていらっしゃるでしょうが、俺の為に一緒に来てほしいですぞ」

「うん。元康くんのお願いなら付き合うよ」

「えー……」

そこでシルトヴェルトの使者が困った顔をしていらっしゃいますな。

「急な予定変更に関して申し訳なく思いますぞ。ですがシルトヴェルトにそのまま行くとそれはそれで問題が未来で起こったのですぞ」

「何が起こるのでしょうか?」

俺はシルトヴェルトの使者に未来の出来事を説明しました。

まあ、タクト関連に関しては事前に潰せますがな。

「途方もない話ではありますが、確かにあり得る話ですね」

「その気になれば一瞬でいけますぞ。ただ、シルトヴェルトに行くのは少々待って貰えないですかな?」

「一瞬……伝承には勇者様の力でその様な事が出来たと聞いた事があります。わかりました」

「と言う訳でお義父さん。ポータルで一度クロちゃんと合流してよろしいですかな?」

「うん。わかったよ。それじゃあ一旦帰ろうか。とんぼ返りになっちゃうけど」

「そうですな」

とは思いつつ、このループ、今でないと出来ない事をしっかりと整理しないといけません。

お義父さんをパーティーに勧誘し、シルトヴェルトの使者も招きますぞ。

「馬車はここに一旦置いておきますかな?」

「いえ、配下の者が近くの町へと届けておきましょう。後ほど使う可能性もあるでしょう」

「ですな。では行きますぞ。ポータルスピアですぞ!」

シュン! っと俺達はメルロマルクの城下町へとトンボ帰りをしたのですぞ。

「おお……確かにコレならシルトヴェルトへも一瞬でいけますね」

「あの時は出来なかったのですぞ」

これがループで得られる情報力ですな。

「この二日の行程が一瞬で消えちゃったようなものだけど……まあしょうがないよね」

「お義父さんはこの二日で何をしていたのですかな?」

「シルトヴェルトの使者の人やその仲間達と自己紹介をした後、道中を馬車でゆっくりと移動してたね。途中で宿に泊まったりしたけど何か騒がしくてね。警戒しながら何回か移動をね」

なるほどですぞ。

行き違いが起こってしまわれたのですな。

「あ、もとーおかえりー」

クロちゃんが宿に帰ってきた俺達を出迎えて下さいましたぞ。

「ピヨピヨ」

フィロリアル様のヒナたちもお出迎えですな。

Lv上げをする前でしたので成長はまだしておりませんな。

「あ、なおだ。おかえりー」

「えっとー」

お義父さんがクロちゃんを見て小首を傾げていますな。

どうやら天使姿のクロちゃんがフィロリアル姿と繋がっていらっしゃらないようですぞ。

「クロちゃん。フィロリアル様のお姿になると良いですぞ」

「わかったー」

ボンッとクロちゃんはフィロリアル姿になって下さいましたぞ。

その姿はブラックサンダーとあんまり変わりませんな。

敢えて言うならブラックサンダーよりも目が温和な印象を受けるでしょうかな?

「わ、本当にクロちゃんなんだ!?」

「うん。なんか愛の狩人がね、宿命<ディスティニー>を思い出したのか、なお……絶対障壁<イージス>を追いかけに行ったんだよ」

「ああ……そうなんだ。随分と個性的な単語を使うね、クロちゃん」

「カッコいい?」

「そ、そうだね。もしかしてずっと前からその口調だったのかな……」

お義父さんからお褒めの言葉を頂くとクロちゃんはご機嫌に微笑んで下さいました。

「フィロリアルって凄いね。元康くんはフィーロちゃんを探すって言ってたけど、どう? 見つかりそう?」

「もちろんフィーロたんを見つける事は出来ました」

「それは良かった」

そうですぞ。フィーロたんはサクラちゃん。

そしてこのループではまだサクラちゃんは孵化しておりません。

ですのでフィーロたんにもなってくださるループですぞ。

これは幸いですな。

前回のループでお義父さん達が仰っていたお義父さんを傷つけずにサクラちゃんをフィーロたんとして育てる手立てを試せる絶好の機会ですぞ。

その為にも早い内に卵を確保しておかなければいけませんな。

思えばこの頃にフィーロたんになるサクラちゃんの卵はメルロマルクの魔物商人の所には無いのですな。

「早速フィーロたんを回収……と、行きたいのですがそのままフィーロたんの卵を孵化するとフィーロたんではなく、サクラちゃんになってしまうのですぞ」

「そうなの?」

「サクラちゃんはサクラちゃんとして大事なフィロリアル様ですぞ。ですが今回は前回出会ったお義父さん達に教わったフィーロたんと出会う方法を試したいのですぞ」