軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

2 脱・悪役令嬢計画 2

翌日、私は「学園に通って、学問を修めるぞ!」と決心していたにも関わらず、再び学園を欠席した。

これにて、2日連続だ。さぼり癖があるルチアーナにしても珍しいことだ。

けれど、私にはどうしてももう一日、静かな場所でじっくりと考えたいことがあったのだ。

それは、前世の私のこと。

私は断罪される悪役令嬢という、物凄いマイナスポイントを背負っているけれど、これを打ち消すプラスポイントも持っているんじゃないのだろうかと、昨日ベッドに入った時に思いついたのだ。

そうそう、世の中って結構平等で、慈悲深いものなのよ。

今の私が心底そう信じたいだけかもしれないけれど。

そこで、私は考えた。

私のプラスポイントは何だろうと。

そして、考えついた結論が私の前世だ。

昨日さらりとご紹介したけれど、私の前世は日本人だった。

地方在住の平凡な一市民。

中流階級の平均的な家庭に生まれ、地元の大学を卒業し、地場企業に就職して、親元から少し離れたアパートを借りて一人暮らしをしていたどこにでもいる会社員、それが私だった。

ええ、まあ、アラサーで喪女だったという情報も付加されるけどね、より正確さを期すならば。

そして、アラサーだったという記憶しかないから、前世の私はそのくらいで死んだのだろう。

あるいは、もっと長生きして、結婚とかをしたかもしれないけど、その先の記憶が途切れているので分からない。

さて、話を戻すけれど、厳密に言うと、前世の私は就職して暫くは実家暮らしをしていた。

けれど、母親の価値観にどうにも耐えられなくなって、一人暮らしを始めたという経緯がある。

「女性の幸せは、結婚してこそだからね。素敵な旦那様を捕まえて、庭付き一戸建てで暮らすのが一番よ」

そうことあるごとに言われたら、段々と嫌になってくる。

今は色々な生活形態があってね、などと説明しようとしても、「独身のあんたは、結婚してないから良さが分かっていないだけ」と切り捨てられるのだ。

くー、その論理はどうなのでしょうね?

その論調でこられると、私は永遠に負けっぱなしですよ!

なぜなら、あなたの娘さん喪女だからね。

結婚したい気持ちはあるけれど、男性への近付き方が分かっていませんから。

結婚どころか、お付き合いすることも夢のまた夢ですよー。

そういう反論を心の中で100回くらい繰り返した後、私は一人暮らしを始めたのだ。

ええ、戦略的撤退というやつですね。

けれど、その一人暮らしで色々なことが身についた。

まず、料理。実家では作ってもらうばかりだったけれど、自分でちゃんとお昼のお弁当まで作れるようになった。

それから、節約するくせ。お昼のお弁当作りにもつながるけど、一人暮らしはお金がかかるからね。

その他にも、隣の人との程よい付き合い方とか、トラブルが起こった時の対処の仕方とか。

細かいことは他にもたくさんあるけれど、つまり、私は一人で立派に生きていけていたのだ。

そして、この経験が役に立つんじゃないだろうかと考えたのだ。

なぜなら、ただの侯爵令嬢ならば、突然路上に放り出されたら、何をしてよいかも分からないだろう。

けれど、私には一人暮らしの経験があるから、それを生かしてそれなりに上手く生きていけるんじゃないだろうか。お手伝いさんがいなくてもご飯が作れるし、お買い物もできますよ。

それに、料理のスキル自体も有益だと思う。

おにぎり、ハンバーグ、トンカツ、唐揚げ、ぶり大根、カレーライス、などなど。

こちらの世界では、そんな料理を見たことがない。

こちらの世界の住人の舌に合うかどうかは分からないけれど、これらのメニューを提供するレストランを開くというのはどうだろうか?

あるいは、生活便利品。

すぐには色々と具体例を出せないところが悲しいけれど、30年近く、科学の発達した国で生活していたのだ。

きっと、こちらの世界の人々が驚くアイテムがあるはずだ。

それで商売をすることはできないだろうか?

それから、一番価値のあることとして、ここは私がプレイしていた乙女ゲームの世界ということだ。

このゲーム『魔術王国のシンデレラ』の舞台は、今から半年後からの半年間だけだけど、私はその間のこの世界の流れを知っている。

これは、何かにすごく生かせそうな気がする。

将来を生きていけるくらいの、何かに。

これらのボーナス知識に、学園で学習することによってこの世界の知識がプラスされたら、家族全員でつましく生きていくくらいのお金は稼げないかしら?

いける、何だかイケる気がするわ!

根拠のない自信に襲われた私は、明日こそは登校しようと思いながらベッドに入った。