作品タイトル不明
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「報告します!先ほど侵入しようとしていた二名を捕獲しました。
地下牢へ運び終えました!」
「そう。カイルは?」
「捕まえた者たちがそこそこ魔術が使えたので、
近衛騎士だけに任せて万が一逃がしてしまうことのないようにと。
カイル様が地下牢まで拘束して連れて行かれました。
情報を聞き出してから戻るそうです。」
「そう、ありがとうね。戻っていいわ。」
ピッと敬礼して自分の持ち場に戻る近衛騎士二人を見送る。
本宮に配属にされてからすぐに頭角をあらわし、
王太子の私室及び執務室担当に抜擢になったウェイとフェルだ。
もともとオイゲンが目をかけるほど優秀だった彼らは、
本宮配属の中でも抜群に優秀だったうえに、
私たちと一週間旅を共にしたことで信頼関係もできていた。
その時は平民とはいえ元は子爵家令息。
それほど問題もなく実力を認められて、
私たちを守る一番近い近衛騎士になっている。
今の報告は私をねらって来た刺客たちを捕まえた報告だった。
まずカイルが先に気がつき、ウェイとフェルを伴って刺客を捕まえに行っていた。
クリスと影はその間、私を守ろうとすぐ近くにいた。
ココディアと国交を断絶してから、こういった刺客を送られることが多くなった。
結界を張ったことで損をしたのはココディアの貴族だけではなかった。
こっそりとココディア側とつながり、利益を隠していたユーギニスの貴族もいたからだ。
まっとうな取引での損であれば補償すると公表してあるので、
通常の穀物などを取引していた貴族は名乗り出ている。
そうではなく、たとえばユーギニスの情報などを売っていた貴族たちは、
戦争が始まればココディア側につこうとしていたのだろう。
それが急に結界が張られ、国交は断絶した。
ココディア側につこうとしていたことがバレたら、
お祖父様に処罰されると思ったのかは知らないが、
私やお祖父様がいなくなればどうにでもなると思ったらしい。
結果として送られてきた刺客から情報を聞き出し、
いくつかの貴族家とその分家をつぶすことになった。
お祖父様は私に代替わりする前にはつぶすつもりだった貴族家だから、
手間が省けたと笑っていたけれど…。
狙われていることに気がついてから、
クリスとカイルがますます心配性になった気がする。
「戻ったよ、ソフィア。こっちは何もなかったか?」
「うん、こっちは大丈夫。カイルも大丈夫?
今日のはそこそこ魔術を使えたって?ケガしてない?」
「平気だよ。ただ、ちょっと近衛騎士だけに任せて逃げられても困るから。
地下牢に入れて、情報吐かせるまでつきあってきた。」
「カイル、今日のはどの辺の者だ?」
「この間つぶした伯爵家の分家らしい。懲りない奴らだな。」
「最後の悪あがきってやつかな。
ココディアと国交が戻れば、
自分たちの悪行も伝わるってわかってるだろうから。」
「そうだろうな。ソフィア、国交を戻すのは、どのくらいの見通しなんだ?」
「半年は様子見て欲しいって言われたけど、
もう少し早くなってもいいんじゃないかって思ってる。」
「じゃあ、あと三か月ってとこかな。」
「うん。」
ココディアの国王が代わったのは二か月ほど前だった。
王太子レイモンと第二王子ダニエルが父親である国王を退位させた。
勝手な言い分でユーギニスと戦争を始めようとし、国を衰退させ、
国民の命を危険にさらしたというのがその理由だった。
レイモン国王はさらにユーギニスへの謝罪の言葉を続け、
新しい国王になったから責任が無いとは言わない、
ユーギニスへの謝罪は国を立て直してから改めてさせて欲しいと書いてあった。
この二年間でココディアの国内は荒れ、
魔石が輸出できないことで二つの鉱山は閉鎖し、
働き手として増やしていた国民の多くは他国に流れた。
税が払えなくなり貴族を辞めて逃げ出すもの、
働き手を捕まえて売り飛ばそうとするもの、
食べるものが無いからと領主の屋敷を襲う平民もいたそうだ。
今ユーギニスと国交を戻しても迷惑をかけるだけだ。
だからこそ、国内を半年ほどである程度安定させるので、
それから話し合いに応じてもらえないだろうか。
そう書かれたレイモン国王の話を信じようと思えたのは、
内容のいたるところで、国民の被害を痛ましいものだと書いていたからだ。
けっして平民のほうが大事などというつもりはない。
王族として、貴族を下に置くわけにはいかないと知っている。
その上で、国民の命、生活を守ろうとする意思を感じ、
レイモン国王なら話し合ってもいいのではないかと思えた。
「ちょうどココディアから書簡が届いてますよ。」
「あ、本当?今日のは何の報告だろう。」
話している間に届いたらしく、デイビットが書簡を渡してくれる。
レイモン国王はココディアで行っている処罰、改革について、
ユーギニスにも逐一報告してくれている。
その実直さも評価して、
半年待たずに話し合いの席についてもいいと思ったのだ。
「……そんな。どうして…?」
「どうした?」