軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第135話 最初の試練

説明会から3週間後――少女達が再び純潔乙女騎士団本部へと集まる。

人数はちょうど30人。

まず最初に名簿で名前を確認し、本人かどうか確かめる。

あり得ない話だが関係ない他者がいるかもしれない。あくまで念の為だ。

名簿を確認すると、書類にサインをさせた大部屋に少女達を通す。

オレは彼女達の前に立ち、指示を出す。

「名前を呼ぶので、呼ばれた方は前に来て 軍服(作業服) と靴を受け取ってください」

そして名簿順に少女達の名前を呼ぶ。

最初は獣人種族の少女だ。

一通り配り終えると、その場で着替えて貰う。

もちろんオレは退席した。

部屋に残ったスノー、クリス、リースに 軍服(作業服) と靴のサイズに問題が無いか少女達に確かめておくよう言ってある。

オレ自身準備があるため、急ぎ足で部屋を後にした。

脱いだ私服は、こちらで一時保管。

名前タグを付け、別室にしっかりと保管される手筈になっている。

返却は今回の入隊訓練が終了、又は本人が訓練に脱落し途中で辞退した場合返却する予定だ。

軍服(作業服) に着替え、靴を履き替えるとスノー達に、手渡したマニュアルについての説明をお願いしている。

説明を終えたら、彼女達が13週間過ごす大部屋へと案内するよう指示を出してある。

そしていよいよ、『リュート・ブートキャンプ』が始まりを告げる。

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30人の PEACEMAKER(ピース・メーカー) 下部組織である新・純潔乙女騎士団入隊希望の少女達が、大部屋に集められる。

大部屋――兵舎は体育館半分ほどの広さがあり、無骨な木組みの2段ベッド。その下には2つの木箱――フット・ロッカー・ディスプレイが入れられている。

フット・ロッカー・ディスプレイは二重底になっていて上段、下段に別れており入れる品物、場所も決まっている。

軍服(作業服) に着替えた少女達が、ベッドの前に2名ずつ並ぶ。

スノー達にそこで待つよう指示されているからだ。

程なく、オレが姿を現す。

少女達は驚きの表情を作る。

オレは 軍服(作業服) で鋭い表情を作り、部屋へと入る。スノー達は1人も連れて来ていない。

オレは部屋の奥まで来ると、踵を返し少女達の前を歩きながら告げる。

「今日から貴様等の訓練教官を務める PEACEMAKER(ピース・メーカー) 代表、人種族、リュート・ガンスミスである!」

少女達は先程までとはうって変わったオレの態度に、ざわつく。

すかさず怒声をあげる。

「誰が口を開いていいと言った! 雌豚共! 今後は僕が話しかけた時以外は口を開くな!」

ざわつきはぴたりと止む。

皆、突然の怒声に顔を強張らせる。

オレは少女達の前を歩きながら、怯えられているのも構わず罵声を続ける。

「いいか、今日からは口でクソを垂れる前と後に『サー』と言え。はいの時は『サー・イエス・サー』。いいえの場合は『サー・ノー・サー』だ。分かったか、雌豚共!」

『さ、サー・イエス・サー』

「舐めているのか! もっと大声出せ!」

『サー・イエス・サー!』

すかさず少女達は兵舎一杯に響く声を上げる。

「貴様等、雌豚共がこれから受ける軍事訓練に生き残れたら――各人は優秀な兵器となる。我らに害を与えるクソったれ共を地獄に叩き込む死の使いだ。その日まで貴様等は雌豚だ。この世界で最下層の生物だ!」

オレは歩きながら話を続ける。

「貴様等は人種族、妖精種族、獣人種族、魔人種族、竜人種族でもない! 魔物のクソを掻き集めた値打ちしかないクソ虫だ!」

少女達をギロリと睨む。

彼女達は目に分かりやすいほどの怯えを浮かべている。

「貴様等はこれから厳しい訓練を課す僕を嫌うだろう。だが憎め! 憎めばそれだけ一生懸命に学ぶ! 僕は厳しいが公平だ! 種族差別なんて決してしない! なぜなら!」

ブーツの足音が『コツコツ』と規則的に鳴る。

「人種族、妖精種族、獣人種族、魔人種族、竜人種族――平等に価値がないからだ! そんな僕の役目は、そんな役立たずを見つけ出し刈り取ることだ! 僕の愛し育んできた PEACEMAKER(ピース・メーカー) やこれから成長する新・純潔乙女騎士団にたかる害虫を! 分かったか、雌豚共!」

『サー・イエス・サー!』

「何度も言わせるな! 声を出せ!」

『サー・イエス・サー!!!』

オレは通りがかったラヤラに向き直る。

「僕は声を出せと言った。何時、笑えと言った!?」

「さ、サー・ノー・サー」

ラヤラは笑みを消そうとする。

彼女の努力で笑みは消えているが追い詰める。

「気色悪い笑みを消せと言ってるんだ! まだ笑っていられるとは気合いの入った雌豚だな! 気に入った! 家(うち) に来て嫁をファ○クしていいぞ! 名前はなんていう!」

「さ、サー・獣人種族、ラヤラ・ラライラです・サー!」

「獣人種族? 僕は貴様等を雌豚と呼んだ。つまり、貴様はこの世界で尤も価値の無い雌豚ではないのか! やり直せ!」

「さ、サー・ウチは雌豚のラヤラ・ラライラです・サー!」

「ラヤラ・ラライラ? 酔っぱらいがアホみたいに歌っているクソみたいな名前だな! 今日から貴様を『ほほえみ雌豚』と呼ぶ! 面白いか、『ほほえみ雌豚』二等兵!」

「さ、サー・ノー・サー!」

「ならさっさとその気色の悪い笑みを消せ!」

「さ、サー・イエス・サー!」

ラヤラの前から離れ、少女達に指示を出す。

「それではこれより訓練を開始する! 足腰立たなくなるまで可愛がってやるから覚悟しろ!」

前世、地球、アメリカの海兵隊新兵訓練では、訓練初日は睡眠を取らせない。

訓練教官が罵声を浴びせるのも、私物を取り上げるのも、訓練初日は睡眠を取らせないのも、今までただの民間人だった彼ら、彼女らの意識を改革させ覚悟を決めさせるためだ。こうして新兵を一人前に育てあげる。

実際、前世の地球、アメリカ海兵隊の初期訓練を終えた新兵は『昔の弱い自分を捨て、まさに今日自分は生まれ変わり海兵隊員になったのだ』と実感する者も居るらしい。

こうしてまず彼女達の意識を改革するため、オレは罵声をタップリと浴びせて、厳しく指導した。

グラウンドに集合した少女達。

初日の訓練が始まる。