軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

槍の精霊

あの日の夜? アークと話をした夜の事ですかな?

何にしてもまるでライバルの姿を真似た別人みたいですぞ。

いえ、別人ですな!

「お前は誰ですぞ! 俺をこんな所に閉じ込めて何をする気ですかな!」

「おや? すぐに気付いちゃったか。だけどお前は誰だなんて連れないじゃないか、ずっと君と一緒に居てあげているって言うのに……」

と、なんとも薄ら寒い笑みでライバルの皮を被った奴は俺に答えますぞ。

「君の奇怪な走行スタイルにも付き合っている相手に少しは敬意を払って欲しいんだけどなー」

「奇怪とは何ですぞ! フィーロたんと愛のランデブーをする高速移動スタイルですぞ!」

俺のドライブモードに文句があるのですかな!

ですが付き合っているとはどういうことですかな?

どうも記憶が曖昧ですぞ。何処かで俺はこんなライバルモドキと出会っていましたかな?

「相変わらず鈍感だね。まあ、そうでもしないと君の世界じゃ許されないか」

周囲の状況から類似を考えますぞ。

そこでふと、お義父さんがタクトの攻撃で倒れた際に虎娘と話をしたとの話が浮かんで来ましたぞ。

「お前は……」

「そう、ご明察だね。君の考えは筒抜けだよ。もう随分と一緒に居るからねー、なの」

ライバルの姿が揺らめいて消え、そこには火の玉のようなモノが現われましたぞ。

「初めまして……じゃないね。何度も君には語りかけてるし、時々君は返事をしてる訳だから、それでもこうして意思疎通してる訳だから初めましてと言った方が親切かな」

「お前は……槍の精霊なのですかな?」

「そうだよ。ここは槍の深層域、ここまで来てなんだけどお茶でも飲むかい?」

と、何も無い空間からちゃぶ台とお茶が出てきましたぞ。

「世界を跨ぐ前に君が槍に入れた物なら出せるけど、何か欲しいモノはある?」

「いらないですぞ」

「そう? なら良いけど」

ゆらゆらと火の玉をよく確認すると、火の玉の影からトカゲのようなシルエットが見えますぞ。

サラマンダーって奴ですかな?

「さて、君の事だから忘れていると思うから補足すると、現在は勇者達で協力して陰謀をはね除けフォーブレイって国に行った平行世界の続きで君が寿命を迎えた後だよ」

言われて思い出しますが……確かにお義父さん達と平和な一生を過ごした後なのですな。

あの後も無数の出来事があり、楽しい毎日でしたな。

霞が掛かりかけていますが思い出せていますぞ。

「次の分岐に行った時に君の中で浄化されて一部は消えてしまうだろうけど、思い出せた?」

「……」

俺は無言で頷きますぞ。

「槍の精霊なのはわかったのですぞ。その槍の精霊が俺に何の用ですかな?」

「まあ話をしようよ。やっとあの日を思い出したんだからさ」

思えばアレが俺の再度ループする事の原因だったのですぞ。

元の世界に戻ってフィーロたんやお義父さん達を忘れて豚と恋愛をし続けると言う地獄に行かない為の処置なのですぞ。

「アークとホー君に色々として貰った事ですな」

「うん。アーク先生のお願いだからね。君の事は最後まで付き合うよ」

「先生ですかな?」

「うん。君もアーク先生が話をしていたのを聞いて居たじゃないか。俺の話。いや……覚えてくれていて嬉しかったなぁ……あの頃の俺とはもう違うけど、それでもさ。君を通じて先生とまた会えたのは嬉しいもんさ」

俺の話ですかな? 一体誰でしょうか。

「妖魔の子ですかな?」

「違う」

「覗きをする俺と仲良く出来そうな子ですかな?」

「違う」

「真面目な子ですかな? 女性っぽいですが」

「違う。ワザと言って無い?」

一体誰の事ですかな?

ピンと来ませんぞ。

「俺としては君がハーレム作らずにいる選択をした所を非常に気に入ってるよ。鳥ファミリー作ってるけど」

アークが話をした人物でハーレムを作る……。

「魔王獣の彼ですな!」

「君は本当、無数に選択を間違えるね。まあ、彼とは会った事あるけど」

どうやら違うようですぞ。

「そう、歳の離れた許嫁が無数にいて、それがイヤだからアーク先生の所で修行した子だよ。正確には教鞭を取るアーク先生を俺の相方が縁あって、流れで俺も教えて貰ったんだ。アーク先生の養子の三代目とね。ぼんやりとしてるアーク先生の背中に内緒で触れてみんなで修行したもんさ。後でメチャクチャ怒られたっけね」

ああ、そんな話をしていましたな。

まさか関係があるとは思いませんでしたぞ。

「アーク先生、俺とは分からなかったんだろうけどここで話をしてくれたのかって槍を通じて感動したもんさ」

「何で今は話が出来ないのですかな?」

「アーク先生が精霊が見えなくなって、元々、俺が人……とは違うな。精霊種って言う半分が生き物として最初の人生を歩み、死ぬと精霊として第二の人生がある存在だからさ」

そのような種族が居るのですな。

異世界独自の設定という奴でしょう。

「最終的にラフ種ってのになる彼女と近くて遠い死んだら半分が精霊になる生き物だよ。残り半分は普通に輪廻の輪を巡るよ」

「変わった種族ですな」

「死んだら幽霊になる人間がそれを言うの?」

ふむ……確かにそうですな。幽霊と精霊、実は近いのかも知れませんぞ。

先祖の霊が守ってくれるという発想は精霊信仰にも通じるような気がしますぞ。

俺の居た日本でもそう言ったのを信じて居た豚が居ましたからな。

ポルターガイストなどもあった覚えが今ならありますぞ。

「昔、アーク先生は俺達精霊種に起こった理不尽に怒って色々と協力してくれたんだ。アーク先生の事を慕う精霊が多いのはそれも理由だよ。まあ、あの頃のアーク先生……無実の罪を被ってたけどね」

精霊がアークに協力的なのはそう言った理由があるのですな。

なんとも因果なものだね。と、槍の精霊は一人で勝手にうなずいていますな。

「ちなみにこの世界でも実は精霊種は居るんだけど……まあ、君は知らなくても良い事か」

「それで槍の精霊であるお前は俺に何の用ですかな? 俺はループを辞めるつもりはありませんぞ」

「ああ、辞めないのは分かってたよ。さすがにあの周回からしばらくは放心してて大丈夫かな? とは思ったけど」

あの周回……ヒィ、おそらくあの周回の事ですぞ。

「フィーロが居ないことを安心しててボケっとして次のループを怯えてたし、もう一人がやる気だったから様子は見てたけどね」

「もう一人……ライバルですな! 槍に寄生されてますぞ!」

精霊に話が出来るならライバルを追い出してフィーロたんフォルダを作成するのですぞ。

「アイツを追い出すのですぞ」

すると槍の精霊はパッとライバルの姿に変わりますぞ。

「それは断る、なのーバイクの車軸にされた仕返し、これくらいは認めろなのー」

「ふざけるんじゃ無いですぞ! 寄生されてますぞ!」

「そうは言ってもね。君の舵取りに丁度良いんだよ。彼女、最終的にこっちの声を君に届けるのに良さそうだし、君が慕う……盾の方にもいるでしょ? アトラ。なのー」

くう……つまりライバルは虎娘と同じポジションとして精霊に選ばれたと言う事なのですかな?

選ぶセンスが最悪ですぞ。

「精霊として言うけどフィーロをループに巻き込むのは難しいよ。まあ、アーク先生とクソ鳥が仕掛けてくれたから運が良ければ最初の世界のフィーロちゃんとはいずれ会えるかもね。なのー」

「ホー君を悪くいうなですぞ!」

「君もあのクソ鳥の内情知ったらクソ鳥言うよ。なの。あれはクソ鳥というか睡眠ハメ鳥って言うべきか? ドン引きだったよ。なの」

「その取って付けたような「なの」を辞めろですぞ!」

「ふふふ、なのー」

く……この槍の精霊、かなり嫌な性格をしてますぞ。

脳内でお義父さんが、ドライブモードとか酷い事をした所為だと指摘してますが違いますぞ!

「君のワガママに付き合ってあげてるんだから多少の我慢はして欲しい所だね。なのー」

「それでもイヤですぞ」

「かといって、元の日本に今までの事を忘れて帰りたいかい?」

「そっちはもっとイヤですぞ!」

俺の弱みにつけ込むとは槍の精霊、最悪ですぞ。

「彼女も毒が抜けているし君にとって悪い話はしないんだから気にしなくて良いさ」

「お義父さんを寝取った事は忘れませんぞ」

「寝取り返せば良いのに」

「それはお義父さんの意志を無視するので駄目なのですぞ」

お義父さんの決定は絶対ですからな!

「不器用だなー寝取るで良いと思うよ? 男万歳」

「何を言ってるのですかなお前は!?」

「男って素晴らしくない? 男同士だからこそ分かる友情、そこから愛情だって生まれるもんだよ。あ、俺は君と同じで両方いける口だったからね。似たもの同士仲良くしようじゃないか」

この槍の精霊、どんな精神をしてるのですかな!?

もしやハーレム嫌いを煩って歪んでいるのでしょうか。