軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

155 「甘い言葉収集ゲーム」結果発表 1

収穫祭の翌日、私は大勢の女子生徒でごった返す掲示板の前に立ち、胸を高鳴らせていた。

なぜなら『収穫祭★甘い言葉収集ゲーム』の結果が発表されたからだ。

高ポイントの言葉をたくさん集めることができたため、もしかして、もしかしたら優勝できるのでは……と期待する気持ちがむくむくと膨れ上がる。

「どうか、よろしくお願いします!!」

私は手を合わせて掲示板に祈った後、顔上げて見つめ……。

「あー」

落胆の声を上げた。

なぜなら優勝者の中に、私の名前はなかったからだ。

燦然と輝く優勝者は28点もの高得点を獲得しており、同率の生徒が3名いた。

私が集めた全ての「甘い言葉」が当たっていれば、28点も夢ではなかったけれど、名前が載っていないところを見ると、細かい部分を間違えたのだろう。

「セリフが長いものも多かったから、仕方ないわよね。私みたいに間違えた女子生徒はたくさんいるだろうし、だからこそ差が付いたのだろうしね」

がっかりしながらもそう自分を慰め、自分の名前を探していく。

けれど、しばらくすると、私は訝し気な声を上げた。

「あれ?」

なぜなら掲示板には1位から高得点順に名前が張り出してあったのだけれど、真ん中まで確認しても、まだ私の名前が出てこなかったからだ。

「……うん? 15点のところにもまだ出てこないわよ。私ったら、そんなに減点されたのかしら。……えっ、10点でもまだ出ないの?」

10点以下の生徒なんてほとんどいない。

びっくりしながら視線を下げると―――私の名前があった。

「えっ? ええっ??」

―――どういうわけか、1番下の欄に。

たった1人の「0点」の得点者として。

「はいいいい???」

さすがに全てを間違えることはないだろう。

それなのに、0点とはどういうことかしら。

頭の中にはたくさんの?マークが飛び交っており、さっぱり意味が分からない。

私は目をぱちぱちと瞬かせながら、隣のボードに視線を移した。

すると、そこには高ポイントの男子生徒の『定型文』が、回答として記載されていた。

けれど……。

「ええええ!?」

記載してあった『定型文』が、実際に私がイベントで聞いたセリフと全く異なっていたため、大きな声を出す。

どういうことなのか全く理解できないまま、もう1度、目を皿のようにして掲示板を見つめたけれど、示してある『定型文』は変わらなかった。

そのため、私は情けない表情を浮かべて、手元の用紙に視線を落とす。

というのも、「甘い言葉収集ゲーム」の回答票は、複写用紙となっていたからだ。

そして、イベントに参加する際、2枚組の1枚目だけを回答箱に入れたので、同じ回答が複写されている2枚目の用紙が今、私の手元にあるのだ。

その用紙には、私の記憶通りのセリフが書かれていた。

やっぱりそうよね、と呟きながら、再び顔を上げて掲示板と比べる。

けれど、そこには先ほど変わらない『定型文』が記載されており、手元の回答用紙の内容とは全く異なっていたため、私はいよいよ大きく首を傾げた。

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★「甘い言葉収集ゲーム」高得点者『定型文』★

【2年】

〇エルネスト・リリウム・ハイランダー「白百合も君の前では形無しだ」

〇ラカーシュ・フリティラリア「君は私に黒百合を連想させる」

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さっぱり意味が分からない。

掲示板を見ると、エルネスト王太子やラカーシュを始め、誰もが家紋の花にちなんだセリフを言ったことになっているけれど、そんな人は1人もいなかった。

それに、王太子とラカーシュの2人はこんな短い言葉でなく、ものすごく長いセリフを言っていたのだ。

あれ、もしかしたら掲示板に掲載された回答が間違っているのかしら?

そう思った私は、間違いをお知らせすべく生徒会室に向かった。

けれど。

『扉をくぐると、そこは別世界でした』―――と、思わず言いたくなるほど、生徒会室の中は雰囲気が悪く、どんよりしていた。

扉の中と外では、温度から異なるようだ。

こんなことは初めてだったので、何事かしらと部屋の入口からこっそり中を覗き込む。

すると、生徒会メンバーの5人全員が、無言で椅子に座っていた。

エルネスト王太子は難しい表情を浮かべており、ラカーシュは後悔したような表情を浮かべている。

セリアとジャンナは困惑している様子で、カレルはお腹が痛いような表情をしていた。

まあ、何か大事件が起こったようね、これは日を改めた方がいいわと考え、開けた時と同じように静かに扉を閉めようとしたけれど、セリアとばっちり目が合ってしまう。

すると、彼女は驚いた様子で、座っていた椅子から立ち上がった。

「お、お姉様!」

セリアの声に反応して、残りの4人が一斉に私を見る。

大事件が起こっているところにお邪魔してしまったわと思った私は、申し訳ない気持ちで後ずさった。

「す、すみません、お邪魔するつもりはなかったんです。その、収穫祭のゲームの回答が間違って掲示されていたのでお知らせに来たのですが、急ぐ話ではないので日を改めます」

私の言葉を聞いた5人は、なぜだか一気に陰鬱な表情になった。

……えっ、な、何か気に障ることを言ったかしら?

重苦しい雰囲気に耐えられず、逃げ出すために扉を閉めようとしたところ、素早く立ち上がったラカーシュに止められる。

「待ってくれ、ルチアーナ嬢!」

「えっ、あの……」

ラカーシュの行動の意味を理解できず、目を白黒させていると、彼は思ってもみないことを言い出した。

「ルチアーナ嬢、よければ君の時間を少しもらえないか。君に謝罪すべきことがある」

「謝罪?」

聞き間違えたのかしら、と思って問い返したけれど、重々しい表情で頷かれる。

部屋の中では、やはり椅子から立ち上がっていたエルネスト王太子が、沈痛な表情でこちらを見ていた。