軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

13 新たな力

棺桶が出てくるとか。

なんとも……ここまで露骨に俺は死んだ事になっているのかよ。

今まで単純に意識がなくなって倒れているだけかと思っていたぞ。

で、なんでこんな事がわかるかというと、死んだフリを使うと同時に……俗にいう幽体離脱状態になって棺桶の上で周囲を認識出来るようになってしまったのだ。

これが死んだフリの新たな力とでも言うのだろうか?

……そういえば俺は勇者の怒りが発動したルナスを見た事がなかったな。

まあ俺が死んだフリを使う事で発動するのだから当たり前なんだけどさ。

風聞では尋常ではない強さになるとか。

その勇者本人であるルナスが俺みたいな奴に身体を使ってまで媚を売ろうとする力だ。

なので勇者の怒りが発動したルナスがどれ位強くなるのか、気になってはいた。

「「ハイ・ホーリーファイア!」」

残像を纏ったルナスは遭遇したグレーターデーモン2体に向けて手をかざして……ハイ・ホーリーファイアを唱えた。

するとルナスの手からまばゆい光を放つ通路を埋め尽くすほどの巨大な火球が出現して周囲を焼き尽くす。

「ガァ――」

ルナスに向かって攻撃しようと構えてたグレーターデーモンは驚愕の表情で一瞬で焼き尽くされてしまった。

爆炎が二度起こったのは……おそらく二回、ルナスはハイ・ホーリーファイアを放ったんだ。

いや……普段のルナスが放っていたハイ・ホーリーファイアってもっと小さいボール大の魔法のはずだ。

しかも一度に二回も放てない。

というか放てる訳がない。

何より周囲を焼き尽くす程の威力でもない。

あれが例の範囲効果の付与とやらか?

それにしては随分と威力が上がっている気が……。

これがルナスのファーストスキル、勇者の怒りが発動した状態……。

俺は幽体離脱状態でありながら、背中にピリピリと走る感動の様な何かを感じた。

「口ほどにも無い」

ルナスはグレーターデーモンを殲滅すると満更でもない顔でそう言った。

俺が死んだフリ状態なので見えていないんだろうけど、凄く爽快そうな口調だったな。

周囲の魔物の気配が消え去ったので俺の死んだフリ状態が解除され、幽体離脱の目線が戻る。

「倒したぞ」

「そうだな。凄いな……ほぼ一瞬だった」

「おや? 具体的な所まで把握しているのかね?」

「ああ……使うと周囲の状況を魂が抜けた状態で見えるようになったと言うか」

「それは素晴らしい! 君の死んだフリがパワーアップしたのだろうな。となると私の勇者の怒りも合わせて強化されるかもしれん」

そうだったら良いなとしか言えない……。

しかし、相変わらず何も出来ないというのは変わらない訳で。

まあ意識を失っているだけの状態よりは遥かにマシだと思うし、実際の動きが見れたのでピンと来ない、という認識ではなくなった。

そういう意味ではパワーアップなんだろう。

「スキルの性質上、君に見せられなかったのが口惜しいと思っていたのだが、わかってくれたかね? 私達の雄姿を」

「マシュア達がすごいと賞賛していた意味がわかった」

今まで俺はルナスが力を発揮した時は死んだフリをしていたので直に見る機会は無かった。

そりゃあ俺は動けないんだから当たり前だった訳だけど……。

確かに今のルナスならグレーターデーモンを雑魚と言える力で処理出来る。