軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

覚悟と、新しい旅立ち

ロウェナをしっかりと抱きしめながら、エドは詰所の中にいる衛兵や、迎えに来てくれた孤児院のシスターたちに向き直った。

「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」

頭を下げて、まずは謝罪する。

そして、迷いなく、自分の決断を告げた。

「この子を…ロウェナを、俺の責任で引き取らせてください」

衛兵たちもシスターも、少し驚いた顔をしている。

シスターは心配そうにロウェナを見つめた。

「しかし…この子は孤児ですし、衛兵隊の方からも…」

「分かっています。ですが…」

エドはロウェナを抱きしめる腕に力を込めた。

「この子は、俺と一緒にいることを望んでいます。そして…俺も、そんなこの子を置いて行く事はできません」

ロウェナを孤児院に預けるという選択は、この子にとって、そして自分にとって、最善ではなかった。

あの森で、ドレイクから守ると決めた時点で、もう俺は、この子から離れられない運命なのだろう。

「ですから、このまま、旅に連れて行きます」

シスターはまだ不安そうだったが、エドの真剣な眼差しを見て、それ以上は何も言わなかった。

「本当に、ご迷惑をおかけしました。そして…ありがとうございました」

衛兵たちにも改めて礼を伝え、ロウェナの手を引いた。

「ロウェナ」

泣き疲れて、まだ少し嗚咽をもらしているロウェナに、優しく語りかける。

「もう、置いていったりしない。孤児院にも、預けたりしない」

ロウェナの顔を見つめて、はっきりと言い聞かせる。

「これからも、ずっと一緒だ」

その言葉を聞いた瞬間、ロウェナの泣き顔が、みるみるうちに変わった。

小さな涙の跡が残る顔に、これまで見たこともないような、眩しいくらいの最高の笑顔が花開いた。

その笑顔を見て、エドは胸の奥が温かくなるのを感じた。

ああ、この笑顔を見るために、あの森での戦いも、野盗との戦闘も、孤児院での辛い別れも、全てがあったのかもしれない。

若い衛兵が、ロウェナに軽く手を振って別れを告げている。

ロウェナも、小さな手で、一生懸命手を振り返した。

ノーレストの街の門を出て、宿へと向かう道を、ロウェナと共に歩き始める。

ロウェナは、エドの手をしっかりと握り、跳ねるような足取りだ。

さて、これから、一体どんな旅になるのだろうか。

一人旅とは全く違う旅になることは間違いない。

危険も増えるだろう。

大変なことも、きっとたくさん起こる。

でも、これも悪くないか。

この子の笑顔が隣にあるなら。

相変わらず、先のことは何も分からない。

どこへ行き、何をするのか決めていない。

しかし、一つだけ確かなことがある。

この旅は、もう、俺一人のものではない。

数日後

ノーレストの街の武具屋で注文していた新しい革の防具を受け取ったエドは、それまでのくたびれた鎧から新調した防具へと身を包んでいた。

まだ硬いが体に馴染む革の感触が心地よい。

そして、ロウェナも、嬉しそうに自分の腕を見つめている。

エドが新調した防具に合わせて、武具屋の主人に頼んで作ってもらった、ロウェナの小さな腕にぴったりの革の腕当てだ。

エドが前腕を保護するのに使っている革の腕当てと似たデザインにしてた。

それは、ささやかなお揃いの品。

ロウェナにとって、それは単なる防具ではなく、エドとの繋がりの象徴なのだろう。

宝物のように、何度も腕当てを撫でている。

新しい旅の準備は整った。

ドレイクの尻尾の代金で当面の旅費も確保できている。

さて、これからどうするか。

情報を集めるには…どこか良い場所はないだろうか?

ふと、森に入る前に『黒い短剣』の冒険者たちが教えてくれたことを思い出した。

ノーレストには、大きな冒険者ギルドがある、と。

冒険者ギルド。

様々な依頼が集まる場所だ。

街の情報を得るにも、これから先の事を考えると、うってつけかもしれない。

それに、冒険者ギルドに登録すれば、身分証にもなる。

他の街に入る時など、何かと便利だろう。

よし、行ってみるか。

新しい防具と、そして小さな革の腕当てをつけたロウェナと共に、エドはノーレストの冒険者ギルドを目指した。

ギルドの建物は、宿屋よりもさらに大きく、頑丈そうだ。

中に入ると、たくさんの冒険者らしき人々でごった返していた。

壁には依頼書らしき紙がびっしりと貼り付けられている。

賑やかな、活気のある場所だ。

受付カウンターに立ち、ギルド職員に声をかけた。

「すみません、冒険者登録をお願いしたいんですが」

職員は慣れた様子で俺の装備を見て、頷いた。

「はい、承知いたしました。お一人ですか?」

職員の視線が、俺の隣に立つロウェナに移る。

「いえ、二人でお願いします」

俺は迷わず答えた。

職員は少し目を丸くしたが、すぐに職業的な笑顔に戻った。

「お子様も、ですか?」

「ええ、この子も登録します」

ロウェナは、俺の言葉を聞いて、小さな胸を張っているように見えた。