軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

SS ラヤラのグルメ

う、ウチの名前はラヤラ・ラライラです、ふひ。

元はココリ街を守護する純潔乙女騎士団、副団長をし、してました。

現在は PEACEMAKER(ピース・メーカー) の下部組織、新・純潔乙女騎士団の纏め役を、し、しています。

きょ、今日は久しぶりの休日。

お給料も出たばかりで、懐がとても、あ、温かいです。

だから、今日のお、お昼は奮発して一人、外へ出て食べます、ふひ。

う、ウチが向かったお店は……さ、最近出来たばかりのお肉を自分で焼いて食べる店です。

なんでも、りゅ、リュート団長が店長に依頼されて、手を貸したお店だそうです。

調理の方法からこ、この料理は『焼き肉』というらしいです。

まんま、ふひ、ですね。

「いらっしゃいませ! お一人様ですか?」

「は、はい、一人です」

お店に入ると、て、店員のお姉さんが席へと案内してくれます。

どもりながらも一人だとつ、告げると、席へと案内してくれました。

店内のお、お客様の姿は今のところほとんど、あ、ありません。

美味しいので流行っているのですが、まだお昼までい、一時間ぐらいあります。

美味しくお肉を食べるため、う、ウチは朝ご飯を抜き、早めに店を訪れたのです。これで混雑しているからと、せかされるように食べるし、心配はありません。

目の前に火のついた台と網、お、お水が置かれます。

の、喉が渇いていたので嬉しいです。

「ご注文はおきまりですか?」

「は、はい、こ、これっと、これ、あと、これと――」

お給料が出たので奮発して頼みます。

一通り注文を終えると、お姉さんが、え、笑顔で厨房へと戻っていきます。

お水を飲んで待ちます。

『ぐぅ~』とお腹が、な、なりました。

でも我慢です。

空腹は最高のす、スパイスだと団長が言ってました。

でも空腹じゃなくてもお肉はお、美味しいと個人的には思います。

「お待たせしました。上タンです」

まずは上タン。

薄切りにされたピンク、濃い赤のグラデーション。テカテカと光り輝き、見ているだけで涎が溢れ出てきます。最高のお肉です。

トングを手に一枚お皿から取り焼きます。

ジュュュュッという音。

耳から幸せになる音です。

「…………」

幸せに浸っている場合ではないです。

ウチは真剣な表情で肉と向き合います。

焦がさぬよう一枚ずつ丁寧に焼きます。

「…………」

ジュュュュッ――焼けた音を聞き逃さないためにも真剣に音に耳を傾けました。

これだけでも周囲から雑音がする混雑時を回避する十分な理由になると思います。

焼き肉は遊びじゃないから。

お肉との真剣勝負です。

音が変化!

ウチは素早くトングでひっくり返します。

ジュュュュッ――反対側を焼きます。

後はもう焼けるまで手を出しません。

何度も弄るとお肉の美味しい味が抜けるからです。

「……よしッ」

ウチはフォークを手に焼けた上タンを刺し口元へと運びます。

「ふー、ふー、はふっ……」

厚すぎず薄すぎないお肉を噛み千切ると、ぷりぷりとしたほどよい噛み心地、お肉の美味しい味がお口いっぱいに広がります。

「し、幸せ……」

飲み込むのがもったいない美味しさ。

「はふぅ……た、食べちゃった……」

口の中から、お、お肉が無くなるとしょんぼりした気持ちになります。

でもお皿にはまだ、ふひ、まだお肉があります。

ウチは慎重にトングで再び一枚のお肉を網へと乗せます。

ジュュュュッ――再び焼ける音。

真剣に耳と目で焼き加減を見極めます。

……それにしてもリュート団長は凄い。

焼き肉なんて美味しい調理法を開発するなんて。

団長は他にも美味しい肉料理を多数開発しています。

唐揚げ、ハンバーグ、ミートボール、トンカツ、メンチカツ、竜田揚げ、etc――こんな美味しいお肉料理が食べられるなら、ウチは一生リュート団長の下について行きます!

再びお肉が焼け、食べます。

「はうぅ……美味しい……」

幸せを文字通り、か、噛みしめているとお姉さんが注文したお肉を運んで来てくれました。

「お待たせしました、こちらレバーに、カルビ、ロースになります」

「ふ、ふひ! あ、ありがとう、ございますッ」

す、素晴らしい、感動的なこ、光景!

右を見てもお肉、左手を見てもお肉、正面にもお、お肉っ。

「お肉がい、いっぱいで、幸せ……っ」

前にクリスちゃん、ココノちゃん、ルナちゃん、ミューアちゃん、バニちゃん、カレンちゃんと一緒にや、焼き肉店に来ました。

その時、皆で一緒に食べたお肉ももちろんお、美味しかったです。

で、でも『体のため』にと野菜も一緒に食べました。

野菜が体に、い、いことは分かるけど、やっぱりお肉だけに、囲まれたいという気持ちはす、捨て切れません。

だから、きょ、今日は一人で焼肉店に来たのです。

お肉に囲まれるふひ、幸せ……。

「はぁ……さ、最高……!?」

しかし幸せな気分も焼肉店に入ってきたひ、人達の顔を見て霧散してしまいます。

あ、新しく入ってきたのは古くから、ココリ街でし、商売を営む男性達でした。

ウチがお昼時間をずらし、新しく出来たや、焼き肉店を選んだのも彼らとなるべく接触しないためです。

彼らは『紅甲冑事件』で直接的では無いものの迷惑を被ったひ、人達です。

事件解決当時、ルッカ元団長が犯人の一人だと分かると、か、彼らは純潔乙女騎士団の解体を強く望み声を挙げたのです。

かろうじて事件を解決し、街を救ったり、リュートだ、団長間に入ったことでウチらは事なきをえ、えました。

で、でも PEACEMAKER(ピース・メーカー) の下部組織、新・純潔乙女騎士団になった今でも元団員達に対していい感情を持っていないことは、じ、巡回の時、店の前を通ると分かります。

あちらもウチに気付いたらしく、声を潜めて会話をか、交わしています。

それ以上はこ、怖くて見みれませんでした。

(ど、どうしよう……お肉を置いてみ、店を出るなんてで、できないし)

生のまま食べても美味しいけど、や、やっぱり焼き肉店だから、ちゃんと焼いて食べた方が美味しい。

美味しく食べないと、お肉達に失礼。

でも、男の人達が、い、居るし……。

こ、こんなことなら誰かとい、一緒にくればよかったよ……。

「あの……」

「は、はひ!?」

下を向いていると店員のお姉さんが、こ、声をかけてきました。

ウチはもう注文を終えたはずな、なのに……

お姉さんは笑顔でめ、メニューを手渡してきます。

「あちらのお客様が日頃お世話になっている新・純潔乙女騎士団団長に感謝の気持ちを伝えたいと仰っておりまして。ここの支払いは自分達が支払うから好きなだけ頼んで欲しいと」

お姉さんの言葉に驚き、男性達が座るて、テーブルに視線を向けます。

男性達は、う、ウチに見られて微苦笑や優しい微笑みを浮かべて小さくえ、会釈してくれました。

う、ウチも慌てて頭を下げます。

同時に胸が、熱く、なりま、した。

ウチらの頑張りをちゃんと見てくれていた、んだ、と。

一度、し、信頼は失ってしまったけれど、が、んばって取り戻すことが出来たんだと。

嬉しくて、う、ウチは泣きそうになってしまいます。

店員のお姉さんもウチの心情を察したのか、め、メニューを強引に手渡してきます。

お姉さんはちゃ、茶目っ気たっぷりにウィンクを一つしてアドバイスしてくれま、した。

「男の人に恥を掻かせちゃいけませんから、ここは遠慮なく頼んだ方がいいですよ」

「は、はい、あのありがとう、ございます!」

男の人達にも届くように、お礼の言葉を継げました。

店員のお姉さん、男の人達、厨房から覗く料理人、他に居るお客様達――み、店全体が春の零れ日のような温かな空気に包まれ、ま、ました。

ウチは目元を拭うと、精一杯のえ、笑顔を浮かべて注文します。

「め、メニューに書いてあるお肉、ぜ、全部10皿づつください!」

お店の空気が春から、夏と秋を飛びこえ、極寒のふ、冬のような空気になりました。

なぜか分からず、ウチは小首を、か、かしげました、ふひ。

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後日。

オレが執務室で作業をしていると、ミューアがノックし姿を表す。

「どうした、ミューア?」

「実はさっき商工会との話し合いがあったのですが、その席で嫌味を言われたのです。リュートさん、商工会に何かしました?」

「いや? 何もしてないけど。それってヤバイ事態だったりするのか?」

オレは彼女の言葉をすぐに否定する。

立場上、巡回などはするが商工会とかかわる機会は滅多にない。

せいぜい店の前を通りかかると、挨拶を交わす程度だ。

面会率なら外交担当のミューアの方が圧倒的に多いレベルである。

だが商工会の好感度が下がるのは良くない。

消耗品の買い付けの際、値段そのままに質を落とされたりする。

その度にいちいちチェックしてするのは労力の無駄である。

「嫌味ってどんな感じだった? もしこちらが気付かずに何か迷惑をかけていたなら、オレが直接謝りに行くけど」

オレの頭一つで機嫌が取れるなら安い物である。

団員達には質の良い食べ物や消耗品を使って欲しいからだ。

オレの言葉にミューアは微笑をする。

「いえ、脅し――失礼、躾るほど深刻なものではなく、不機嫌が表に出た程度ですが……私自身、ちょっと身に覚えがないので気になって。念のため確認したかっただけですわ。仕事中でお忙しいのに申し訳ありませんでした」

ミューアは『脅し』と口にしたがすぐ誤魔化すように『躾』と言い直した。

言い直した言葉も怖いんだが……。

オレはそんな感情を表に出さず、フォローをする。

「気にしないでくれ。もし力が必要なら遠慮なく声をかけてくれ」

ミューアは了解と頷き、部屋を出る。

切れた集中力を取り戻すため、シアに淹れてもらった香茶を口にする。

しかし、商工会が嫌味って……本当に何があったのだろう?

オレは暫し香茶の口にしながら、首をひねったのだった。