軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

43 処理寸前

こ、これは……他人とは思えない所持スキル構成!

ルナス相手に転がって動かないのは失神したんじゃなくて死んだフリを使ってるのかよ!

というか死んだフリを使う魔物が居たのか。

「お客さん、そいつが気になるのかい? 買うなら安くするヨー」

「あまり見ない魔物だな」

死んだフリを維持して動かないタヌクマをルナスが起きろとばかりに軽く揺するが、タヌクマは動く気配が無い。

さすがはセカンドスキル。本当に死んでいるかの様だ。

「この辺りじゃ見ないヨー。もっと東の方で生息する魔物ダヨー」

「そうなのか」

「ただネー。持ってるスキル、同種内でも使えないハズレな子ヨー。この辺りナラ買う人いるかと思ったけどダメネー。可愛くない言われたネー」

まあ、なんて言うか犬系にしては不格好だし、柄も変だしな。

顔に茶色と黒の模様がある。

珍獣って思えば珍しいのかもしれないけど……。

「本来は嗅覚や潜伏持ちヨー。他に幻影使えるヨ。でもコイツ、使えないヨー」

店主がボロクソ言っている。

使役魔を売るって流れじゃない。

もう売れないと思っている奴の口ぶりだ。

まあ、いい。

えっと、ファーストスキルが本来は嗅覚か潜伏で幻影ってスキルも持ってる可能性が高いのに、そのどれもを所持してないと。

「でも荷物持てるヨ。それとこのタヌクマ、死んだフリよく使うヨ。捕まえやすいヨ」

捕まえやすくて悪かったな。

いや、俺が言われている訳ではないが。

死んだフリを本来持っている種って事なんだろうけど……なんとも偶然の一致って感じで嫌だなぁ。

「お客さんどうするヨ? 買わないなら処理して肉にして食べる所ヨ」

「え? 屠殺するのか?」

「そうヨ。無駄飯食らいで売れないから処分ヨ」

「……」

包丁を研いでたのってコイツを仕留めるための準備だったのかよ。

しかも売るための方便じゃない。

値札が何度も張り替えられていて本当に安いんだ、コイツ。

何という事だ……俺はどうにもこのタヌクマが他人には見えない。

こう、なんだ? 俺が売られている。

しかも格安で。

どうする?

ここで役に立ちそうに無いから見捨てて屠殺されるのを見逃せというのか?

問題はこのタヌクマって魔物。小型で目的にしている荷物を持ってくれる魔物としては体躯が足りない。

あくまで愛玩用の使役魔でしかないって所だ。

どうする……見捨てるのか俺?

「よし、買うか」

店主に話し掛けられて口数の減ったルナスがあっさりとそう言った。