軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

189 同期

「どっちかと言うとルナスは羽飾りとかの方が頭につけるのは似合うと思うけどな」

サークレットも悪くないけど羽飾りの方がルナス向きな気がした。

「羽飾り……ああ、異国の民が付けている変わった装備類だな。クマールではないが独特の口調とペイントをするアレを君は似合うと思っているのか……」

ややルナスのテンションがダウンしたぞ。

……なんかルナスの想像している物と俺の考えている物が違う気がする。

「ヌマー?」

クマールもよくわからないって態度で小首を傾げてしまった。

「君が望むのなら検討しようとは思うのだが……」

「ルナスさんがボケを思いっきりしてるのがわかるよ、リエル」

「そうなんだろうなとは思ってる」

「む? それはどういう意味かね?」

「単純にアクセサリー的な髪飾りタイプの羽飾りをリエルは似合いそうだなって言ったんだよ」

「ああ、なるほど」

「女勇者って雄々しいけど美女って感じだし、過去にはそういった装備を付けている人とかいるじゃないか」

実在するかわからないけど勇敢な戦士と共に戦う天使とかにそういった類の女性が出てきたりするのだ。

「ワルキューレの事か。今でもとある国では女勇者をそう呼ぶことがあるそうだぞ。神に選ばれた戦士として国が認めた女勇者の称号だ」

「じゃあある意味ルナスも該当する訳か」

「そうなるな。なるほど、あんな感じの格好を君は望むのか……確か昔、羽を象ったヘアバンドを手にしたことがあったので今度君につけて見せてあげよう」

ヘアバンドって……羽のヘアバンドなのか? あれって。

少なくともルナスは昔、着けていたことがあるっぽい。

「聖なる加護が掛かるヘアバンドだね」

「うむ。弱いが光属性が施されている小物であるぞ」

「確かにあれはルナスさんに似合いそう」

「そうだな。魔力でカバーする範囲を増やすので見た目以上に防御性能がある。リエルが気に入ったなら着けるのも悪くはないぞ」

「検討してくれて何より」

想像するとルナスに似合いそう。

「加工して兜にもつけたりするよね」

「うむ!」

「いや……ファッションで似合いそうだって思っただけなんだが……」

どうにも話がかみ合っていない気がするな。

「ヌマヌマ」

ルナスはハイロイヤルビーみたいな恰好も似合いそう?

まあ……アイツ等と負けず劣らずの美形だもんな。ルナスは。

ただ、そのリクエストをするとルナスがハイロイヤルビーを敵認定するからやめような?

「ヌマ」

と言った感じで市場の小物などを物色しながら賑やかな会話をしていると……。

「キューイー……」

っと、空から甲高い鳥の声が聞こえたので見上げると、ファルコンが鳴きながら旋回しつつ降りてくる。

ああ……こいつは……。

俺はグローブを着用して手を上げると、ファルコンが降りてきて腕に止まった。

「キュイ!」

「久しぶりだな。俺に気づいてきたのか? お前の飼い主は……」

「おーい!」

と、俺の腕に着地したファルコンに声を掛けていると小走りで駆けつけてくる人物が現れる。

そいつの隣にいたウルフも楽しそうに俺を見るなり尻尾を振って近寄って来た。

「やっぱりリエルだったか。こいつが一目散に飛んでいくなんてやっぱお前だけだよな」

「お前も久しぶりだな。調子はどうだ?」

俺に声を掛けて来たのは俺と同期のレンジャー仲間のサクレスという奴だ。

バックス講師には目を掛けられなかったけれど問題の無い無難なスキル構成をしている。

レンジャー見習いの頃は俺を気に掛けてくれている友人って間柄の関係だった。

時々世間話をするような仲だったんだけど、俺よりも先にどんどん行ってしまって……俺が宮仕えになる前の同期で一番の出世をした奴だな。

所属したパーティーのLvが高く、上手く溶け込んだおかげで宮仕えにまで至ったとか。

ある意味、俺と同じか。

「やっとの事、国に戻って来た所だよ。まったく、宮仕えになったのは良いのに魔王軍討伐遠征に出されて苦労したもんだ」

あー……栄転とも左遷とも言われる任務を請け負ったのか。

通りで王宮で見ないはずだ。

「戻って来たって事は何か進展とかあったのか?」

「いや? ただ、単純に任務期間が長くなったから国への報告と交代になった感じ。満期って奴だ。本当……魔王軍を相手に戦い疲れちまったよ」

「よく生きて戻ってこれたな」

「そこは色々とあったけど、頼りになる仲間とお前が育てた優秀な使役魔がいたお陰だな」

「お世辞を言っても何にも出ないぞ」

「お世辞を言ってねえよ。な?」

「キューイ!」

ファルコンがサクレスの言葉に応えるように鳴いて見つめてくる。

ウルフもだけどお前も元気そうで何よりだ。

「そっちはどうなんだ? お前の事だからスキルなんて知った事かとばかりに知恵をひねって上手くやってんだろ?」

「あー……そこまでスキル無視で上手くはやってないかな」

ぶっちゃけ死んだフリで色々と上手く行って、相当強くなったのは否定できない。

知恵をひねるってのもあんまりしてないんだよな。

どちらかと言えば知恵をひねっているのはルナスやクマールの方だ。

「ただ、上手い事、宮仕えにはなれたよ」

「おおー! やったな! そういやここに来るまでにギルドからの連絡で聞いたんだけどよ。あのバックスの野郎が死んだんだってな? アイツ、お前の事をゴミを見るような眼をしてた挙句、こいつ等を汚物みたいな扱いをしてて気に食わなかったからざまぁみろと思ったけど知ってるか?」

ああ、知ってるとも、実質殺したのは俺みたいなもんだしな。

って答えづらい話題だな。

仲が良い分、困った状況だ。

ヤバい奴って思われたらどうしたもんか。

いや、そんな奴じゃないのはわかるんだけどな。

バックス講師には好かれてなかったけど、同期の中じゃエリートだったのがサクレスなんだ。

俺を気に掛けてくれる、文字通り嫌みの無い優等生で俺の為なら悪態も良しとする感じで。

見習い時代は他人の悪口位言ったって良いんだぞ? って心配までしてくれた……俺にとっては良い奴だ。

などとサクレスと話をしているとルナスとシュタイン、クマールが輪に入りたそうにしている。

「リエル、知り合いかね?」

「ああ、同期のサクレス。レンジャー見習いの時に仲が良かったんだ。こいつも宮仕えのレンジャーなんだよ。サクレス、彼女が俺のパーティーでリーダーをしている勇者ルナスだ」

「サクレスだ。リエルが宮仕えになったって事はあなたが代表で宮仕え勇者って事なんだな」

「うむ。私はルナスだ。リエルの友人だ。気軽に呼び捨てで呼んでくれ」

……なんか言うかと思ったけど自己紹介を手短にルナスが黙り込んだぞ。

腹黒で残念な所を隠そうとする癖が思いっきりここで出てるな。

「リエルは実に優秀でな。非常に助かっている。私達の要となるような存在だ。いつも助けられているよ。私も彼のように努力をせねばな」

「おーリエル、良いパーティーに入れたみたいだな。なんか前に見た時はプリーストと賢者がヤバそうだと思ったけど、ルナスは良い人そうじゃん」

勇者の怒り中毒の残念な人だけどなって言葉をぐっと飲みこんで俺は頷く。

ルナスは知らなくて、マシュアとルセンは知ってるんだっけ?

前に酒場で会って話をした際に二人が賭博をムキになって喧嘩に発展しているのを見られたのを思い出した。

まあ……ルナスは敵対しなきゃ問題はないよな。

言葉の切れ味が果てしないから要注意だけどさ。

「リエルとの話を聞いた限りではどうやら長い事国を出ていたようだな」

「そうなんだよ。やっと一度戻る事が出来たって所さ。で、こいつがいきなり飛び立って行ったから追いかけたらリエルと再会したって訳だ」

「ほう……」

「こいつらはレンジャー見習いの時にリエルがマメに世話をして育てた使役魔なんだよ。あれから随分と経つけど覚えてるんだな」

「キューイ!」

「バウバウ」

ファルコンとウルフがサクレスの言葉に頷くように鳴く。