軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第421話 リベンジ!

「あのクソドラゴン共!」

現在、 PEACEMAKER(ピース・メーカー) メンバーはとある理由のため、北大陸の雪山に居る白狼族と会いに向かっていた。

北大陸最大の都市ノルテ・ボーデンを治めるアム、その妻アイス、シユと会い挨拶を済ませた後、現在の白狼族が居る位置を教えてもらった。

白狼族は北大陸の雪山に住み、巨人族と共に生きる珍しい種族だ。

そのため定住先を持たず、移動している一族である。

アイスが気を利かせて、街に居る連絡要員の白狼族男性一人を案内に付けてくれた。

だが、そこで想定外の事態が起きる。

オレ達が彼の案内で雪山を進むと――上空から北大陸奥地を住処にしているホワイトドラゴンと呼ばれる魔物が群れて襲いかかってきたのだ。

ホワイトドラゴンは口から相手を氷らせる吹雪を吐き出す魔物である。

雪山でホワイトドラゴンと遭遇した場合、死を覚悟するのが一般的らしい。

しかし、本来ホワイトドラゴンはもっと雪山の深い場所に生息している魔物だ。

1、2匹なら気まぐれや偶然というのも考えられるだろうが、上空を飛ぶのは10、20ではきかない。

恐らく50匹近くはいるだろう。

そんなホワイトドラゴンが、一直線にオレ達を狙い襲いかかってくる。

まるで怨みを晴らすかのようにだ。

原因はすぐに判明する。

『あの一番大きいホワイトドラゴンに見覚えがあります!』

クリスが指さした先に、ひときわ大きい巨体のホワイトドラゴンが居た。

体長は尻尾まで入れると20m以上はあり、指さしたクリスを睨むように見つめている。

昔、北大陸で『黒』が証拠隠滅のため巨人族を引き寄せる禁術を使った。

その際、雪山に積もった雪を意図的に落とし、人工的に雪崩を引き起こした。雪崩で巨人族を谷底へ押し流す作戦だ。

クリスの射撃技術のお陰で無事に雪崩を起こし、巨人族を谷底へ押し流すことに成功する。

発射の際、ホワイトドラゴンが姿を現したと報告で知っていた。

しかし、クリスの気迫と眼光にビビリ雪山奥地へ逃げたと聞いていたが――今回はそのリベンジマッチらしい。

昔、シアに教えてもらったがドラゴンは総じてプライドが高い。

クリスの眼光に怯えた事実にプライドが傷つき、ずっと力を溜め、群れをなしていたのだろう。

準備が終わったところにちょうど、怨み相手が雪山に姿を現したことで襲撃をしかけたきたようだ。

オレ、スノー、クリスが殿を勤める。

「あの森の中に入れ! シアはココノを頼む!」

「了解致しました、若様!」

残りのリース、メイヤ、白狼族男性1名は殿を勤めている間に、森へと向かう。

この中で一番体力がないココノは、シアが抱きかかえ彼女達の後に続く。

オレはその背を見送りながら、AK47に装着している『GB15』のトリガーを絞る。

40mmアッドオン・グレネードが向かってくる群れに向かって発砲され、爆発。

しかしいくら40mmアッドオン・グレネードとはいえ相手はドラゴンだ。

全身を覆う鱗は硬く、数も多い。

さらに今回は相性が悪かった。

「リュートくん、ブレスくるよ!」

「ッ!? 了解!」

肉体強化術で足を強化。

雪に足を取られないよう気を付けつつ、放たれる相手を氷らせる吹雪を回避する。

回避後、装填し直した『GB15』のトリガーを絞る。

『GB15』から発射されるグレネードは弾丸に比べると遅い。

距離が離れていれば回避は余裕で、爆発しても、ブレスによって破片は凍らされ、爆風範囲は絞られてしまう。

『GB15』の単発では意味がない。

せめて 自動擲弾発射器(オートマチック・グレネードランチャー) ぐらい使わないとまともにダメージを与えられない。

だが、今そんな余裕はないし、足下は雪だ。

8.8cm対空砲(8.8 Flak) を設置しようにも、一度地面を整地しなければならない。

準備を終えるまで彼らが待ってくれるとは到底思えないが。

それでもなんとか生き残っているのはクリスのお陰だ。

「ッ!」

彼女は振り返り手にしたSVDを向ける。

振り向くと同時に発砲!

弾丸がホワイトドラゴン一体の眼孔を抉り爆砕し、頭部を内側から吹き飛ばす。

彼女が使っているのはSVD用の炸裂魔石弾だ。内部に小さな魔石が入っており、着弾すると魔石が砕けて先程のように小爆発を起こす。

不用意に近付いた若いホワイトドラゴンが、クリスの弾丸の餌食になる。

本来であれば相手の機動力が上のため直撃を受けていてもおかしくないが、彼女が時折ホワイトドラゴンを倒しているため、彼らもうかつに近付かず中途半端なブレスを放つだけ。

お陰でなんとか未だに生きているのが現状だ。

「スノー! クリス! 先に森へ入れ! リース達の合流するんだ!」

「分かったよ、リュートくん」

『先に行きますね!』

オレは最後の殿を勤める。

クリスのように『ワンショットワンキル』は出来ないが、怯ませるぐらいなら問題ない。

攻撃用『爆裂手榴弾』と防御用『破片手榴弾』関係なく、手にある手榴弾のピンを抜いては肉体強化術で補助し次々と投げる。

これなら『GB15』で撃つより早い。

スノー、クリスが森に入ったのを確認すると、今度は彼女達の援護を受けながら自分が撤退する。

なんとか無事に森へ入り、一息着くことができた。

▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼

鬱蒼と茂る森。

枝葉の隙間から上空をひっきりなしにホワイトドラゴンが飛行しているのが見える。

あちらも同様に、こちらを補足しているようだ。

攻撃に移らないのは木々が邪魔でブレスが弱まり、近付けば狙撃されてしまうためだろう。

『ごめんなさい、私のせいで……』

ようやく一息つくと、クリスが謝罪文が書かれたミニ黒板を掲げる。

彼女は申し訳なさそうに眉根を下げていた。

オレ達はすぐにフォローの言葉をかける。

「クリスのせいじゃないよ。ホワイトドラゴンが勝手に逆恨みしているだけなんだから」

「そうだよ。第一、クリスちゃんがあの時、頑張ってくれなかったらわたしとリュートくんは巨人族にやられていたもの。感謝こそすれ、怒ることなんてないよ」

「そうです! クリスさんがあやまることはありません!」

「姫様の仰る通りかと」

オレ、スノー、リース、シアの順番に答えた。

次にメイヤがこれみよがしに左腕を持ち上げ、擁護する。

「皆様の仰るとおり、クリスさんが気にすることなど何一つありませんわ! それにこの程度の危機、我々からすればたいしたことはありません。もっと追いつめられた状況などいくらでもありましたから。リュート様、妻であるわたくし達。妻であるわたくし達、全員が力を合わせて乗り越えればいいのですわ!」

なぜ妻を二回繰り返した。

どや顔で左腕を持ち上げて繰り返した。

結婚腕輪をもらえて嬉しいのは分かるが、これ見よがしに視界に入れてこようとするのがめんどくさい。

だが、皆の励ましとメイヤの態度のお陰でクリスも悲しみは消え、微苦笑を浮かべる。

話が落ち着いたところで、ココノが現状を打破する案を出した。

「現状、無理をしてホワイトドラゴンと戦う必要はありません。わたしがハンヴィーを運転するので急いでこの場から離れましょう」

「……ハンヴィー(擬き)の雪上走行テストをまだやっていないし、あの様子じゃ街まで逃げても追ってきそうだぞ」

少し考え込み、ココノ案を却下する。

あまり不安要素が多すぎるためだ。

「ではパンツァーファウストか、 自動擲弾発射器(オートマチック・グレネードランチャー) の連続撃ちはどうでしょうか?」

「もしくは 8.8cm対空砲(8.8 Flak) を設置してはいかがですか?」

リース、シアが提案する。

二人の意見に首を振った。

「オレもさっきそれを考えたが恐らく無理だ。パンツァーファウスト、 自動擲弾発射器(オートマチック・グレネードランチャー) どちらも弾丸に比べると遅いから回避や迎撃される可能性が高い。それに 8.8cm対空砲(8.8 Flak) を設置して発砲するまであっちは待ってくれないだろう」

燃料気化爆弾(FAEB) を地上から投げつけ爆発させる案も考えたが、こちらに被害が出そうでそれも難しい。

今までならこういった状況の場合、大火力で押し切ってきた。しかしその大火力を使う場所と時間が無い。

逃げることも、攻撃することもできない。

今の現状は地味にピンチだ。

「巨人族にホワイトドラゴンの群れをぶつけることはできませんの?」

「おおぉ! それは良い案だな!」

巨人族にホワイトドラゴンを倒してもらわなくても、僅かな自由時間ができれば 8.8cm対空砲(8.8 Flak) の設置ができるかもしれない。

しかし案内役の白狼族男性は首を横に振る。

どうもこの近辺には巨人族がいないらしい。

最短で2日離れた場所だとか。

巨人族の群れになすりつける作戦は難しそうだ。

皆が考え込む。

時折、森から炙り出そうとホワイトドラゴン達がブレスを吐き出す。

それから逃げつつ、打開策を考え続けた。

ようはホワイトドラゴンの群れを全て倒さなくても追い払えればいいのだ。最低限、クリスに怨みを持つ、一番大きな長ホワイトドラゴンを倒せば、群れが従う理由はなくなる。

オレの頭上に裸電球が灯る。

「クリス、あのホワイトドラゴンの長だけ狙撃できないか?」

『無理です。あのドラゴンは凄く警戒していて、部下達に自分を守らせて、私の警戒も外していないので』

「逆に言えば部下達を取り除き、長の隙さえできれば狙撃は可能なんだな?」

『はい、絶対に撃ち抜いてみせます!』

クリスは気合いを入れた表情で断言する。

自分の考え通りにいけば、ホワイトドラゴンの群れを撃退することができると確信した。

「聞いてくれ、一つ作戦を思いついたんだ。その作戦は――」

皆に聞こえるように話をする。

話を聞き終えると真っ先にスノーが青白い顔で反対した。

「な、何を考えているのリュートくん! そんな危険なこと認められるわけないよ!」

「だが、この方法しかない。やらなければこっちが殺される」

「でも、でも……」

「スノー、覚悟を決めろ」

「うぅうぅ……」

彼女は頭を抱えてその場に蹲る。

気持ちは分かるが、このままでは誰かが命を落としかねない。

オレは PEACEMAKER(ピース・メーカー) 団長として決断を下す。

「すぐに実行に移す。リース、必要な物を『無限収納』から出してくれ。……皆、ある程度の自分達にも被害が及ぶことを覚悟してくれ」

オレの言葉にスノーだけではなく、その場に居る全員が青い顔で頷く。

そして、ホワイトドラゴン撃退作戦が開始する。

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『グルアァァァア!』

森の切れ目。

オレ達は追い立てられるように森から出る。

その姿を眼下に見下ろしたホワイトドラゴンの長――クリスに怨みを持つモノが勝利を確信した雄叫びを上げる。

一方、オレ達はというと、顔を布で覆っていた。

オレとシアは両腕に抱えた小樽を一度地面に置く。

「クリス、いくぞ!」

『いつでも大丈夫です!』

オレとシアは肉体強化術で身体を補助。

子樽を一つ手にしてホワイトドラゴンの群れに向かって全力で投擲する。

彼らは新たな攻撃に警戒を強め、ブレスで氷らせようとした。

それより先にクリスがSVDで小樽を撃ち抜く。

小樽は炸裂魔石弾によって小爆発を内部で、中に入っていた液体を空中にまき散らす。

すぐさまリース、メイヤが風魔術で臭いがこちらに来ないように液体ごと吹き飛ばす。

『グル――』とホワイトドラゴン達は悲鳴を上げる暇もなく墜落していく。

まるで蚊取り線香の煙で落ちる蚊のごとくだ。

オレとシアが投げた小樽に入っているのは対まーちゃん用に生成した腐臭液体である。

しかもまーちゃん用に『元黒』である薬師のメリッサに協力してもらい 風船蛙(バルーン・フロック) の『濃縮悪臭』をパワーアップさせたものだ。

当然、人体に影響は無い。

ただひたすら臭いだけだ。

あまりの臭さに上空を飛んでいたホワイトドラゴンが落下するほどである。

地面に落下したホワイトドラゴンは泡を吹いて気絶していた。

落下の衝撃か、臭いのせいか……後者の可能性のほうが高いのが怖い。

「シア、どんどん投げるぞ!」

「了解です、若様!」

オレとシアが全力でホワイトドラゴンの群れに小樽を投げつける。

それをクリスがどんどん撃ち抜き、『濃縮悪臭<改>』をまき散らす。

リース、メイヤはこちらに液体や臭いが届かないよう風魔術で防御&ホワイトドラゴンの群れに向かって飛ばしていた。

『グルアァァァァ!』

クリスに怨みを持つ一番大きいホワイトドラゴンが雄叫びをあげる。

部下達の混乱を押さえようとしているのだ。

しかし部下達は臭いに耐えきれず、長の雄叫びを無視して逃走を開始する。

そんなドラゴンの長に向かって小樽を投げつける。

クリスは遠慮無く小樽を破壊し、『濃縮悪臭<改>』液体そのものを長へと浴びせた。

部下達が一斉に長から距離を取る。

『グルァ――』

それでも長は抵抗しようとこちらに牙を剥き出しに向かってこようとするが――途中で失速。地面に落下してしまう。

さすがに『濃縮悪臭<改>』を直接浴びたせいで、臭いに耐えきれず意識を手放したらしい。

長の墜落と同時に部下達が逃げ出していく。

我先にと敵から逃げると言うより、臭さから少しでも距離を取るかのように逃げ出す。

墜落し気を失っている長に止めを刺し、無事にオレ達が勝利を治める。

だが、こちら側も無傷とはいかなかった。

背後を振り返ると森でスノーと案内役の白狼族男性が、蹲り小刻みに震えている。

『濃縮悪臭<改>』全てを敵側に向けることはできない。

オレ達ならまだ鼻を隠せば何とか耐えられるレベルだが、スノー達はそうもいかないのだ。

白狼族は鼻が良い。

故に臭いに耐えきれず悶えているのである。

「でもここまで簡単に敵を撃退できるとは……さすが悪臭兵器だな」

一歩間違えればスノーだけではなく、自分達にも被害が及ぶため安易に使用できないが、状況によっては下手な兵器より頼もしい。

まさに諸刃の剣である。

スノー達、白狼族に若干のダメージを与えてしまったが、なんとか無事にホワイトドラゴンの群れを撃退することに成功した。

倒したホワイトドラゴンをリースの『無限収納』にしまったり、腐臭の処理や着替えを済ませたりなど事後処理を終わらせる。

そして再び、オレ達は白狼族の集落を目指し歩き出した。

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「お久しぶりです、クーラさん、アリルさん」

「ああ、久しぶりだねリュート殿」

「スノーちゃんも元気そうで嬉しいわ」

「うん! お父さん、お母さんも元気そうで嬉しいよ!」

スノー父のクーラさんと母アリルさんと久しぶりに顔を会わせる。

場所は雪山にある白狼族集落。

スノーは久しぶりに会う両親に元気よく抱きついていた。

一方、オレ達、 PEACEMAKER(ピース・メーカー) メンバーはというと――数十mほど距離を取られていた。

リースに懐いていた白狼族の子供達も久しぶりに会ったというのに近付こうともしない。

原因は明白だ。

『濃縮悪臭<改>』のせいである。

いくら衣服を着替え、髪や肌を綺麗にしても臭いを全て落とすのは不可能だ。

それこそ臭い落としの特別性の『砂』を全身に浴び、風呂場で洗い流すしか方法はない。

砂は言葉通りの砂ではなく木炭や石灰、他臭いを消臭する物を混ぜ込んだ代物だ。

故に未だ微かに残る『濃縮悪臭<改>』の臭いに白狼族が反応し近付こうとしないのである。

数十mほど離れながら会話をしなければならないためとても話し、心情的にも辛い。

「ところで今回は急にどうしたんだい? 何か問題でも起きたのかい?」

クーラさんが距離を取りつつ話を振る。

決して悪気が会っての対応ではない。

「問題が起きたわけじゃありませんが、実はご報告がありまして窺わせて頂きました」

オレは一度咳払いをして、側に居る皆に視線を向けてから、改めてスノー両親へと向き直る。

「近いうちに自分達は結婚式を開こうと考えています。なのでスノーの両親であるクーラさん、アリルさん、他白狼族の方々に参加して頂ければと思い挨拶をしに来ました」

この申し出にスノー両親だけではなく、白狼族の皆が目を丸くしたのだった。