軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

61話 ツリーハウス

サンタンカの村で、本格的な干物とスモークサーモン作りが始まった。

作られたスモークサーモンは高級品として、商人や貴族達に販売されており、アストランティア外からの注文もある。

だが、スモークサーモンは燻製にしてあるとはいえ、5日程しか保たない。

それ故、隣の都市――ダリア以外への輸出は基本的には無理。

アイテムBOX持ちの業者がいれば別だが、今のところ申し出はないようだ。

それでも、密かに転売している奴らがいるので、アイテムBOX持ちがそれに関わっているらしい。

ダリアへの輸出は 勿論(もちろん) 、マロウ商会が 携(たずさ) わっている。

プリムラも商業ギルドを介して、マロウさんと手紙で連絡を取り合っている模様。

なるほど、ギルドにはそういう使い方もあるのか。住所がなくても手紙のやりとりが出来るって事だ。

スモークサーモン作りが始まったサンタンカには俺からの商品も卸されている。

それは商品を作る際、骨を取るために必要な毛抜きだ。

シャングリ・ラで買うと1本1000円の毛抜きだが、それをお友達サービス価格の銀貨1枚(5万円)で販売している。

スモークサーモンの口当たりを良くするためには、この毛抜きが欠かせない。

だが、同じ物を貴族に販売する時には1本銀貨2枚(10万円)である。だが貴族の女子は、皆がこの毛抜きに飛びついた。

身だしなみを整えるためにどうしても必要だからである。

アストランティアやダリアはもとより、遠く離れた領地の貴族からの注文も入っているらしい。

わざわざ買い付けのための使者を寄越してまでも、手に入れたい品物という事なのだろう。

――さて、商売はプロフェッショナルのプリムラに任せてしまったし、俺は何をしようか。

せっかく高所作業車を買ったんだ、何か活かせる事があればなぁ……。

「高所、高所――木の上…………ツリーハウスなんてどうだ?」

ガキの頃、板を持ち合って木の上に秘密基地を作ったりしたが、もっと本格的なやつを作る――これだな!

「決まりだ」

ツリーハウスを作るのに、高所作業車があれば作業は 捗(はかど) るだろう。

早速、シャングリ・ラでツリーハウスの電子書籍を購入して、研究に次ぐ研究。

だが、参考例に載っているツリーハウスは、とんでもない高度な物ばかり……こんなのデキッコナイス。

普通に想像するツリーハウスといえば、家の真ん中に太い幹が刺さっていて――そんなイメージだが、それを作るとなると中々に大変だ。

大体、近くにはそんな巨木がないのだ。森の奥まで行けばあるのだが、やはり家の近くでないと不便だろう。

ツリーハウスの写真を見ながら、俺にも作れそうな物を検討する。

立っている木を柱に見立てて、ステージを作り、そこへ小屋を建てる。小屋は皆で住んでいる家と同じメーカーのキットが50万円で売っている。

6畳1間の造りだが、ツリーハウスならそれで十分だろう。そして床の角に穴を開けて、はしごで登れるようにする……中々よさ気だ。

普通の階段を作ってもいいのだが、ちょっと秘密基地感を出したい。

小屋は後載せなので、アイテムBOXへ収納出来るがステージは固定だ。

ここから撤収する際には放置という事になってしまうのだが、やむを得ない――男のロマンを優先する。

先ずは小屋のキットを買って、そいつを組み立てる事にした。キットは何度も組み立てているので、手慣れた作業だ。

小屋を完成させてからサイズを測って、それを載せるステージを木の上に作る。

そして、ステージが完成したら、そこへ小屋を載せればいい。通常ならデカいクレーンが必要になるが、俺にはアイテムBOXがある。

最後にアイテムBOXへ収納した小屋をステージの上に出せばOK。簡単楽ちん、これがチートでなくて、なんなのか。

しかし皆に仕事をさせて俺だけ遊んでいるような……いや、家を建てるのは遊びじゃないのでOKだろう……多分。

それに崖から掘り出した薔薇輝石だけでも、しばらく食えるだけの金になった。

しかし元世界で結婚をしてて、裏山にツリーハウスを建てたい――とか言ったら大反対されるんだろうな。

幸い、俺の周りにいる女性陣は、男のやる事に寛容だ。それには感謝をしたい。

「ポチッとな」

最初の家の時と同じように、空中からガラガラと板や窓が落ちてくる。

以前、購入した時は窓が割れたりしたんだが、今回は大丈夫だったようだ。

3角屋根で正面には扉、部屋は正方形で6畳、玄関には小さなデッキがある――それが完成図。

「また、家を作るにゃ?」

「ああ、今度は木の上に作ろうと思ってな」

「にゃ! それは良いにゃ。獣人の村では、木の上に家を作ったりするにゃ」

「へぇ~、そいつは見てみたいなぁ」

獣人は高い所が好きそうだからな。彼女の話では、普通は部族のリーダー等が住んでいると言う。

ミャレーとアネモネにも手伝ってもらい、小屋を組み立てる。

通算これが4つ目だし、今回は高所作業車もある――楽勝だ。最初の家に比べてかなり小さいので、4日程で完成。

やはり力持ちの獣人がいれば早い。

森の中に家を建てた時も、獣人に手伝ってもらえば、半月ぐらいで完成出来たのではないだろうか。

「旦那、この家を木の上に載せるのかい?」

飯を食い終わった後も、明かりを点けて仕上げの作業等をやっていると、酒の入ったカップを片手にニャメナがやって来た。

「ああ、中々いいだろう」

「しかし、旦那は何でも出来るねぇ」

「まぁ、皆が手伝ってくれてるし、召喚獣もいるからな」

「あいつら、本当に働き者だな」

「獣人も木の上に家を作るって聞いたけど?」

「ああ、確かにそうだけど、木の上に住んでいるといえば、エルフだろうな」

ふむ、彼女はエルフに会ったことがあるのか――本当にいるんだな、興味深い。

「エルフに会ったことがあるのか?」

「ああ、森の中で何回かあるよ。お高くとまって、いけ好かない連中さ」

ニャメナの話では、独自の言語を持ち、話があまり通じないらしい。そして極端に排他的だと言う。

容姿を聞くと、ファンタジーに出てくるエルフそのものだな。

耳が長くて、青や緑色の服装を着こなして、弓矢や精霊魔法を使う……そして不老で美男美女揃い。

森の中から出てくる事も滅多にないので、街の中で見かける事もないと言う。

なるほどねぇ。

------◇◇◇------

プリムラの店は順風満帆。何の問題もない。俺は、ツリーハウスの続きをするとしよう。

近くに立っている木を柱に見立てて小屋を載せるステージを作り、最終的には、そのステージがそのままテラスになる。

小屋の大きさは、4m50㎝✕3m――テラスの幅は1m欲しいから、ステージの大きさは6m50㎝✕5m、地上からの高さは5mを予定している。

木が丁度良い具合に長方形に並んでいれば、そのまま使えるのだが、中々そうはいかない。

近くの森を探し回って木が3本利用出来る場所を見つけたので、残りの1本は俺が丸太を立てて、それを柱とする。

丸太はアイテムBOXに入っていた10m弱の丸太を使用する。こいつは、以前いた森で伐採した物だ。

木の質や大きさ等は、以前住んでいた森の方が良いようだ。

シャングリ・ラには長い角材が売っておらず、全部辺りで伐採した材木を使用している。

伐採したての材木は当然生木。このままでは使用出来ないので、皮を剥き乾燥をさせなくてはならない。

俺とミャレーで木材の皮を剥いていたのだが、あまりにも大変なのでシャングリ・ラで何か良い物がないか検索する。

すると、チェンソー用のアタッチメントで木材の皮を剥く機械が売っていたので――早速、購入。

「おお~っ! こいつは早いぜ!」

バリバリという音を立てて、丸太の皮が剥かれていく。機能としては電動カンナに近いだろうか。

とても便利なので、チェーンソーをもう一台買って、アタッチメントをつけっぱなしにしている。

「凄いにゃ! それも魔道具にゃ?」

「まぁな」

そして、最後の仕上げはアネモネに仕事を頼む。

「よし、アネモネ。ここに積んである木をやってくれ」

「解った! む~、 乾燥(ドライ) !」

彼女が唱える魔法と共に、木から白い湯気がもうもうと出始め、ピキピキと音を立てて変形収縮していく。

ここで活躍したのは、アネモネが新しく覚えた 乾燥(ドライ) の魔法。対象物から水分を抜いて乾燥出来る。

勿論(もちろん) 、洗濯物も乾かせるし、魚や肉も干したり出来る。凄い便利。

道具屋の婆さんが――彼女は生活魔法も使えるはずだと言っていたが、マジであっさりと使いこなしてみせた。

やはり、彼女は魔法について凄い才能を有していると思う。

先ずは、正確な測量と位置出し。建築する場所は畑の横、森の入り口から30m程奥に入った場所。

そこに丸太で柱を立てるために、ユ○ボで穴を掘り――コ○ツさんで、防腐剤を塗った丸太を釣り上げて立てる。

ユ○ボとコ○ツさんの2台体制になったので、色々と作業が 捗(はかど) るぜ。

そして、ユ○ボで埋め戻せば、柱立ては完了。こんなの人力じゃ絶対に無理だろ。

重機で釣り上げながら横にも細い丸太を渡し、筋交いや貫通ボルトで固定していく。

生えている木を一切傷つけないで、建てる事も出来るらしいが、俺には無理。

恐らく、獣人達やエルフのツリーハウスはそのような構造になっている物と思われる。

そして、完成した4辺の中に田の字型に丸太を組んで、その上に板を貼っていく。

自然の丸太は、曲がっていたり凸凹なので、板を水平に貼るのは大変だ。

皮を剥く時に使った、チェーンソーに付けたアタッチメントで丸太を削ったり、シャングリ・ラで購入した角材で位置を調整したりして床を水平に保つ。

そして苦労の末――木漏れ日の中、地上5mの高さに平らなステージが現れた。

「う~ん、ミニチュア版清水の舞台みたいな……」

後は、ここに小屋を載せて、仕上げをするだけだ。

強度的には大丈夫であろうか? とりあえず、載せてみない事には解らないのだが。

ガキの頃の遊びの延長という事で、木の上にツリーハウスを作る。そのためのステージが、地上から5mの高さに出来上がった。

中々、いい出来だと思う。だが、シャングリ・ラには長大な角材等が売っていないため、殆どを森の木々で賄った。

そこで活躍したのが、アネモネの新しい 乾燥(ドライ) の魔法。生活魔法というものだが、とても役に立つ。

普段の生活でも、重宝しそう。

「うにゃー!」

ミャレーが柱代わりに使っている大木にしがみつき、桁に使っている丸太に手を掛けると、流れるような動きでステージの上に飛び乗った。

「結構広いにゃ!」

「そこに小屋が乗るからな」

どこからともなくベルがやって来て、ミャレーに続き木に爪を立てて登っていく。そして、木の上に出来た新しい陣地を隅々までチェック。

「みゃ!」

ミャレーがステージの上で、連続バク転をして、最後に空中回転を披露。まるで体操選手だ。オリンピックでも金メダルだな、こりゃ。

「ミャレー! 捻(ひね) りは出来ないのか?」

ステージの上でポーズを決めている、ミャレーに声を掛ける。

「ひねりにゃ?」

俺が手のひらを 捻(ねじ) ってお手本を示すと――彼女は、その通りにクルリと空中で捻りを見せた。

「おおっ、出来るのか」

「そりゃ旦那。あれは敵の背後を取る基本技だよ」

いつの間にか、俺の横にニャメナが立っていた。なるほどなぁ――敵の頭上を飛び越して背後を取るのか。

今日は、プリムラの店の休息日らしい。支店長のアイリスがやって来て、プリムラと一緒に帳簿の整理をしている。

それじゃ全然、休息日になっていないような気もするんだが、2~3時間で終わるので、その後は休みとなるようだ。

料理の仕込みのために街で借りている調理場でも、清掃などが行われているという。

「アイリスは帰ったのか?」

「ああ、俺が背負って街道まで行ってきた」

ニャメナも、ステージの上に登りたいのか、そわそわしている。

「昼飯でも食っていけばいいのに……」

「たまの休みは家族と食事をしないと、親父さんがうるさいんだと」

それなら、「早く嫁にいけ」――とか言わなきゃいいのに。

「アネモネは?」

「アネ嬢は家で本を読んでいるよ」

俺達もアルミ脚立をアイテムBOXから出して、ステージの上に登る。

見下ろすと結構な高さがある。平屋建ての屋根の天辺に登った感じに近いかな。

今のところ、ステージは只の板。このままでは端から落ちてしまうし危険だ。柵を設置する必要があるだろう。

「それにしても、旦那」

「なんだ?」

「崖の所にあるような、鉄の管で足場を作って、その上に家を載せればもっと簡単だったんじゃね?」

「そりゃそうだが……森の中に鉄は合わないだろ。せっかく木の上に作るんだから、木で作らないと」

「そういうもんかねぇ」

とりあえず小屋を載せてみるか……ミャレーとニャメナに注意を促す。ベルにも端に寄ってもらう。

「よし、この上に小屋を載せてみるから、注意してくれよ。崩れそうになったり、危なくなったら逃げろよ」

「にゃ!」「大丈夫だろ?」

まぁ、獣人やベルは平気だろうな。一番危ないのは俺なんだが……だが落ちるとすれば真ん中辺りだろうな。

崩落してもステージの4辺は残ると思われる。

「よし、小屋召喚!」

アイテムBOXから、予め完成させていた小屋を取り出す。載せた直後は木が軋む音がしたが、なんともないようだ。

小屋も固定をしておらず只載せただけだが、自重があるので動いたりはしないようだ。

森の中の木が風を遮ってくれるので、風で動くこともないだろう。

それに危険があるようなら、小屋をアイテムBOXへ再び収納して補強を入れればいい。

「にゃー!」

小屋の正面玄関から、ミャレーとベルが飛び込んで、中をチェックしている。

「この家は梁がないにゃ」

そう、板を積み上げた外壁に、蓋のように屋根が乗っているだけの簡単な構造。

「旦那、出入りはここからするのかい?」

「いや、玄関の横の隅に、穴を開けて下から出入りする造りにしようと思ってる」

「階段付けた方が便利だろ?」

「いや、便利は解るんだが、その方が 木の上に住んでいる(ツリーハウス) 感が出るかな~と思ってな」

「まぁ、旦那がそれならいいけどさ」

ニャメナは合理的な方が良いという考え方のようだ。まぁ、理解は出来る。

だが、これは俺の趣味だからな――譲れん。

小屋の床とステージに補強を入れてから、隅に四角い穴を開ける。人一人が通れるスペースがあれば十分だろう。

デカイ荷物があるなら、俺のアイテムBOXへ入れればいいからな。

そして、穴に登るためのハシゴを設置するのだが、一本の長いハシゴだと怖いので、2段階にしてみた。

1段目のハシゴ――短い踊り場――2段目のハシゴ――穴――という感じになっている。

獣人だけなら、どんな物でもいいのだろうが、アネモネやプリムラがいるからな。

秘密基地感を残しつつ、彼女達でも登れるようにしなくてはいかん。

最後に床に開けた入り口に蓋を付けた。

「う~ん、いいんじゃね?」

とりあえず、部屋の中にシャングリ・ラからベッドを買って並べてみる。ベッドだけでぎゅうぎゅう詰めだ。

テーブル等はテラスに並べればいいので、部屋の中はベッドだけにしたい。むしろ、部屋全体をベッドにする感じか。

ベッドの上に寝転がってみる。壁には窓が1箇所、そして扉についているガラスしかないので、部屋の中は少々暗い。

上からランプもぶら下げてみた。

「ひゃっほう! ベッドはふかふかだぜ!」

俺が出したベッドにニャメナが飛び込んだ。

「あれ? ミャレーは?」

ベルも何処かへ行ったようで、見当たらない。

「知らね。旦那、これで完成かい?」

「いや、周りに手すりというか柵を付けないと危ないだろ」

幸い、シャングリ・ラを検索すると、簡単に柵を作って固定するための金具が売っている。

それを使う事にしよう。

「旦那ぁ」

俺がベッドで寝転んで、次の計画を練っていると、ニャメナが甘い声で呼ぶ。

「なんだ?」

俺が、彼女の方を向くと目の前に丸い尻がある――ベッドの上で猫のように香箱座りになったニャメナが尻尾を使って、おいでおいでをしている。

「ニャメナ、俺の事は興味なかったんじゃないのか?」

「そんなわけないだろ? 獣人の女が強い男が嫌いなわけないじゃないか。旦那はそんなに強いのに、なんで俺を好きにしないのか不思議だよ」

「別にそんなつもりで、住まわせてるわけじゃないからな。プリムラの護衛なんだぞ?」

「旦那は俺の事が嫌いなのかい?」

「そんな事はないけどな」

彼女の突き出したお尻の上で、うねうねしている尻尾の付け根をマッサージする。

「んぁっ! なおっ! なおぉぉん!」

だが、ニャメナが甘い吐息をもらし始めた刹那――俺が作った地面へ通じるハッチから、黒い物体が這い上がり、俺を押し倒した。

「フシャーッ!」

凄い力で俺を押さえつけたのは、ミャレーだ。彼女は、白い牙を剥き出すと俺の首の根本に噛み付いた。

「あいででででで! ちょっと待て、ミャレー! 本気噛みになってるから! 死んじゃう!」

しかし、俺の悲鳴が外に届いたのか、ハッチから黒い疾風が壁伝いに天井まで駆け上がり、ミャレーの背後を取った。

「フシャァァーッ!」

ミャレーより長く鋭い牙を誇示する、森猫のベル。 勿論(もちろん) 、この状態でミャレーへ噛み付けば、只では済むまい。

傷や頸動脈がどうのより、首が折れて即死するものと思われる。

森猫に背後を取られたミャレーは、尻尾を垂らし俺の首筋から離れた。

ミャレーがいなくなった俺の腹の上では、得意げな表情をしたベルが香箱座りをしている。

「ありがとな、ベル。助かったんだが、すげぇ重いんだけど……」

首の辺りを 撫(な) でてやると、ゴロゴロと喉を鳴らし、気持ち良さそうな顔をしている。

その横では、ミャレーとニャメナが並んで正座だ。

ニャメナは、「俺は知らねぇ」という顔をして、ミャレーは尻尾をブンブンと振り回し、いかにも機嫌が悪そう。

だが、このままでは埒が明かない。2人で話し合いをしてもらう。

獣人の社会は序列がしっかりとしており、上下関係が厳しい。その点からも、はっきりとさせたほうがいいだろう。

「どうしたの?」

ハッチから、アネモネが顔を出した。皆が帰ってこないので見に来たらしい。

しょうもない修羅場を見られなくて良かったわ。

後日、2人の話し合いの結果――2人の実力は伯仲。スピードのミャレー、パワーのニャメナといったところか。

だが、俺との付き合いが長いという事で、ミャレーの方が取り分が多く――2人の間での分前は6対4となったようだ。

何がロクヨンなのかは知らん。

アイテムBOXから鏡を出して見るが、牙で開いた穴は背中の方にあるようだ。

触るとぬるぬるしているので、出血している模様。消毒液を出して首の傷口へ塗る――そして、ワセリン。血止めだ。

最後は、ワンタッ○パッドを貼り付けて終了。身体を起こしてみるが、シーツには血は付かなかったようだ。

まぁ、ミャレーも本気なら、頸動脈近くを齧るだろうからな……。

その後、テラスの四方へ柵を取り付けて、森の中にツリーハウスは完成した。

木漏れ日の中、木の上に作られたテラスの上に、小さな小屋がこじんまりと載っている。

子供の頃からの夢が一つ叶ったか。それも異世界で。これが冗談ではなく、マジってんだから笑ってしまう。

俺は、完成したツリーハウスを見上げてニヤニヤしていた。