軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第181話 作戦説明

オレとスノーは雪原で迫撃砲の発射準備に取り掛かっていた。

まずはソリに乗せて運んで来た荷物の中から、スコップを取り出す。

まずは地面を平らに整える。

次に 台座(ベース・プレート) を整えた地面に設置。

砲身(バレル) 、照準器を取り付ければ準備は完了だ。

後は目標(敵)が見えたら、細かく調整すればいい。

オレは手の汚れを払い落とし、スノーに声をかける。

「ごめんな、危険なことに付き合わせたりして」

「ううん、全然気にしてないよ! それにリュートくんと一緒だから平気だよ」

オレはスノーの笑顔に微笑み返した。

そして改めて、約1キロ先を睨む。

予定ではもう少しで、巨人族の群れが通りかかるはずだ。

オレは雪原を睨み付けながら、自分の建てた作戦を振り返った。

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「……もしかしたら街に被害を出さず、巨人族を倒すことが出来るかもしれない」

オレは詳しい作戦を説明するため、地図が広げられ皆に説明しやすい場所に移動する。

謁見の間から、大部屋へと移る。

そこには額縁に飾られた大きな地図がある。

オレは長い木の棒で地図を指さし説明していく。

「巨人の侵攻ルートは説明によると、このようにノルテ・ボーデンへ真っ直ぐ向かっているそうです。なので森が切れるここから、巨人達を攻撃して注意を引き、深谷前まで誘い込みます」

棒で深谷前の位置を数度叩く。

「ここに誘き寄せたら、合図を出すので、 雪崩(雪滑り) をワザと起こして、誘き寄せた巨人達を一気に深谷へ流し落とすんです。彼らの質量と谷の高さを考えたら、全滅は確実です」

「……確かにこの作戦なら、街に被害を出さず巨人族の群れを倒すことが出来るかもしれない。幸い、この時期、その近くを他の巨人族が通ることはないしな。……だが、そう簡単にいくとは到底思えない」

スノーの父、クーラがいくつか疑問点を挙げる。

「まず、どうやって100体もの巨人族の注意を引きつけるんだ? たとえ全体を引きつけたとしても、どうやって巨人族から逃げて深谷まで誘い込む? 雪原とはいえ、徒歩では深谷に辿り着く前に追いつかれてしまうぞ」

「巨人族の注意を引きつけるために、迫撃砲を使います。迫撃砲というのは……えっと、つまり簡単に言うと、1分間に連続20回分の中規模攻撃魔術を使える魔術道具です。この魔術道具で巨人族を連続攻撃して注意を引きつけますが、全部は無理だと思います。なので、少しは街へ行くことを覚悟してください。そして引きつけた後は、スキーを使って巨人族から逃げるつもりです」

「すきー? もうリュートくんたら、こんな時に『好き』なんて何を言ってるの。もちろん、わたしも好きだよ、むしろ愛して――イタッ!」

スノーは頬を両手で抑え、クネクネと体を揺らす。

オレは思わず、そんな彼女の額にチョップを入れた。

スノーこそ、この非常時に何を言っているんだよ。

これだからアホの子は……

いや、もちろんオレもスノーのことは好きだし、むしろ愛しているけど――じゃなくて!

オレは咳払いして話を戻す。

「スキーっていうのは、白狼族の村で子供達が足の裏に板を張り付けて、遊んでいた遊びのことだよ。あれを使えば、障害の無い雪原であれば巨人族から逃げることが出来る筈です」

次にスノーの母、アリルが質問してくる。

「白狼族は 雪崩(雪滑り) を最小限に抑えるため定期的にわざと雪滑りを起こしてきたから、ある程度、流れる方向を技術的に操作するのは難しくないの。それにここ約1年半は、ノルテ・ボーデンの人達なんかに追われていたせいで、 雪崩(雪滑り) をずっとしてなかったから、巨人族を押し流す大規模な 雪崩(雪滑り) を起こせると思うわ。でも、今から山に登って雪崩を起こす仕掛けをするには時間が無いわよ?」

どうやら 雪崩(雪滑り) を起こす山は険しい山で、たとえ魔術師でも、タイムリミット内に登るのは不可能らしい。

マジかよ!?

やっぱりこの作戦は無理だったか?

その場に集まっている皆が、どうやったら 雪崩(雪滑り) を作り出せるか議論を交わしだす。

「魔術師達を居るだけ集めて、魔術で雪崩を作り出してはどうだろうか?」

これはアムの案。

もちろん却下された。

巨人族100体を押し流すほどの 雪崩(雪滑り) を、この街に居るだけの魔術師だけで人工的に作り出すのは不可能だ。

「 雪崩(雪滑り) を諦めて、深谷まで巨人族を誘き寄せて橋を渡れば巨人族が付いてきて落ちませんか?」

これはリース案。

しかし、巨人族もある程度、判断能力はあるらしい。

自分から谷底へ落ちるマネはしないと白狼族側から言われる。

確かにオレが、アッドオン・グレネードを撃ち込んだ時、槍を持たない腕でガードしたっけ。

オレはそんな意見を耳にしながら、地図を睨み続ける。

お陰でひとつアイディアが浮かぶ。

「……この隣の山から爆発――衝撃を与えて 雪崩(雪滑り) を起こすことは出来ないでしょうか?」

前世、地球に居た頃、テレビで雪崩特集をやっていた。

雪崩が小さいうちに意図的に起こすことで、被害を抑えるというものだ。

その時、雪崩を起こす際、爆発物を使っていた。

その事を思い出し、提案する。

「確かに……いや、しかしもしやるとしたらここからとして――約900m先から、しかもある一点を爆破させなければ、しっかりと狙った方向、巨人族を押し流す 雪崩(雪滑り) を発生させることは出来ないぞ」

クーラが思案した後、追加条件を提示するが、それぐらいなら問題は無い。

オレ達にはミラクル・狙撃手のクリスが居る。

「クリス、やれそうか?」

『はい! 問題ありません! 任せてください!』

クリスは鼻息荒く、ミニ黒板を突き出す。

これでなんとか作戦を実行できそうだ。

そしてオレ達は作戦を実行するための役割分担を話し合う。

巨人族の注意を引きつける役目は、迫撃砲を扱える&スキーが滑れる人材として、オレとスノーが担当。

オレは前世、地球で子供の頃に滑った経験がある。

スノーは運動神経がいいため、少々練習すれば問題ないだろう。本人もそう主張している。最悪、オレが彼女を抱えて逃げればいい。

雪崩(雪滑り) はクリス、他白狼族の若い男性陣が担当することに。

オレの合図で彼女は約900m先から魔石を込めた炸裂弾で振動を与えて、 雪崩(雪滑り) を起こす。

もし彼女が 雪崩(雪滑り) に失敗したら、オレとスノーは巨人族に殺されてしまうだろう。だが、代わりにノルテ・ボーデンの人達を救うことは出来る。

しかし、クリスが失敗するのは想像出来ないため、心配するだけ無駄だ。

リース、シア、メイヤは冒険者達を従え、街へ向かってしまった巨人族の相手をする。

なぜかノルテ・ボーデンの冒険者達はシアに従順のため、素直に従うだろう。

残りのアム、アイス、スノー両親、白狼族、衛兵達は一般市民を地下道へ避難させる役目だ。

役割分担を決めると、すぐさま皆、行動に移した。