軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

闇側

「おー凄い凄い」

ヒュンヒュンと飛んで行く雨のような剣をアークは……一見すると見えない糸で操作するヨーヨーの様に動かして居る様に見えますぞ。

ループザループでしたかな? そんな感じで剣が錬に向かって斬る弾道で飛んで行っていますぞ。

更にまるで意志のあるかのような剣の動きが交ざって文字通り剣の竜巻のような中で錬は戦っておりましたぞ。

そして懐に飛び込んで来た錬の剣を見切り、紙一重で避けながら雨のように降り注ぎつつ縦横無尽に動く剣で錬を攻撃して行きますな。

「はああ!」

背後に飛んで来た剣を錬は弾きつつそのままアークに肉薄しようとして大きくバク宙をされてしまってますぞ。

随分と動きが速いですな。

「もっとギアを上げてくれ!」

「中々やるねー」

っとアークと錬の攻防を見ながら俺はホー君に尋ねますぞ。

「随分と本格的な稽古をしてますな。大丈夫なのですかな?」

「そう見えるけど錬くんはあの猫に切られたってダメージ無いからね」

「そうなのですかな?」

「うん。基本的にそういう理で猫は動いてるからね。しかし彼も随分と変わってるねー。あの猛攻を喜んで受けるなんてさ」

錬が戦いながら笑っていますぞ。夢中になって稽古していると言った様子ですな。

エクレアの方を見ると唖然とした顔でエクレアはその稽古を見ております。

「前々から妙な縛りを入れた稽古をレンはしたがっていたが……ここまでの剣の雨の中で戦いたがっていたのだな」

「どうしたらこんな戦闘になるのですかな?」

「ああ……朝の稽古をしていた所でアーク殿達がやってきて、レンがガエリオンに手伝わせていた戦闘が出来ないか相談した所でな。最初は二本の浮遊する剣が三本四本と増えて行って気付いたらこのように……レンもどんどんヒートアップして今に至るのだ」

ライバルに手伝って貰っていた稽古がここまでの代物になるのですな。

やはりあの無数の剣はアークが出してるのですな。

「んじゃ……もっと行くよ」

と、アークが剣をそれぞれ持ったかと思うと一瞬で錬の横を通過しながら振り返り様に首と足にバク転しながら切り上げましたぞ。

その剣を錬は受け止めましたが、あれでは錬に攻撃の機会が来る……と思った直後に空中を飛び回る剣の一本を足場に急速落下をして錬に更なる追撃に入って行きましたぞ。

凄く機敏な戦闘ですな。

錬も飛び回る剣を弾きながら追撃に来るアークへと剣を振りかぶっておりますぞ。

スキルの使用は禁止なのか、錬はスキルを使いませんな。

「はあああ!」

っと、錬が剣を一本落す……振りをして足で落下する剣を弾き上げて持ち直してアークの頭目掛けて振りかぶり止めますぞ。

「おー……おみごと」

ピタッと周囲に縦横無尽に飛び回っていた剣が消えましたな。

ふう……と、錬は呼吸を整えてからアークに一礼しますぞ。

「もっと剣を増やせないか? 遠慮は無用だ」

「じゃあもう少しギアを上げれば良いかい?」

「ああ、少なくとも飛び上がるときに五回は俺を切れたはずだ。それをやって欲しい。勝てない位が好ましいんだ」

「わーマゾー……やだねー」

ホー君がそんな錬をおちょくるようなセリフを言いますぞ。

確かに錬は修練に関してマゾですな。

何処までも自分を追い詰める事ばかりしてますぞ。

「世の中、何が起こるかなんてわからない。平和になったのは嬉しいが、それでも備えはしておきたいんだ」

などと、どこか憂い気味に錬は言いました。

「フハハハ! 絶え間ない修行が闇を増幅させるのだ! そうして高めた力で闇の旋風を世界に轟かせ、光を語る忌まわしき使徒共を闇への供物にするのだ!」

ブラックサンダーが元気良く錬へとエールを送っておりますな。

「……正義を振りかぶって弱者を虐げる者へ剣を振うのは良しとするが……」

そういうのは卒業したとばかりに毎度錬はブラックサンダーの誘いに対して乗り気じゃないようですぞ。

ああ、お姉さんが迎えに来たループのクロちゃんと戯れる錬ではないのですな。

と、この時俺は錬を見て思って居ましたぞ。

するとそこでアークがブラックサンダーに小首を傾げつつ見つめてますぞ。

「さっきから君さ。闇って言葉をよく使って、闇への供物とか言ってるけど、それって本当に闇自身が求めたのかな?」

「そうだ! 闇が光の影に潜み贄を求めているのだー! 闇は光が無くても闇! つまり闇に包まれた世界こそが我等の世界なのだ」

ブラックサンダーは今日もノリノリですぞ。

「光が無いと闇って自分がどこからどこまで存在するかわからなくて困るよ? それと求めても無い訳の分からない供物を捧げられて、自分の責任にされるのって困るものだよ……見るんだったらうんざりするほど転がってる不幸や悲しみより、幸せや喜びを見つめていたいって思わないのかなー?」

「そんな甘い事など……」

と、ブラックサンダーは切り捨てようとして、アークと視線が合った後……何故か黙ってしまいましたぞ。

「……」

「…………」

見つめ合う両者の様子に錬が小首を傾げましたぞ。

「ふ……興ざめだ。議論はこれくらいにしておこう」

ブラックサンダーは何故かそこで背を向けて去って行ってしまいましたぞ。

「闇は安らかな眠りの為にある位が僕は好きだよ。闇の側面なんて悲しい事ばかりだしね」

後にブラックサンダーが仰っていたのですがアークの目に深淵が見えたとの話ですぞ。

曰く中二病で遊んで居たはずなのに本物と遭遇してしまったような何かがブラックサンダーには見えてしまったとかなんですな。

「『深淵を覗く時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ』って言葉があるよね」

「闇は光が無いとどこまでが自分か分からなくなって壊れてしまうよ。本当の闇こそ光の勝利を心から望んでいるものじゃないかな?」

何やらよくわかりませんが、神狩りにしか分からない事があるという事ですかな?

「僕は光の側だけどね! 太陽みたいに輝いているから!」

「……極端だな」

さすがホー君!

煌びやかに光っておりますぞ。

フィロリアル様はライトサイドという事がよくわかっていますな。

「光だってむやみやたら大きくなっちゃダメなんだけどね」

「要は何も無いのは嫌だが、多くなり過ぎると異常が出るか」

「そうだね。そこの猫も、僕達も……連中ですら、ある種の矛盾を抱えているから面倒な事ばっかりになるんだよ」

「矛盾、ね……どうだかな」

錬とホー君がよくわからない会話をしておりますぞ。

「あの面倒臭いブラックサンダーが逃げてった……助かった」

「まあ、彼は君と遊んで欲しいみたいだし遊んであげたら良いんじゃないかなー?」

ふふっと朗らかにアークは錬へと諭してました。

「元康くんの世界基準でもさっきの戦いは中二全開だったけどねー」

ホー君がどっしりと座って面倒そうな口調で錬とアークの稽古への感想を述べてますぞ。

「ロマンは楽しむものだね。文字通り男の夢って奴だね。錬君も楽しんでいたみたいだし、一緒に遊んであげなよ。また稽古してあげるからさ」

「あ……ああ。何にしてももっと稽古してくれ!」

「随分と熱心だね」

「……もう後悔だけはしたくないんだ。俺は」

錬は随分と真面目になりましたからな。

お義父さん曰く、錬は責任感が強すぎるのが問題だそうですぞ。

「それは何か心残りがあっての事かい?」

「……剣の精霊は機会がいずれくると教えてくれた。その時に後悔しないように俺は鍛錬をしたいんだ」

「へー……」

アークとホーがそんな錬の何かを見ているようですぞ。

「お前達は神狩りなんだよな。俺の後悔をどうにかする心当たりは無いか」

「生憎、君の問題は僕の管轄外に該当する問題みたいだね。君が今、心残りにしている事に神を僭称する連中は関わってないよ」

「わかるのか?」

「そこの猫や僕も多少は見えるからねー」

何やらアークとホー君は錬の抱えている問題の心当たりがあるようですぞ。

「とはいえ、熱心に頑張る君に少しばかり助力くらいはしてあげても良いかな。そっちの方が後味は良さそうだし。だけど今はやっぱり鍛錬をしてる方が良い未来をたぐり寄せられると思うよ」

未来は無数に枝分かれしてるからね。望むべき時に選べないのは辛いよ。と、アークは答えました。

まるで受験のようなセリフですな。