軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

260 新たなる学園イベント 4

翌朝、生徒たちはわくわくしながら、生徒会室前に準備された箱の中からカードを引いていた。

箱の中には、クラブ、ダイヤ、ハート、スペードの4種類のカードが入っていて、自ら引いたカードによって聖夜祭のチームが決定するのだ。

昨日、生徒会でチーム分けについて話し合った際、家紋の花の季節で分けたらどうかとか、血液型で分けたらどうかとか、色々な意見が出た。

けれど、自分たちでチームを選択させる方が、禍根が残らないとジャンナが言ったので、その通りだわと納得したのだ。

チーム分けの重大さが分かっていないエルネスト王太子とラカーシュは、「禍根?」「イベントのチーム分けの話をしているのだよな?」と不思議そうだったけれど、これは非常に大事なことなのだ。

特に、3年生にとって、今回が最後の賑やかなイベントになる。

そのため、イベントを楽しみたい3年生と、3年生と触れ合いたい生徒にしてみれば、どのチームになるかは死活問題なのだ。

リリウム魔術学園では、季節ごとにイベントが開催される。

そして、次の季節である春のイベントは、「卒業パーティー」と「入学パーティー」の2つになるのだけど、どちらも伝統にのっとったものになっている。

当然のことながら、3年生は卒業パーティーを最後に卒業するので、彼らにとって自由にはっちゃけることができる最後のイベントがこの聖夜祭なのだ。

「つまり、サフィアお兄様にとっても、聖夜祭が最後のお楽しみイベントになるのよね! お兄様のためにも楽しいものにしないと」

そう意気込んだ私だったけれど、その日の夕方、勢いをそがれることになる。

なぜなら張り出されたチーム分けの結果を確認したところ、兄と私が同じチームになっていたからだ。

「えっ、お兄様と一緒? そ、それは予想もしなかったわ! というか、悪い予感しかしないわね」

困っている時や、ピンチに陥っている時の兄は、本当にありがたい存在だけれど、お楽しみイベントでの兄は、遠くから眺めて楽しむものじゃないだろうか。

「近くにいると、実害を被る気しかしないのよね。私が心配し過ぎなのかしら?」

兄とはチームが別れるものだと都合よく思っていたのに……と、チーム表が貼られているボードを見上げる。

「うーん、どうやら私のチームはお兄様以外知り合いがいないようね」

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✼聖夜祭チーム表✼

♣チーム(東)

セリア・フリティラリア(1年A組)

ルイス・ウィステリア(1年A組)

♦チーム(西)

カール・ニンファー(2年A組)

ユーリア・ビオラ(3年B組)

❤チーム(南)

エルネスト・リリウム・ハイランダー(2年A組)

ラカーシュ・フリティラリア(2年B組)

♠チーム(北)

ルチアーナ・ダイアンサス(2年A組)

サフィア・ダイアンサス(3年B組)

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「ああー、残念だわ。あわよくばカール様と同じチームになって、仲良くなりたかったけど、そう上手くはいかないわね」

私はもう一度、じっとボードを見上げたけれど、チーム表には生徒の名前が羅列してあるだけだった。

そのため、これでいいのよねと頷くと、チーム表の隣に貼られた告知文書に目を通す。

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告知

12月24日19時から0時まで聖夜祭を開催する

聖夜祭の衣装は自由とする

【追記】

聖夜祭でチーム戦『聖夜の領地戦』を実施する

生徒を4チームに分け、チームごとに東西南北の地域を領地とする

チーム戦の実施中は、体の見える部分にチームマークを貼付する

ゲーム終了時にそれぞれの領地にいた生徒の総ポイントが多いチームの勝ちとする

生徒は各自1ポイントを持つが、他領に移動した場合は2ポイントとする

(例外)投票により選出された生徒は5ポイントとする(各チーム2名)

(例外)当日のくじにより特別な役割に選出された生徒は5ポイントとする(各チーム2名)

※詳細については、ルールを明示したプリントを配布する

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「収穫祭の時には、高ポイントの生徒はあらかじめ明示してあったから、今回もそうすべきかと思ったけれど、全員シークレット扱いというのはいい考えよね」

生徒会での話し合いの結果、人気の高い生徒は高ポイントにするというアイディア自体は採用されたものの、その人物が誰であるのかは伏せようということになったのだ。

というか、高ポイントの生徒を誰にするかというのも、生徒会で決めるのではなく、生徒たちに決めさせた方がいいという結論になり、イベント当日に生徒たちに投票してもらうことになった。

さらにはゲームをより盛り上げるため、結果発表のタイミングで高ポイントの生徒を発表することになったのだ。

確かに皆で選ぶとわくわく感が高まるし、高ポイントの生徒が誰だか分からない分、いろんな可能性を考えて楽しめるはずだ。

「ああー、何だかわくわくしてきたわね! クリスマスというだけで、どうして気分が高揚してくるのかしら。あ、クリスマスツリーはどうなっているのかしら」

クリスマスの楽しみは、準備をしている時から始まるのよね。

「いえ、ツリーの前に、当日の衣装を準備しないといけないんだったわ」

収穫祭の時には、2週間も前から侍女たちに衣装の準備をお願いしていたのに、今回はうっかりしていてまだ何も頼んでいない。

ああー、間に合うかしら。

ひどく心配になったけれど、それよりも先にやらなければいけないことがあるのよね、と校舎を見上げる。

「まずはお兄様のところに行かないと!」

何だかよく分からないけど、同じチームになった今、兄のところに行かないと大変なことになる予感がしたのだ。

そして、だいたいにおいて、こういう場合の胸騒ぎは当たるのだ。

私はぐっと握りこぶしを作ると、3年生の教室に向かったのだった。