軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

フラグブレイカー

こうして樹が講師として派遣される事になった日ですな。

若干面倒そうな樹が出かけてくると言ってポータルで飛んでいくのを俺とお義父さん、ライバルは見送ったのですぞ。

錬は既に武器作りの勉強に出かけて行きましたな。

「さて、なおふみ、弓の勇者を内緒で見守りに行くなのー! あ、槍の勇者も来ても良いなの。隠れて見守るなの! なのなの!」

レッツラゴー! とばかりにライバルが拳を振り上げてお義父さんに提案しましたぞ。

途端に俺自身のやる気がダウンしますがお義父さんの反応次第で行動することにしますぞ。

「なんか裏があるのかな? とは思ったけどやっぱりある感じ?」

「裏って程の事は無いなの。ただ、なおふみからするときっと面白いものが見れるはずなの!」

「ほう……」

お義父さんがライバルの言葉に興味を持った表情をしますぞ。

「具体的には?」

「ワイルドなおふみ曰く、弓の勇者から連想されるお約束展開が待っているなの。『こういう展開は壊れてない樹向けだろ!』ってワイルドなおふみは言ってたなの」

く……ライバルめ! お義父さんがそんな事を言っていたのですかな!?

どこなのか思い出せないですが確かにお義父さんが言っていたことが平和になった後の世界であったのですぞ。

「別の俺が考えた適任者って事ね。壊れていない樹か……そう考えるとこの世界の樹は希少なんだね」

「歪まずおかしくもなってない弓の勇者は希少なの。だからこそ、美味しい展開を弓の勇者にプレゼントなの! きっと内心は喜んでくれるなの! 主人公展開なの!」

「覚醒とは違う感じかな?」

「違うなの」

「まあ……ガエリオンちゃんの感性がどこまで頼りになるかはわからないけど、心配だから見守りに行こうか」

「そうなの! なおふみ、槍の勇者に命じて出発なの! それとリーシアは明日辺りから学校に通う準備なの!」

樹の出発に手を振っていたリースカとラフえもんにライバルは言いますぞ。

「ふえええ……なんでですかぁ!? イツキ様は来なくて良いって言ってたじゃないですか」

「そうだよ、ガエリオンさん。いつきくんが来なくて良いって言うんだからぼく達は温かい目で見守るって決めたじゃないか」

「そんな事言って良いなのー? リーシア、弓の勇者と楽しいキャンパスライフが待っているなの」

「キャンパスライフ……」

「リーシアさん、ちょっと憧れがあるんだね」

まあリースカは学園でも地味だったらしいですからな。

恵まれた学園生活ではなかったかもしれません。

きっと放課後に図書室を重点的に回れば遭遇出来そうですな。

「陰湿ないじめだって、絶え間ない修行で強くなったお前の強さがあれば容易く返り討ちなの」

ちなみにリースカは村でメンタル回復をした後はしっかりと気の修行にも励んでいたので潜在能力は開花済みなのですぞ。

戦おうと思えば無意識に体が動いて中々良い動きをする次元ですな。

いじめには元々強い意識……俺がストーカーと誤解するほどの強さを持っていたので、今ならきっとやり返せるでしょう。

何より、樹の仲間という箔が付いているのでそれが樹の目に入った時はいじめの実行犯が痛い目を見ますぞ。

完全にざまぁですな!

隠れて悪さ? 樹だって隠れて監視くらいできますからな。

「後でフレオンちゃんも出撃ですぞ! 陰湿ないじめなど俺が許しませんぞ!」

「この流れで何故か元康くんまでやる気を見せてる」

「学生時代の俺の黒歴史は無数にありますが、リースカがいじめられそうになるのを返り討ちにするのは、きっと良い事ですぞ!」

豚は陰湿ないじめをする生き物ですぞ!

証拠を掴んで処分するのはきっとフレオンちゃん達の正義に該当する出来事ですぞ!

ふふふ……学園にいる豚共が樹とフレオンちゃん達によって駆逐される瞬間が楽しみでしょうがありませんな。

ついでにお義父さんと学園で友情を築きましょう。

エンディング待った無しですぞ。

「豚が駆逐された後に俺が講師として引き継ぐのですぞ」

「何だろう……元康くんの脳内だと学園が女生徒の根絶された場所になっている気がする。男だけの学園って花が全くない気がするんだけど……」

フレオンちゃんはフィロ子ちゃんとお散歩に出かけておりますぞ。

帰ってきたら樹の学園にお誘いですぞ。

「い、いつきくん……」

「ふえぇええ……」

「そんな訳で内緒で見守り開始なのー!」

という訳でライバル、俺、お義父さんは内緒で樹の学園就任1日目を見に行ったのですぞ。

早速ポータルで近場に飛んで行った樹は……タクトが作った飛行機を流用した飛行機に乗り学園のある場所まで案内されて行きますぞ。

俺はドライブモード、お義父さんはライバルの背に乗って空を飛び離れたところから樹の乗った飛行機を監視しますぞ。

残念な所はお義父さんがライバルの背中に乗った所でしょうな。

チェンジドライブモードまでしたのに乗ってくださいませんでした。きっと俺のフライングモードでは樹の飛行機の速度には少々追いつけないのが原因ですぞ。

今度高速移動形態を考えねばなりませんぞ。

もちろんクローキングランスと隠蔽状態ですぞ。

やがて飛行機は学園近くの平地に着地しましたな。

そこから馬車で数十分で目的の魔法学園の敷地に行くことになりましたな。

「これはこれは弓の勇者様……此度は我が学園にご足労、誠にありがとうございます。お恥ずかしながら私はこの学園の長をしている者でございます」

「弓の勇者として召喚され、今回の招待に応じた川澄樹です……波に挑んで戦っただけで僕は他の勇者たちに比べて大したことはしてませんよ」

「弓の勇者様はとても謙虚なのですね。我が学園の生徒たちにも見習わせたいところですよ」

「それで……早速授業をすることになるのでしょうか? 正直、僕が教えられることが何なのかわからないので逆に教えてほしいのですが……」

「余り肩に力を入れなくても大丈夫ですよ。我が校の教師達と共に話をしたり、魔法を見せて下さるだけでも生徒たちの勉強になりますので」

「はぁ……」

樹は卒ない様子で学園長とやらと軽く話をしていますぞ。

「授業は昼食を終えた後からを予定しております。弓の勇者様も本日はお疲れになっているでしょう。早速学園の用意した勇者様用のお部屋に案内いたします。こちらは寮長をしている――」

ふむ……ここが魔法学園ですな。

俺もここにはゲーム時代に覚えがありますぞ。

その形状そのままの建物なので大体どこがどう繋がっているのか認識は出来ますな。

ゲームだった時はクエストなどで行く程度の本当は何に使う部屋なのかわからない所が無数にありますが実際は色々とあるのでしょうな。

「わー……魔法学園かー……映画の中に入ったような不思議な感じだね。やっぱり入学時にクラス分けとか寮分けとかされるのかなー」

隠蔽し声も漏れないようにしている所でお義父さんが建物を見渡して呟きますぞ。

メルロマルクの城でもこのような目をしておられましたな。

「お義父さんは生徒になりたかったのですかな?」

「頼めばきっとなおふみなら二つ返事でOKされるなの」

「魔法を知りたかったら元康くんやガエリオンちゃん辺りに教えてもらえるしねー……学校の雰囲気ってのが味わいたいだけなら今回の話である講師として学園内を歩けば良いだけだよ。ただ、何となく学校って懐かしいって感じるだけだよ」

ふむ……そうですな。

俺も学校に通っていた時はその場所がすべてだったような気がしましたぞ。

無数に通っていた学校の間取りが脳裏を過りましたな。

「勇者として召喚された直後に学園に通うとかの展開があったら素直に従っていたかもね。あ、ループで実行はしなくていいよ」

お義父さんが焦ったように訂正してきましたな。

おや? やらなくても良いという事らしいですぞ。

「そういえばラトさんの研究所がある所とも何となく雰囲気が近いような気がするけど……」

「系列なのは間違いないなの。あっちは王都にある研究所って事なの」

「前情報だと結構伝統のある学園らしいもんね」

なんて話をしていると、樹に何やら豚が紹介されておりますぞ。

どうやら寮の管理をしている寮長豚だそうですな。

学園長は授業に合わせた調整をするとの事で去って行きましたぞ。

「ブブー!」

樹が学園の寮長豚に案内されて行きますぞ。

「転移スキルは所持しているので別に寮に住み込まなくても良いのですが……」

「ブーブーブブブブ、ブブブヒ」

何やら豚に説明されている様ですな。

樹はため息交じりに自室に宛がわれた部屋の前に来ましたぞ。

それからおもむろに、扉に手を掛け……何故かミリタリー好きな豚がやっていた扉に耳を当てた動作の後、豚に樹は尋ねますな。

「この部屋は僕の部屋になるはずで、誰も中に居ないはずですよね?」

「ブ、ブウ……ブブブ」

「そうですか……と言う事は」

持っていた弓を銃器……グレネードガンに変えて扉を急いで開けた後にぶっ放しましたぞ。

「パラライズスモークショット!」

バシュッと樹が弾を発射すると同時に扉を閉めました。

ブシューっと室内で煙が吹き出す音が響きました。

「ブヒィイイイイイイイイイイイイ!?」

という豚の鳴き声が響き渡り、やがて静かになりましたぞ。

「ブ、ブヒ……?」

「嫌な予感がしたので念のためやっておいて正解でしたね」

扉が開かれ煙が晴れると、そこにはシャワー上がりらしき全裸の豚が倒れておりました。

除菌作業中だったのですかな?

「ブ……ブブヒ? ブブブ……」

樹は見ない様にしております。

寮長豚が室内に入り、全裸の豚にタオルを掛けますぞ。

「大方随分前から空き部屋だったから更衣室代わりに利用していたとかではないですか?」

「ブ……ブブブブ……ブブ……」

寮長豚が倒れている豚に麻痺を治療する魔法を施しますぞ。

どうやら世界が誇る魔術学園であるのは間違いない様ですぞ。さすがはお義父さんに色々と力を貸していた魔法屋が入学していた学園ですな。

寮長豚も回復魔法完備の様ですぞ。

「ブブ、ブブブヒ! ブブブ!」

「いえ……そんな家柄と成績自慢をされましてもね。こっちは四聖勇者の弓の勇者なのでそれよりも遥かに格上ですよ」

「ブ、ブヒ? ブブブ! ブブヒーブヒー!」

何やら豚があっけにとられた顔をしたように見えましたが即座に我に返り、樹を指差して叫んでおります。

このノリ……なんとなく覚えておりますぞ。

おそらく、謎の勝負をしろと言い渡されているのだと思いますぞ。

「ブブブ……ブヒ! ブーブー!」

ここで寮長豚が大きな声で全裸豚に怒鳴りつけました。

「まずは学園の一室を無断使用した件を学園内の代表に報告してからではないですか? 後、勝負をしたからと言って、貴方の行いが無かった事にはなりませんよ。そもそも僕に姦計をしようとしたと疑われる事になるのでこのまま部屋を出た方が貴方の将来的に良いと思いますが?」

寮長豚に怒鳴られ、樹にバッサリと切り捨てられ、全裸豚は更に顔を赤くさせて喚き始めました。

その騒動を聞いて、学園長が文字通り飛ぶ勢いできましたな。

「一体何をしているんだ! 君は……この方を誰だと心得ている! 世界を波から救った四聖勇者の弓の勇者様だぞ!」

「ブ、ブヒィイイイ!?」

学園長に怒鳴られてさすがの全裸だった豚も事態の重さに気付いた様ですぞ。

「君は優等生だと思っていたけれど……残念だ。君が騒ぐ退学に関してだが、それは君にしなければならない。親御さんを悲しませるような真似はやめるんだ」

「まあまあ学園長……彼女も悪質だとは思いますが、将来を断っては可哀想です……僕に接近しないのなら不問にしますから、どうか慈悲を与えて上げてください」

「弓の勇者様がそう仰るのでしたら……弓の勇者様に感謝するんだな。早く出て行きたまえ」

「ブ、ブヒイイイ!」

権力が通じず、悔しげな声を上げながら豚は部屋を出て行きました。

「来ていただいた直後にこのような出来事に巻き込んでしまい。誠に申し訳ありません」

「気にしないでください。予感はしていたので……」

そう言いながら樹は部屋のベランダの方に行き……徐にグレネードガンにしていた弓をハンドガンに変えて――。

「ブヒ――」

パァンっと落ちてきた豚の眉間を打ち抜き、手すりに引っかからない様に弾き飛ばしました。

撃たれた豚がプカァ……っと地面にたたきつけられる直前に浮かんでから着地しましたぞ。

風を纏った装備だったみたいですな。

「そのお約束をへし折る……後はどこからきますかね?」

「ず、随分と弓の勇者様は用意周到なご様子ですね」

「ヒントをこれでもかとばらまいた方が居たのでね……とにかく、僕はこれから部屋で休みますね」

「はい……どうぞごゆっくり……」

っと言った様子で学園長と寮長豚は部屋から出て行きましたぞ。