軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

69

「ソフィア様がそんな仕事をする必要はありませんわ。

何のためにクリスがいると思っているのです。

政治なんて王配に任せておけばよいのです。」

「はぁ?」

「ソフィア様は子を産むのが仕事ですから、あとは何もしなくていいのですよ。」

えええ?何を言っているのかと思ったら、目が本気だった。

そういえばアメリー夫人は公爵家の一人娘だったから、

アメリー夫人が女公爵になることだってできた。

だが、前公爵はそうせずに婿を公爵にすることにした。

…アメリー夫人がこういう人だったからなのか、前公爵の考えなのかわからない。

ただ一つ言えるのは、それを私に押し付けられても困るということだった。

「バルテン公爵夫人、それはあまりにもソフィア様に失礼だ。」

我慢しきれなかったのか、仕事していたはずのカイルが口を挟んだ。

にらみつけるようなカイルに夫人も少し怯んだようだが、にっこりと笑って言う。

「あら、だってそうでしょう。

王女に、女王に政治なんてできるわけないのだから。

女は黙って微笑んでいればいいのですよ。

ソフィア様も無理せずに、クリスに任せてしまえばいいのです。

そうよね?クリス。」

息子のクリスなら賛同するとでも思ったのか、

黙って仕事しているクリスに向かって微笑んだ。

「…何を誤解しているのか。

俺とカイルはあくまでもソフィア様の補佐だ。

ソフィア様が王になるのを支えているだけで、俺たちが王に代わるわけじゃない。

何もわかっていない夫人は黙ったら?」

にこりともしないクリスに冷たくあしらわれ、

夫人の顔がみるみるうちに真っ赤になった。

「なんですって!

ソフィア様、いいですか!お茶会を開きますわよ!

皆さまの話を聞けば、ソフィア様もわかりますわ!」

「それなんだけど、この国は王家主催のお茶会を開いてはいけないの、知ってる?」

「え?」

きょとんとした顔の夫人に、そんなことも知らないのかと呆れてしまう。

「昔、王妃がいた頃、ええとお祖母様が生きて居た頃ね、

そのころには王家主催のお茶会というものがあったのよ。

それは夜会に出席できるのは当主、男性だけだったからなの。

当時の女性は夜に出かけるのははしたないという考えだったそうね。」

デイビットに確認するように尋ねると、すぐに答えが返ってくる。

「そうです。当時の夜会は国王と領主の会合というものでした。

一部の女領主が出席を認められた以外は女性の出席はありませんでした。

その頃の王妃様が主催していたお茶会は、

昼にしか出られない夫人たちからの要望を聞く場として開かれていました。」

今のように貴族が主催するお茶会も戦後で金銭的な余裕がないため難しく、

年に一度の王家主催のお茶会が必要だったのだ。

「領主を支える夫人から国に要望がないかどうかを聞く場だったのよね。

でも、王妃がいなくなり、お茶会を開くのも難しくなった。

それでお祖父様が夜会に夫人を連れてきてもいいと許可を出した。

夜会で領主、領主夫人、両方から要望を聞くことになった。

戦後で地方領主にお金がなかったこともお茶会が廃止になった理由の一つよね。

地方から王都まで来て夜会とお茶会の両方に出席するのは大変で、

そのようなことが無いように王家主催の大規模なお茶会は開かれなくなった。」

「その通りです。さすがです、ソフィア様。

ただ、現在も個人的にお茶会を開くことは止められておりません。

ソフィア様が学園のご友人たちとお茶会をするというのなら問題ありません。」

言いたいことをわかってくれているデイビットが相槌とともに説明を足してくれる。

アメリー夫人は聞いたことが無いのか、会話に入れずにいた。

「あとは許されているのは婚約者選びのお茶会よね。

お父様は婚約者が決められていたから開かれなかったし、

エディ叔父様は学園で叔母様と出会っているために開かれなかった。

婚約者選びのお茶会を開いたのはフリッツ叔父様くらいよね。

それも数名の令嬢だけで、大きなものでは無かったと聞いているけれど。」

お父様たちのお茶会の話になると、アメリー夫人の目が釣りあがったのがわかった。

この辺はふれてはいけないのかもしれないと思いながらも話を続ける。

「でもね、お母様がこの国に嫁いできたころ、

一度だけ王家主催のお茶会が開かれたそうなの。

お祖父様はお母様がお茶会を開こうとしていると知らなくて、

お母様はこの国はお茶会を開かないと知らなかった。

どこかの公爵夫人が王太子妃はお茶会を開かなければならないと言って、

お母様はそれを信じてお茶会を主催した。」

「え。イディア妃様がお茶会を開催したのですか?

それは私も知りませんでした。」

本当に知らなかったのか、デイビットが驚いている。

アメリー夫人の顔色が悪くなっていったが、そのまま話を続ける。

「公式の記録には残されていないの。

お祖父様が許可を出していなかったから非公式扱いになったというのもあるけど、

そのお茶会には誰も来なかったのですって。」

「ええ!?王太子妃が主催したお茶会なんですよね?

しかも開くように言ったのは公爵夫人だって言ってませんでした?」

「そうなの。お茶会を開くように言った公爵夫人は欠席だったそうよ。

体調が悪くなったと当日に連絡が来たらしいわ。

出席するはずだった夫人、令嬢すべて、当日に欠席の連絡が入ったの。

…お母様はそれ以来この国の貴族とは会おうとしなかったそうよ。

それも当然よね…。ねぇ、アメリー夫人は覚えているわよね?

そのお茶会を開くように言ったのはアメリー夫人のお母様ですもの。」

「え…どうだったかしら…?」

「あら。アメリー夫人も出席予定だったのではないの?

体調が悪くて欠席されたようだけど。」