軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第137話 射撃訓練

訓練期間第7週目。

今日からはいよいよ射撃訓練に入る。

この日のためグラウンドには、射撃訓練用のスペースが作られていた。

スノー、シア、リースの魔術師組が土魔術でこしらえた物だ。

見た目はまんま弓道場だ。

誤射で弾丸が外に飛び出さないように、的の背後にある土壁は高くしてある。

新兵の少女達が10人×3列で整列している。

『気を付け』の姿勢で待ち構えていた。

足は踵を付け軽く開く。

手は軽く握るような形にする。

射撃訓練の指導教官を務めるオレとスノーは、少女達の前に立つ。

「休め!」

彼女達は一糸乱れず、『休め』――声と同時に足を開く。手を後ろに回して、両方の足に体重をかけることで負荷を分散し楽になる姿勢だ。

「今日から射撃訓練に入る。僕の他に彼女が指導教官を務める」

「スノー・ガンスミスです。皆さんの射撃訓練の指導教官を頑張ります」

スノーは精一杯怖くしようとするが、性格のせいか、容姿のせいか怖いより可愛いが先に立つ。

実際、可愛いからしかたないよね!

オレは皆に座るよう声をかける。

全員が体育座りとなり、立っているオレとスノーが皆から見えるようになった。

オレとスノーは振り返り、今回射撃訓練に使用するAK47×10と弾倉が置かれている台車に視線を向ける。

少女達30人に対して、AK47は10丁しかない。

メイヤも頑張ってくれたが、さすがに全員分を用意することは難しかった。そのため少女達には交互に使ってもらうことになる。

「これが PEACEMAKER(ピース・メーカー) の下部組織、新・純潔乙女騎士団で使用する魔術道具――AK47だ。マーサー、スペックを答えてみろ」

「サー・口径7.62mm、全長898mm、銃身長436mm、重量3.29kg、装弾数30発、発射速度600発/分であります・サー!」

前列に座っているロップイヤーみたいな垂れ耳のマーサーが淀みなく答える。

スペックや名称、長所、短所などは事前に 教練(ドリル) で教えていた。そのため先程のようにすらすらとスペックを上げることが出来たのだ。

隣でスノーが感心しているようだが、まさか彼女は使用しているAK47のスペックを知らない訳じゃないよね?

オレは気を取り直して話を続ける。

「 教練(ドリル) でやり方は教えているが、今回は実際にAK47を操作する。見ての通り10丁しかないため、10人ずつ順番に操作、発砲までおこなう」

『サー・イエス・サー!』

「それでは最初の10人、前に出ろ」

前列10人が立ち上がり、オレとスノーからAK47と弾倉を受け取る。

最初はオレから説明。

まずは弾倉の入れ方だ。

「マガジンの装着は、前端を深く銃の装着孔に差し込みながら、マガジン全体を後方に引くように入れる。こうすると素早く確実に装着することが出来る」

オレは自分のAK47に手本としてマガジンを装着する。

次に10人の少女達にマガジンを入れさせる。

無事、全員マガジンをしっかりと入れることが出来た。

「マガジンを装着したら、コッキング・ハンドルを後方一杯まで引いて手を離す。これで弾薬は薬室へ装填されることになる。コッキング・ハンドルを引く時、力を使うから気合いを入れてやれ!」

『サー・イエス・サー!』

少女達は指示通り気合いを入れて、安全装置を解除しつつコッキング・ハンドルを勢いよく引っ張り手を離す。

前列で一番小柄な人種族の少女が、やや手間取ったが問題はない。

これで射撃準備完了だ。

再び、いったん安全装置を入れる。

「次にあの約100m先の的へ向けて発砲してもらう。分かったか、雌豚共!」

『サー・イエス・サー!』

本来は250m先の的を狙うのだが、さすがにグラウンドスペース的にそれは無理だった。そのため約100m先の的を作った。

「それじゃ次、スノー頼む」

「了解だよ。それじゃここからはわたしが指導するね」

スノーは自身専用の真っ白なAK47を手に、笑顔で射撃方法の説明を始めた。

「最初に撃つ10名の女の子はここまで来て」

AK47を手に、スノーが指定する位置まで10名の少女が移動する。

「それじゃ今日は初日ということで、基本となる撃ち方『 立ち撃ち姿勢(スタンディング・ポジション) 』をやります」

『 立ち撃ち姿勢(スタンディング・ポジション) 』とは、立って撃つ姿勢のことだ。アサルトライフルの基本的な射撃姿勢である。

「まずAK47のストックをしっかりと肩に当て、右手はグリップに、左手はハンドガード部分周辺を掴みます」

スノーの説明に合わせて、彼女自身も『 立ち撃ち姿勢(スタンディング・ポジション) 』を取る。

少女達もスノーに続く。

オレは興味深そうに眺めている残り20名の少女へと視線を向けた。

スノーの説明は続く。

「左脇を締めて、右肘は力を抜き自然に任せてね。下手に反動を吸収しようと右腕に力を入れると逆に正確な射撃が出来なくなるから気を付けて」

「よし、それじゃ早速、発砲するぞ! スノーはもう指導はいいからこっちに来てくれ。オマエ達はそのままの姿勢で安全装置を解除! セミオートマチックに!」

10人の少女がAK47の安全装置を解除する。

一番上の 安全(セーフ) にあったセレクター・レバーを、一番下のセミオートマチック(単射)へと移動する。

硬い土で作られた中央に『●』がある的へ照準を合わせる。

「ファイア!」

ダン!

声に合わせて10の発砲音が響き渡る。

全員、初めてだったが無事、発砲出来たようだ。

AK47の長所は多い。

汚れに強く、頑丈で、作動の信頼性が高く、素人でも簡単に扱える、など多岐に渡る。

だが、短所もそれなりにある。

その1つが反動が強いことだ。

今の発砲で小柄な体躯の少女が辛そうに奥歯を噛みしめていた。

さらに続けて2発、セミオートマチックで発砲させる。

最初の10人に発砲を止めさせて、 安全(セーフ) を掛け直させる。

そして次の10人に弾倉を外したAK47を手渡す。

次の10人も先程と同じように、『 立ち撃ち姿勢(スタンディング・ポジション) 』をさせて3発だけ発砲させる。今日はあくまで射撃の感覚を体験してもらうためのものだ。

初日から無理をさせるつもりはない。

次の10人――その中にラヤラが交じっていた。

「ちょっと待て! ラヤラは外れろ!」

「さ、サー・イエス・サー」

彼女は肩を落とし、列から外れる。

他の少女達も贔屓や疑問を抱かず、納得の視線を向けてくれた。

さすがにあのラヤラにAK47を持たせたくない。不発ならまだいい。もし暴発したり、弾丸が全て的ではなく他少女達に飛んだりしたらまずい。ラヤラには申し訳ないが、仕方のない措置だ。

他にも 膝撃ち(ニーりング・ポジション) や 座り撃ち姿勢(シャティング・ポジション) などの撃ち方をやらせる。

まず少女達(1人除く)には、 突撃銃(アサルトライフル) の発砲や反動、感触、的に当てる感覚、撃ち方姿勢の種類等に慣れてもうらことを重視した。