軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ブレイブペックル

「えーっと……迷宮内にこの先に行くための鍵を隠したから戻って取ってこいってメッセージが聞こえたね」

「なんか最も愛おしい異性の声で再生されますってご丁寧な説明ありで聞こえましたね」

「そうだね。ただ、途中で声が変わったりするのは如何なものかなー」

「尚文さんはそうだったのですかね」

「樹は変わらずかな? 元康くんもだね」

「異性って所がネックでしたね。愛おしい者の声だったら元康さんはフィーロという方と尚文さんの声で混乱してそうです」

おー! フィーロたん!

何処にいらっしゃるのですかなー!

く……この先に行けないのが悔しいですぞ。

「錬は誰の声が聞こえた? やっぱりウィンディアちゃん? それともエクレールさん?」

「どうしてそこでその二人なんだ。それは別の世界の俺の話だろ」

「ああ……ラフミさんですね。いえ、ルナさんですね」

「だから違うと言ってるだろ! そもそもそんな声など俺は聞こえて無い!」

俺がフィーロたんを探している所でお義父さん達が話をしておりますぞ。

「錬さん、最愛の人が居ないって可愛そうですね」

「そうだね……何処かで恋人を見つけないと将来、孤独の錬金術師ドクターアゾットになっちゃうよ」

「だから俺をネタにからかうのをやめろ! 好きな奴の声が聞こえないってだけで弄るな!」

「フィーロたーん!」

もっとお声が聞きたいのですぞー。

ブオン! っとここで七色に光る穴が出来て出口とばかりに輝いておりますな。

きっとあそこに入れば良いのですな!

「フィーロたーん! 今行きますぞー!」

「元康くんストップ!」

「ふべ!?」

お義父さんが出口へとダイブしようとする俺の襟首をフリッパーで器用に掴みましたぞ。

「なぜですかな、お義父さん!」

「良いから落ち着いて元康くん。さっきの声は言ってた通り、聞いた人の一番好きな異性の声で語りかけるメッセージなんだよ。で、話を聞いた感じだとそこの穴は入ったら入り口からやり直しになるからちょっと待って」

おお、そういう事だったのですな。

つまり単純な出口という事なのでしょうな。

「まあ、錬をからかう冗談はこれくらいに……何処までもネタに走ったギミックなのかなー二周目を求めるとか……アレだね。過去のアクションゲームみたいな感じで難易度が上がった二周目って奴。それに近いのかな。エンディングを見るには二周目をやろうって……」

「取り残しがあって戻って探せとか勘弁してほしい話ですよ。とは思いますけど錬さんが声は聞こえなかったって所を本気で考えますと……」

「無難にシーラカンスの模型を持ってるのが錬だからじゃない? 交代で持ってもらってたし」

「でしょうね。条件を満たしている人より先に行った所為でメッセージが聞こえたのでしょう」

「さ、錬。俺がそれを持つから誰の声が聞こえるか聞きに行こうか」

「嫌だ。そんな声なんか聞かなくても進めるなら良いだろ」

俺はもう少しフィーロたんの声を聞きたいですがな。

「錬さんも中々意固地ですね。聞かなくて本当に後悔しませんか?」

「しない! 良いから行くぞ!」

と、錬がここぞとばかりにシーラカンスの模型を持って進んで行くと進めなかった壁が消えて扉の前にまで来られましたぞ。

そしてシーラカンスの模型が輝いたかと思うとゴゴゴ……と、音を立てて扉が上に開きました。

「さーて……この先に何があるのかな? 裏ボスとかでクリアしたら元に戻れたら良いけど」

「単純に元に戻れるのが一番ですよ。薬とかでも良いですね」

「やっとダンジョンも終わりだな」

「フィーロたんに会いたいですなー」

お声だけでも聞けたので悪くはありませんでしたぞ。

そうして……進んだ先には四聖の武器を模した紋章が描かれた部屋でしたぞ。

真ん中には箱が置いてあり魚のプレートが埋め込まれていますな。

「……もしかしてこれだけ? 何か元に戻れる仕掛けとか無いの?」

「骨折り損か!? 入るダンジョンを間違えたとか言う気か!」

「どうなんだろ? というか箱の中に埋め込まれたプレートって何なの?」

「魚って所が気になりますよね。尚文さんだったら外せるかもですよ。こう……ゲーム的ギミックにありそうじゃないですか」

「まあ……それっぽいよね。道中でもそれっぽいのあったし」

と、お義父さんが箱の中に入ってプレートを確認しようとしたその時……バタンと、箱が突然閉じましたぞ。

「お義父さん!?」

「うわ!? 何これ!?」

直後、ゴゴゴ……と壁の一部がせり上がってきましたぞ。

「あ、しまっただけですぐに出られるね」

お義父さんが箱を開けて出ようとすると、せり上がってくる壁が下がってしまいました。

「尚文、箱に入ってろ。何か仕掛けがある」

「ギミックがあるようなので箱の中で待機してて下さい」

「え? ちょっと――」

バタン、と錬と樹がお義父さんを箱に閉じ込めてしまいましたぞ。

お義父さん大丈夫ですかな?

念のためお義父さんが出られるように俺は箱に槍を差し込んでおきましょう。

いざとなったら箱を壊してお義父さんを救出ですぞ。

やがて壁が上がったところで壁画が現われましたぞ。

何やら……カルミラ島の島の地図のようですが……。

「カルミラ島の島の地図ですかね」

「だが……一つ多いな」

「そうですね」

本島の他に四つの島があるカルミラ島ですが、五つ目の別の島が地図には書かれていましたぞ。

しかも何やらここには神殿があるようですぞ。

そういえば……大きなフィロリアル様の案内で水中の神殿の場所があるとお義父さんや樹が仰っていましたな。

「五つ目の島に……勇者が行って、四聖の武器を持った妖精共が迷宮を出ると……」

「どうやらここに目当ての魔法があるみたいですね。この五つ目の島はどうやって行くんですかね」

ゴゴゴと……上がりきった所で壁画の模様だと思っていた隣の絵が出てきましたぞ。

島のモニュメントにあるトーテムポールの前で……四聖武器を持った勇者達が合せるように肩車をしております。

すると島が揺れてオーラを放つようですぞ。そこから先ほどの島の絵に続くようでした。

「……つまりですよ。このギミックを知っていたら島のトーテムポールの前で決められた順番で肩車すれば目的の迷宮が開くって事ですか!」

「ゲーム知識! しっかりと教えろ! こんな面倒なギミックはゲーム時代でもわかっただろ!」

錬と樹が天井目掛けて叫んでいますぞ。

「みんな何かわかった? いい加減箱から出たいんだけど。それともここで箱から飛び出してブレイブペックルって自己紹介しないと駄目な感じ? こう……なんかの景品は勇者でしたとかありそうだけど」

「尚文さんのボケはこの際気にしないで、出てきて大丈夫ですよ」

「そう?」

お義父さんが箱を内側から開けて出ると壁画がすぐに降りて見えなくなってしまいましたぞ。

「で、何か分かった?」

「ええ、どうやらもう一つダンジョンがあって目当ての元に戻る手段はそちらにあるようです。入り方は島のトーテムの前で合せるように肩車するそうです」

「わー……ネタに走ったら正解って奴か……島に来た時にやればよかったね」

「尚文さんの脳内ボケに付き合うべきだったとここで思う事になるとは思いませんでしたよ」

「厄介な話だ。知らなかったら何処を優先して行けば良いのか分からなくなるし、どっちみちここに来る可能性はあるだろ」

結果は変わらないですな。

結局はここを攻略していたのでしょうな。

「で……後は帰るだけだけど、戻ったら島のみんなが開拓生物になってるENDだったりしないよね?」

「ここに来る途中で話をしていた奴ですね。今度は何のネタですか」

「んー……ア・バオアクーがそれっぽく見えたからかなー」

「尚文さんのゲーム知識がここでこの世界と繋がってしまう結果にならないことを祈るばかりですね。とにかく帰りましょう」

そんな訳で俺達は帰還用の渦へと戻って入ったのですぞ。

ぐるぐるぐるーですな。

「アーケードゲームだったらここで一度スタッフロールが流れる感じだね。フリーゲームとかでもさ」

「はいはい。こうして移動中の僕たちの姿はファンシーでシュールでしょうね。この脱力感をどうすれば良いでしょうか」

「ゴールが分かったから行くしかないだろ」

「錬さん。もしもの可能性を言いますけど、この先のダンジョンをクリアするのは始まりで活性化地を全部回るとかあり得るんですよ」

「樹、お前は黙ってろ! 命中したらたまったもんじゃない!」

なんて形で……ぐるぐると回る景色はカルミラ島の遙か上空から俺達は降りていく様に変わっていきました。