軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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日中に何度か休憩をしながら馬車を走らせ続け、

王宮を出てから二回目の朝が来た。

夜に休憩をしないためか予想よりも早く塔につきそうな気がする。

この分なら一週間の期限に余裕をもって王宮に戻れそうだ。

王宮に戻った後、それで終わりではない。

ココディア以外の周辺国に事の説明をする書簡を送らなければいけない。

早く戻ればその分早く説明することができる。

頭の中でそんなことを計算していて、はっと気が付いた。

そういえば国境を目指して馬車を走らせていたけれど、

どこに行くかは指示していなかった。

「…ねぇ、どのくらいで国境の砦に着く?」

「そんなに遠くないな。あと二時間もすれば着くだろう。」

「じゃあ、あと一時間くらいだと思う。

国境の少し手前で止まってほしい。

街道から外れて、森の中を歩いていかなきゃいけないの。」

「わかった。じゃあ、近くまで行ったら言って。

馬車を止めるように指示するから。」

結界は国境に沿って張るけれど、砦まで行く必要はなかった。

結界の乙女の塔は、人に見つからないように森の中にある。

当時は塔に向かう小道があったそうだが、もう二百年以上前に使わなくなった塔だ。

それからは誰も小道を使っていないだろうから、

道が無いと考えていたほうが良さそう。

方向はわかるから迷うことは無いけれど、塔に近づくには苦労するかもしれない。

…あぁ、だんだんと近づいているのがわかる。

あと少し行ったら止めたほうがいいかな。

「そろそろ近いと思う。」

「わかった。止められる場所があったら止めるように言うよ。」

クリスが御者席との間にある小窓をあけてウェイとフェルに指示を出す。

街道上に止めるわけにはいかないから、

街道わきに馬車を止められる広さがある場所を探すらしい。

少しだけ走った後、ガタンと大きく揺れて、街道から脇によけたのがわかる。

「街道の外は草がすごいな。こんなとこ姫さんが歩いたら日が暮れそうだ。

姫さんは抱き上げて運ぶか。」

馬車から降りようとしたら、先に降りていたクリスにそのまま抱き上げられる。

どうやら地面が草だらけで歩かせたくないらしい。

旅用の歩きやすい靴を履いて来たけれど、思っていた以上に草の丈が長くて、

私が地面に下りたら身体が半分隠れてしまいそうだった。

「このまま進もう。方向を言ってくれればそっちに向かう。」

「あ、ちょっと待って。馬車をこのままにするわけにはいかないの。

こんなところに止めていたら目立ってしまうもの。

ココディアの騎士に見つかったら不審がられてしまうわ。

馬車に認識阻害をかけて見えなくてしてから移動しましょう。

ウェイとフェルはお留守番ね。馬車を守っていてくれる?」

「わかりました、ソフィア様。」

「もしココディアの騎士を見かけても無視してて。

何もしなければ見つからないはずだから。

でも、もし何かあったらすぐに逃げてね?」

「はい。」

「ちょっと待って、ソフィアはそのままで。術は俺がかけるからいい。

ウェイ、フェル、俺たちが戻るまで馬車で待機してて。」

「「わかりました。待機します。」」

ウェイとフェルが御者席に乗ったのを見て、カイルが認識阻害の術をかける。

こうしておけば、街道を通る他の馬車からはわからない。

戻ってくるまで少し時間がかかるだろうけど、二人には待っていてもらうことになる。

「あ、魔石を持って行かなきゃ。」

「どのくらい持って行く?馬車には四箱分積んであるが。」

「じゃあ、一箱。」

「わかった。」

カイルが木箱を左手だけで抱えあげる。それなりに大きい木箱だし、

中に魔石がぎっしり入っているからかなり重いはずだ。

なのに軽々と持ち上げるから木箱には何も入っていないように見える。

「さ、行こう。方向はどっちだ?」

森の奥のほうに塔の存在を感じる。

まっすぐに指をさして示すと、カイルが先になって歩いていく。

森の中を歩くときの術なのか、草木が両側にさけて歩きやすくなっている。

カイルが歩く後ろを、クリスに抱きかかえられて進む。

私も歩きたかったけれど、きっと歩いたら遅くなって迷惑をかけてしまう。

仕方なくおとなしくして、カイルに方向だけ伝えて進んでいく。

しばらく進んでいると、森の中が暗くなっていく。

大きな木の影になって、足元が見えにくくなる。

…もうすぐだ。

周りを大木に囲まれている中、そこだけぽっかりと森が空いていた。

長方の石が組み上げられた二階建ての細長い塔があらわれる。

誰も手入れしていないだろうに、なぜか塔の周りだけ草が生えていない。

クリスがそこまで進むと私を地面に下ろしてくれた。

「…これが結界の乙女の塔なのか。」