軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

149 成長

「ちなみにワーウルフからなんだけど返り血を浴びるとその分、腐敗が消えるらしい。体力吸収が付いているって事だね」

臭いアンデッドが嫌いならワーウルフまで我慢して使役してろよと思うけど……おそらくシュタインは無敵のゾンビって所で俺達を推して進化させて使役したいんだろうなぁ……。

定期的に返り血を浴びて鮮度を維持しないと行けないとか厄介すぎるし。

そんなデメリットが無く使える俺とクマールが好ましいと……。

「ワーウルフと言っていたがワーベアとかには出来ないのか? 先ほどのリエルとクマールの合体はワーベアに近い物だと私は思ったのだが」

「出来ると思うよ? ただ、クマールって別種だから……なんだっけ? クマールの種族」

「タヌクマ」

「じゃあワータヌクマって事になるのかな? あの時のリエル達は」

名付けをしたからって認める訳にはいかないからな。

「じゃ、少しばかり攻撃力が足りないけどリエルゾンビ単体で進化出来る様にやっていこうか」

「やっていこうかってそっちも似たようなもんだろ」

ワーウルフ姿に俺の体がなった際に死んだフリを解除したら俺の体はどうなるんだよ。

「こっちも大丈夫だって」

一体どこからそんな自信というか根拠が沸いてくるのやら。

「そろそろ立って良いかな? いい加減回復魔法を定期的に掛けるのも疲れてきた所なんだけど?」

この問答をしている最中、シュタインには焼き正座をさせていた。

まあ……罰としてはこれくらいで許すのが良いか、俺がワーウルフにされてしまうという事は寛大に許可しなきゃ行けないけど。

「あんまり反省して居る気がしないけど……はあ、確かにルナスに比べるとシュタインの戦法が頼りなくなりそうだったもんな」

まだ俺達は41階まで行かなきゃ行けないし、将来を見越して力を身につける必要はある。

じゃないと迷宮の先へ行った際、思わぬ事で命を失い兼ねない。

手札は多いに越したことは無いのだ。

「そう来なくっちゃね。頼れる物は僕らのリエルさ」

「リエルの体がワーウルフに進化したとして……私も負けて居られないな!」

「元がリエルの体だからね。最強のワーウルフ……いや、もっと上のアンデッドにしてみせるさ!」

なんて感じでシュタインの激しく同意しかねる夢を聞くことになるのだった。

うん。本気で知りたくなかった。

ワーウルフに早々に進化しないことを祈るばかりだと思っていたのだが……。

「ワオォオオオン!」

うん……俺の体がシュタインの魔法を受けて棺桶から起き上がったと同時にワーウルフに変身するようになってしまった。

「ヌマオオオン」

クマールのゾンビも……ボワッと毛が膨れてタヌクマだったのが狼っぽい顔つきに進化して動き回るようになった。

『ヌマー』

ちょっとクマールが進化した自分の体をカッコいいと思っているのが分かる。

自分の種族に誇りは無いのか? いや、単純に強くなりたいって思って居るからその意識の関係か?

犬に近い生態をしている所があるから親戚種だと思うけど……。

クマールと念話した所、元々居た山にはウルフっぽい魔物もいたらしい。

恐怖と同時に憧れって事か……自分の体がウルフっぽい姿になることはまんざらでも無い訳ね……。

「ルナスさん、リエル! どうだい! 僕の墓守のスキルもどんどん成長していってるのさー!」

っと、シュタインの誇らしげな態度が酷く印象的な出来事だった。余り邪悪な成長は勘弁してほしいもんだ。

そんな感じで俺達は36階層を進んで行ったのだった。

一旦野営地に戻って野宿などを挟みつつ、目当ての主……ファイアジュエルドラゴンを発見、戦いやすそうな場所へと誘導して勇者の怒り戦法で挑んだ。

結果だけで言うと……6倍強化状態となったルナスの前にファイアジュエルドラゴンはあっさりと倒される事になってしまった。

コールドボルトを4連射したルナスの前に火属性の大型ドラゴン、ファイアジュエルドラゴンも氷漬けとなって倒される等微塵も思わなかったと言った表情で倒されてしまった。

氷漬けで絶命したファイアジュエルドラゴンを少し解凍し、心臓と核石を採取。鱗や皮なども一緒に解体して荷物に入れた。

……一応宮仕えになる事になった時のドラゴンよりも強いドラゴンのはずなんだけどな……こんな簡単に倒してしまって良いのだろうか?

ファイアジュエルドラゴン捜索をしている最中に遭遇した強めの魔物にドラゴン種がいた所で予感はしていた。

そうして36階での当初の目的である依頼を達成した俺達は探索の末に37階層への道を見つけた。

「いやぁ……この階層は熱かったけど色々と見つかって最高だったね」

ちなみに探索をして居る最中に火耐性のローブとスタッフオブルーンという古代文字が刻まれた杖を見つけたのでシュタインに装備させた。

階層が階層なので、シュタインが元々所持して居た装備よりも性能が高く、魔力がかなり上がったらしい。

結果……まあ、俺とクマールのゾンビのワーウルフ化が促進されてしまった訳だがな。

そんな感じで……36階に到着してから二日目の夜、丁度39階に到着に差し掛かった頃の事だ。

「ヌマァ……」

「……」

「……」

俺はチラチラと……料理をしながら完成が待ち遠しいと目をキラキラさせる俺の背もたれとばかりにお腹で支えるクマールへと視線を移しながら改めて色々と考えて居た。

それはルナスもシュタインも同様の様だったのは間違い無い。

今晩の料理はドラゴンステーキというドラゴンを倒さないと食べられない贅沢な代物だ。

このドラゴンステーキは36階で大量に確保した。

ドラゴンの中でも食べられる種類はしっかりと確保して食料としている。

下処理もしっかりしているから……店には味が劣るけど野営時には気にならないはず。

他に岩塩とかもすり込んで燻製肉も作って居るので当面肉には困らない。

……食欲旺盛なクマールに随分と食べられてしまったけどな。よく食べるのは良い事だ。太らせてはいないぞ。

「リエル」

「なんだ?」

「敢えて言わないようにしていたし、少年も黙っていたから聞いてはいけない事かも知れないと思っていたが、尋ねて良いか?」

ルナスが何に関する事を聞きたいのかとばかりに視線を向ける。

「僕もなんとなく思っていたんだけどさ。リエル、聞いて良い?」

「これも魔素の影響と言うのが正しいのかね?」

「あの使役魔屋、街に戻った時に文句を言うのは心に決めてるからな!」

どん! っと完成させた4人前のドラゴンステーキを俺はクマールの前に差し出す。

「ヌマー!」

頂きまーす! っとクマールがお行儀良く手を当てて鳴いてから持たせていた蜂の巣を握って最後の蜜を絞り出してからバクバクと食い始めた。

「何がこれ以上、大きくならないだよ」

思わず愚痴りたくもなる。

それもそのはず……クマールが、でかくなった。

具体的には全長2メートル以上にな。

元々のクマールの体躯から比べると驚異的な大きさにまでなっている。

抱えられる程度だったクマールは何処へやら、もう俺が背中に乗ってもなんとも無いほどの大きさになってるぞ。

僅か数日でどうしてこうなった。

「昨日と比べて40センチも成長してるぞ! 成長期にしたって限度があるだろ。どこまででかくなるんだ、クマール!」

俺はクマールの観察記録をルナスとシュタインに見せつけて言った。