軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第89話 秘密兵器

湖上でバジリスクを倒した後、飛行船のままウッドキャッスル城内へと侵入する。

本来、飛行船で城上空を通過しようものなら、撃墜されても文句は言えない。しかし結界石が破壊されている今、それを非難する人物は誰1人いなかった。

むしろ障害の無い上空から飛行船で素早く駆けつけられたお陰で、リース達のピンチを救うことが出来た訳だ。

クリスは城上空を飛んでいたバジリスクに、先程の再生映像の如く『7.62mm×51 炸裂魔石弾』を眼孔に撃ち込み、頭蓋骨内部を破壊し爆殺する。

リースに気付いたルナが、自身の無事を知らせるように飛行船から声を上げ手を振る。

「お姉ちゃーーーん!」

リースは妹の無事を確認したせいか安堵の表情を浮かべた。

だが、置かれている状況は切迫している。

シアは傷を負ったのかメイド服を血で汚し、目をつぶっている。気絶しているようだ。

破壊されている結界石から、わらわらと大量の竜騎兵が姿を現す。

さすが記録帳に1万に到達すると書かれているだけある。

鉄条網を構築せず、PKMだけでよく持ち堪えたものだ。

2人の頑張りのためにも、これ以上こちら側の被害を出す訳にはいかない。

「スノー! メイヤ! 準備は終わってるか!?」

「大丈夫だよ!」

「いつでもいけますわ!」

2人の威勢のいい掛け声にオレは頷き、眼下でシアを抱きかかえているリースに大声で告げる。

「今すぐタコツボを作って頭を引っ込めろ! ドでかい花火を叩き込むぞ!」

リースはオレの言葉を聞き、すぐさま背後に控える兵士達に指示を飛ばす。

魔術師達は協力して、大きく深いタコツボを作るとそこに身を隠す。

リースも自身でタコツボを作り、シアと一緒に隠れた。

オレはそれらを確認するとPKM( 汎用機関銃(ジェネラル・パーパス・マシンガン) )の保険として同時並行で制作していた――Mk19を参考にした 自動擲弾発射器(オートマチック・グレネードランチャー) の前に立つ!

自動擲弾発射器(オートマチック・グレネードランチャー) とは?

グレネードは手榴弾で説明した通り、スペイン語の『グラナダ』――『石榴の実』から来ている。

そのため手榴弾を英語読みするとハンドグレネード(Hand grenade)になる。

対して『グレネードランチャー』とは、手榴弾のように手で榴弾を投げるのではなく、器具を用いて投擲するものを投擲発射機――グレネードランチャーと呼ぶ(ライフル型、ピストル型などで呼び方が変わるが今は『グレネードランチャー』で統一とする)。

今回、製作した 自動擲弾発射器(オートマチック・グレネードランチャー) は通常1発、多くても5~6発しか発射出来ない 榴弾(グレネード) ――『爆発する弾』をベルトリンク式(機関銃のように弾をベルトで繋いでいる)で繋ぎ合わせ30~50発連続で撃つことが出来る。

爆発し破片を周囲に飛び散らせる 榴弾(グレネード) を連射出来れば、隠れている敵(茂みなど)をマシンガンよりも効率的に倒すという思想から作られた銃器である。

必然、多弾数化すれば本体は大型化してしまう。

そのため三脚を用いたり、運搬可能な車両等に搭載し、運用することが多い。

今回は飛行船の端に備え付けた、 三脚(トライポッド) に載せられた 自動擲弾発射器(オートマチック・グレネードランチャー) の銃口を、結界石から溢れ出てくる竜騎兵に向ける。

『ボシュッ!』という、 汎用機関銃(ジェネラル・パーパス・マシンガン) のPKMよりはやや気が抜けた発射音が響く。

だが、1発辺りの威力は比ぶべくもない。

『グギャアャァギャアァッ!!』

結界石から出た竜騎兵達はリース達の元へ群がろうとしていたが、飛行船から発砲された40mm弾が着弾。

中に仕込まれていた魔石が破壊され、爆炎を巻き上げる。

同時に40mm弾に詰め込まれていた鉄の粒、散弾が周囲に高速で散らばる。着弾した周囲の竜騎兵が100~200m範囲で倒れ伏す。

はっきり言って前世の40mm弾と比べて、圧倒的に威力が高い。

なぜならツインドラゴンの時、着想を得た方法――魔石を使用しているからだ。

『7.62mm×51 炸裂魔石弾』より使っている魔石は大きくて、1発の威力が中級上位レベルの破壊力を誇っている。

さらに通常の40mm弾より制作が簡単という特典付き。

引き金を引く度、中級上位レベル(散弾)が50発連続で発砲できるという怪物仕様になっている。

デメリットとしては、魔石を大量に買い集めるため他業者からの批判を受ける可能性がある。また魔石を使っているため1発辺り金貨3枚(30万)する点だ。魔力を込めていない空の魔石状態ならもっと安かったのだが……。時間が無かったため、魔力空状態を買うわけにはいかなかったのだ。

だがお陰で『40mm 炸裂魔石散弾』を全部で300発制作することが出来た。

単純計算で金貨900枚(9000万円)かかっている。

資金の出所はメイヤに借りたり、双子魔術を倒した賞金やツインドラゴンを倒した見込み金から出ている。

もちろん後できっちりハイエルフ王国へ請求するつもりだ。

ボシュッ! ボシュッ! ボシュッ!

機関銃と比べて 弾薬(カートリッジ) が大きいのでスペック表を比べると発射速度は遅めだ(300発/分程度)。

それでも実感としては聞こえる発射音はとてつもなく早い。

着弾するたび荒れ狂う爆炎。

拡散し、敵の顔や体に穴を開ける鉄粒。

開いた穴に炎が入り込み、中から竜騎兵達を焼き尽くす。

地上は文字通り地獄絵図だ。

「HAHAHA! 逃げる奴は竜騎兵だ! 逃げない奴はよく訓練された竜騎兵だ! まったくハイエルフ王国は地獄だぜ!」

「そうなの?」

隣に立ち、補助をしていたスノーが首を傾げ問う。

リュートは困り顔で何時も通りの声音で告げた。

「いや、気分が高揚して叫んでいただけだから気にしないでくれ」

『ピイィイィィィィィィイイイィィイッ!!!』

耳に響く嘶き。

スノーと会話していると、破壊された結界石からバジリスクが一体姿を現す。

今まで出てきた物より明らかに大きい。

だが、Mk19モデルの 自動擲弾発射器(オートマチック・グレネードランチャー) の前ではちょっと大きなトカゲでしかない!

飛び立つ前に背中へ1発『40mm 炸裂魔石散弾』を叩き込む。

『ピイィイィィィィィィイイイィィイッ!!!』

鶏の羽は一発でズタズタに焼け落ち、飛行能力を奪われる。

さらに数発狙いうち、弱らせて地面に釘付けに。

最後は頭部を狙い1発かませば、込められた鉄製の散弾粒が敵頭部をズタズタに変形させる。

バジリスクの石化魔眼を使わせる暇も与えず圧倒した。

オレは破壊された結界石から竜騎兵が溢れ出ようとしているので、入り口を狙い発砲。弾は直接、結界石内部に入り込むと爆発する。

ボシュッ! ボシュッ! ボシュッ!

何度も、何度も、何度も――執拗に入り口を狙い発砲。

竜騎兵達は外へ出る間も無く爆炎、爆発、鉄製散弾の餌食となる。

ほぼ全弾撃ち尽くした頃には、バジリスクや竜騎兵は壊滅していた。

飛行船を結界石広場へと着陸させる。

「お姉ちゃん!」

ルナが船を飛び降り、姉のリースへと駆け寄り抱きつく。

リースも妹の無事を喜び痛いほど抱き締める。

オレ達が側に来ると、抱擁を止め瞳から溢れていた涙を拭った。

「リュートさん、皆様……妹を、国を助けて頂きありがとうございます」

兵士達の目も気にせず深々と頭を下げる。

オレはそんな彼女に笑いかけた。

「気にするなって。オレ達は仲間同士じゃないか」

「はい、そうですね。私達は大切な仲間同士です」

リースは瞳を涙で濡らしたまま、胸が高鳴るほどの美しい笑顔を浮かべる。

こうして記録帳に記されていたハイエルフ王国、エノール壊滅危機を脱することが出来た。