軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

206 幼少の思い出

「ヌ、ヌマ」

ここはできる限りシュタインの邪気を逸らす方向で話を進めよう。

クマールも俺の意見には同意のようだ。

合体素材は、元に戻れるとしても恐いのは変わらないんだからな。

何より今のクマールのとの合体だとどんな姿になってしまうのか見当も付かない。

「いやいや、習熟が足りないだけではないか?」

「そうだね。練習すれば精度が上がるかも知れないよ」

コラ! ここで水を差して来るな! ルナス、クリスト!

シュタインのプライドを傷つけて困るのは俺達なんだぞ!

さすがにルナスの方は睨み付ける事で黙ってもらおう。

「む……まあ本職のスキルでは無さそうだし、限度はあるか」

さすがにルナスも察したっぽい。

けどクリストは何処吹く風だ。

怖く無いだろうな……お前は。

「何にしても僕も色々と……修練をしなきゃいけないね。ね? リエル、クマール!」

ああもう……シュタインが満足するまではゾンビ戦法を何処かでやってあげなきゃ行けなさそうだ。

「いやー楽しみだなー。クマールを欲しがった彼みたいに僕が、クマールをしっかりと操縦するからね。色々と魔法も使える様になったみたいだし、楽しみだなー」

「ヌマ……」

ゾンビでクマールの体を存分に操作しますって事ね。

確かに間接的にクマールの使う魔法をシュタインは指示させて使わせられるって事だもんな。

……俺もだけどな。

ふと気になるのは幽体離脱している状態でクマールって魔法を何処まで使えるのかって所か。

この辺りは後で確認をするべきだな。

「さて、積もる話はこれくらいにして、勇者ルナス。丁度君も国からの招集が掛かっているから会議に行こうじゃないか」

「む……もう少しリエル達と話をしておきたいのだが……」

「少し待たせている状況なんじゃないかな? 早く行かないと面倒になるよ」

クリストの言葉に職員も頷いている。

遅らせたのはお前だろと言いたくなったけど、ルナスだけ会議に行かせてクマールが決闘をするのは後でルナスがうるさそうだし良いか。

「後で存分に話す機会が訪れるよ。ほら、行こう」

「むう……わかった。では行ってくるぞ、みんな」

「いってらっしゃーい」

「ヌマー」

「いってらっしゃい」

と、俺達はルナスに手を振り、国からの指示をクリストと共にルナスが聞きに行くのを見送ったのだった。

それから俺達は酒場でルナス達の会議が終わるのを待つことになった。

「招集か……一体どんな会議があるのやら」

代表はルナスだし、こういった場でルナスがやらかす事はほぼ無いけど不安だな。

特にクリストが居るとな。

「ヌマ」

クマールが俺に対してクリストってどんな人なのか聞いて来る。

んー……ぶっちゃけ幼少時に知り合った偉い人の息子って感じ。

腹黒具合はシュタイン以上かも知れない。

「ヌマ……」

主人の旧友関係って問題ある人多いんですねって……分かって居たけど言われるときついな。

シュタインもそうだけど優秀ではあるんだぞ。

そういうクマールはどうなんだ?

こう……俺達と出会う前、元々所属していた所とかで居ないのか?

「ヌマー」

幼い頃は従姉妹と遊んでいたね。

「ヌマヌマヌマ」

で、隣山の魔物の子によくいじめられてからかわれていたね。

毎度絡んで来て困ったと……幼少時にいじめられてもいたのかクマール。

「ヌマー……」

クマールが腕を組んで首を傾げている。思い出せばいじめかどうかは怪しいと。

度が過ぎたスキンシップだったとかなのかね。

「ねえねえ、リエル。クマールと話をしてるのは分かるけど僕もある程度混ぜてね」

「……はいはい。クマールがお前とクリストに関して聞いてるんだよ。昔馴染みって面倒だってな」

「まー僕の場合は親同士が色々と親交が深い間柄って所かな。公私関係なく」

そりゃあそうだろうよ。

シュタインって今でもエリートなんだし。

「あ、今はお忍びだからネタバレは厳禁だよ。そもそも顔もほとんど割れてないし、研究者肌だから知ってる人も少ないって感じなんだよね」

「王宮のギルド職員にはバレッバレみたいだけどな」

「他の冒険者や勇者は知らないみたいだよね」

「研究者肌ねぇ」

「昔からリエルの事は評価してたよ。外れスキルを授かったって話をしたけど「それでもリエルは何処かで頭角を現わすよ。冒険者として成功するとは限らないけどね」ってさ。なんかスキル重視の冒険者で上手く行かなくても、引退した後に伸びるって思ってたみたい」

評価されるのは嫌じゃないけどクリストはあまり絡みたい相手じゃないんだよな……いろんな意味で。

顔は凄く良いし、微笑を浮かべているだけなら害は無いんだけどさ。

ルナスがイケメンってニックネームで呼ぶ程には顔が良いし、色々と他とは違うのは分かるだろう。

「で、クリストは一体どんなスキルを授かったんだ?」

「そこは本人が自己紹介で話すでしょ。ネタバレすると不機嫌になるだろうから黙ってるよ」

意味ない秘密主義って所はアイツらしいな。

で、クマール、お前をいじめていた奴ってのも似たような感じなのか?

「ヌマー?」

ちょっとよくわかんない関係みたいだ。

幼少時に俺はいじめられるって事は無かったからな……スキルを授かった後は無数にあったけどさ。

人間扱いされない事もあるし。

クリストは……いじめとかはしなかったな。

ただ、凄い変わり者で面倒だったって感じだ。

シュタインと一緒に罠を作って大人を引っかけたり、カカシに細工をして害獣の魔物を察知したら検知して狙撃する道具を自作したりとか……その余波で畑の持ち主が狙撃されて怒られたり。

肥だめの発酵を促進させるために薬剤を投入して大爆発を起こして周囲を地獄絵図にしたり……。

……控えめに言ってクソガキを超えた何かだ。

誰だ。アイツ等に変な才能を与えたのは。

スキルを授かる前の話だけどな。

シュタイン共々嘘泣きで乗り越えた姿を無数に見た覚えがある。

秘密基地とか作ってたし……1年しか一緒に居なかったけど密度だけは果てしないな。

あのヤバイのが大人になったらどんだけヤバくなっているのか……これからの事を思うと頭が痛くてしょうがない。

ただ……調合関連を教えてくれたのもクリストだから悪い話だけではないのかな……。

「で、話は変わるけどクマールって魔法を使う際、尻尾が膨らんでたりするけど相手の頭が良いと気付かれない? 大丈夫?」

人間だと杖の先とかが光ったり、魔力を練っている部分とかで気付けたりするよな。

なので大技とか、難しい魔法は相手が避けたり防御出来ない状況に追い込んでぶつけるのがセオリーらしい。

ホーリーボールとかは詠唱早いし低威力でも実用性が高い。

覚醒中のルナスだったらそんな隙を無しに大技を放てそうだけど、ルナスの話だと勇者って特化スキルよりも勇者の怒りは覚醒効果がある分、習得や精度が劣るそうだ。

なので勇者のスキル持ちが使う大魔法は使えていない。

十分Lvも上がっただろうし、使える様になったんじゃないかとは思うんだけどなぁ。

「ヌッマ」

ポン! っとクマールが腹部を叩いて答える。

「尻尾は余剰魔力と発動補佐式を放出する所で見せないように発動も出来るってさ」

「弱点って訳じゃないのね。何より発動中の尻尾とか攻撃にも使えそうな感じか」

「そうだな。高魔力を纏った武器みたいな運用も出来そうだ」

「ヌーマー!」

バチバチとクマールが尻尾に魔力を凝縮させて軽く素振りしてる。

当たったら下手な魔物だったらやられてそう。

というか、尻尾で杖を持っている。杖先が輝いてるぞ。

「ふふふ……」

シュタインがそんなクマールを見て獲物を見つけたように笑っている。

スンッとクマールの誇らしげな顔が恐怖に縮んで行く様に見えた。

使役魔を連れて魔物医の所へ行った際の嫌がっている姿を思い出す。

やり過ぎちゃったな……本当。

って感じに俺達は雑談をして待っていたのだった。