軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

シャドウ

70階に差し掛かった所で出てきたのは俺達が見上げる位の大きな亀形の魔物、スピリットタートルとブレイブペックルシャドウという……お義父さんとほぼ同じ色違いとしか言いようがないボス魔物のタッグでしたぞ。

「こ、これは……お義父さんが二人ですぞ!」

「いやいや!」

この鋭い眼光! きっと最初の世界では無くても冤罪から救えなかったお義父さんがペックルの姿でここに現われたのだとしても何の不思議もありませんぞ!

俺がループしているのだって説明が出来ていない状況なのですからこのような未知の場所ではあり得る話ですぞ。

そんな覚えがあるような無い様な気がするのですぞ!

「ペェエエエエエエエ!」

ブレイブペックルシャドウが声を上げつつ盾を構えて近づいてきましたぞ。

俺は今にも戦いが始まりそうな中でもう一人のお義父さんを守るように立ちはだかりますぞ。

「元康! どけ!」

「この元康、何があってもお義父さんに忠義を尽くす決意をしているので出来ませんぞ!」

「いや、俺は?」

「元康さん、あなたフィロ――むぐ」

樹が何か言おうとしたのをお義父さんが口を押さえて何度も頭を振りますぞ。

そうして樹は何かを理解したのかコクコクと頷きました。

バチバチとスピリットタートルが俺達目掛けて口から雷撃弾を放ってきたのでみんな避けますぞ。

「ペエエエエエエエ!」

「お義父さん! 落ち着いてほしいのですぞ! この元康、その怒りは何があっても受け止めますぞ! それが俺の贖罪なのですぞ!」

コイコイ! いつでもカウンターしてやんよ! とお義父さんが俺にヘイトリアクションを放って手招きしてますぞ。

「だから俺は!?」

「激しく面倒臭いな元康は! アレが尚文なのか!」

「元康さんからしたら野生み溢れる盾を持ったペックルの方が本物の尚文さんよりも本物だと認識されるという事ですかね」

「もの凄く心外なんだけど!? 別世界の俺ってあんなのな訳?」

「とにかく元康邪魔だ! ハンドレッドソードⅩ!」

「あの固そうなペックル諸共ボスを攻撃しますよ! イーグルピアシングショットⅩ!」

錬、樹! お前等お義父さんに何をするのですかな! っと反撃しようと思いましたがもう一人のお義父さんが俺の攻撃から樹達を守るように構えて居るので攻撃出来ませんぞ!

なので俺は出来る限りお義父さんを守るように前に立ちますぞ!

「ぐわああああああああ!」

錬と樹の放ったスキルが俺に命中し、後方にいるお義父さんにも被弾しますぞ。

く……ご丁寧に防御比例攻撃を入れて居ますぞ。受け流してダメージを軽減しているので戦闘は継続可能なのですぞ。

「ペエエエエエ!」

オラオラもっと攻撃しやがれ! と後方のお義父さんが手招きしながら回復魔法を使用しておりますぞ。

俺への回復は無いようですぞ。それはしょうが無い事なのですぞ。

「尚文! なんとかしろ!」

「なんとかしろと言われても……普通に元康くんを説得するしかないんじゃない? 元康くん落ち着いて、そいつは俺じゃ無いから!」

「ですがこの気性の荒さはもう一人のお義父さんなのですぞ」

「元康くんの中でのもう一人の俺ってあんなん何だろうか? もはやタダの魔物って感じなんだけど……」

コレも全て俺の罪なのですぞ。

「こうと思ったら何処までも突き進みますよね。元康さんは、アレも槍の勇者という事でしょうかね。あの手をもう一度しますか?」

「いや、さすがに危ない。別の手をした方が良いだろ」

「ですね。では尚文さん」

ヒソヒソヒソと樹がお義父さんに耳打ちしますぞ。

「え……それ、本気でやるの?」

「ここに居るのは僕たちだけです。きっと通じるでしょう」

「だな。元康の注意を引けばそれだけで十分だ。尚文ならどうにかなる」

「うーん……とても上手く行くとは思えないけどなー」

困った様な表情をしながら立ちはだかる俺に向かってお義父さんが、キリッとした表情になって俺の頬に手を添えますぞ。

「元康、そんな後ろの奴を俺と思うなんて心外だな。お前の忠義は、そんなものさえ俺と思えるのか?」

「お、お義父さん?」

こ、これはどういうことですかな?

今、俺の目の前に居るのは優しいお義父さんですかな? それとも冤罪から救えなかったお義父さんですかな?

キリッとした表情をして居るとよく分からなく成ってきますぞ。

「お前は偽物と本物の違いも分からないのか。だからお前はその程度なのだ」

「う……」

これは言い返す事が全く出来ないのですぞ。

まるで最初の世界のお義父さんに叱られているような錯覚さえ覚えますぞ。

「ですが俺はお義父さんを構築し、よく似た相手であっても見捨てられないのですぞ。これもまた、お義父さんへの忠義なのですぞ」

「お前の忠義は似たもの全てに与えるものなのか? フィーロを介してフィロリアルを愛するという博愛精神は認めてやるが、アレはタダの盾を持ったペックルモドキだぞ! いい加減にしろ!」

「ぺえええええ!」

オラオラ喰らえ! っと……ブレイブペックルシャドウが盾を投げつけてきました。

ガイン! っと俺に命中して火花が散りました。

つまり攻撃能力があるという事ですぞ。

そこで俺はブレイブペックルシャドウがお義父さんでは無い事を理解しましたぞ。

お義父さんが使う盾を投げるのはスキルでは無く専用効果でフリスビーを飛ばす物ですぞ!

フィロリアル様や魔物、キール相手に使って居るだけで攻撃性能は無いですぞ!

「お前はお義父さんでは無いですな! お義父さんは盾を投げる攻撃スキルは使えないですぞ!」

「元康さんの判定基準が変ですね」

「だな」

「悲しくなるからやめてほしいなー……シールドブーメランが使えないってのって地味に効くんだよね。フリスビーシールドはあるけどさ」

そう、それは最初の世界のお義父さんを含めた全てのお義父さんの悩みなのですぞ。

このブレイブペックルは容易くぶちかましてきました。

つまりお義父さんでは無いという事なのですぞ。

「ですが……お義父さんとよく似たペックルであるのも事実、非常に心苦しいですが一気に行きますぞ! 固い敵用に、スパイラルオーラスピアーⅤですぞ!」

全力で攻撃するのはなんとなくはばかられるので少しばかり手心が掛かってしまいましたぞ。

「ペエエエ――」

ブレイブペックルシャドウに俺の攻撃は命中し、気を織り交ぜた一撃を受けて霧散してしまいましたぞ。

後はスピリットタートルを倒して俺達はその階層を突破したのですな。

「今までで一番むなしい勝利ですぞ」

別人と分かって居てもお義父さんの分身のように盾を装備したペックルでしたのでな。

「何か元康さんが酔ってますけど激しく面倒だったのは見過ごせませんけどね」

「本当……忠義ってクソほど面倒な事だな」

「あはは……結果的に分かってくれただけでブレイブペックルシャドウが俺とスタイルが同型だったら上手く行かなかったよね……」

お義父さん達もこの勝利をむなしく感じていた様ですぞ。

そんなこんなで俺達はドンドン進んで行きますぞ。

次に出て来たのはリスーカシャドウ系でしたぞ。

最終的にブレイブリスーカシャドウとフレイムツインという魔物でしたな。

「ニューナンブデストロイヤーですぞ!」

っとブリューナクⅩで消し飛ばしてやりました。

「チチ――!?」

「圧勝、楽勝、大勝利ですぞ。雑魚にも程がありますな」

「僕はラビットハントにでも出ますかね! もう遠慮無く一気に仕留めますよ!」

チャキッと樹が俺に向かって連射してきましたが、大風車で飛んで来る弾丸を全てたたき落としてそのまま次の階層へランナウェイですぞ!