軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第114話 合同会議

翌日、オレは 狼剣(ウルフ・ソード) と 百合薔薇(リリ・ローズ) との会話内容を、純潔乙女騎士団顧問ガルマに包み隠さず伝えた。 百合薔薇(リリ・ローズ) から、純潔乙女騎士団を含めた3 軍団(レギオン) の合併を提案されたことも含めてだ。

彼は徹夜明けのように疲れた溜息を漏らす。

「分かっていたことだが、これほど他 軍団(レギオン) から格下扱いに見られていたとは……。OG達や歴代の方々達に顔向けできんな」

執務室のソファーに深く体を預けた。

ガルマは正面に座るオレに視線を向ける。

「それでその2つの 軍団(レギオン) のどちらか、もしくは1つと同盟か合併の道を選ぶつもりかい?」

「まさか、どちらもお断りしますよ。彼らと合併や同盟を結んでも、 狼剣(ウルフ・ソード) なんかは特に代表者である僕をはじき出して吸収する気満々でしょうし、仮に僕がリーダーになってもかなり面倒なことになるでしょうから。そんなあからさまな罠や面倒事に突っ込むようなマネするわけないじゃないですか」

それに街の税収目当てに手を組もうと持ちかける 軍団(レギオン) や、策謀を張り巡らせる 軍団(レギオン) と、 PEACEMAKER(ピース・メーカー) の目的を共有出来るとは思えない。

ガルマはオレの返事を聞くと、あからさまに安堵する。

「もしも彼らと手を組むと言われたら、どうしようかと思ったよ。今、 PEACEMAKER(ピース・メーカー) にそっぽを向かれたら、確実に純潔乙女騎士団はココリ街の治安維持業務を他 軍団(レギオン) に奪われるだろうからな」

オレはガルマの言葉を聞いた後、彼に向かって言う。

「それでですね、 狼剣(ウルフ・ソード) と 百合薔薇(リリ・ローズ) にお断りの話をしたいんですが……自分達だけだとごねられたり、押し切られたりする可能性があるので、純潔乙女騎士団の代表としてガルマさんにもその場に出て欲しいのですが」

特に 百合薔薇(リリ・ローズ) の代表とはあまり1対1では会いたくない。

ガルマがいれば、断る話もスムーズに進むだろう。

「ああ、もちろん出席させてもらうよ。儂はそういう役割もこなすために特別顧問を務めているからな」

「ありがとうございます。我が儘ついでに、僕達はまだこの辺の地理に疎くて……出来れば会議の場も設けて貰ってもいいですか?」

「お安いご用だ。日時が決まり次第、適切な場を用意しよう」

ガルマの快諾を受けて、オレ達は2つの 軍団(レギオン) を呼び出す日時と場所を決め、話の段取りも大まかに決めた。

そして今度はこちらから 狼剣(ウルフ・ソード) と百合薔薇に招待状の手紙を送り出す。

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わざわざ2つの 軍団(レギオン) 、 狼剣(ウルフ・ソード) と 百合薔薇(リリ・ローズ) を同時に呼び出したのには理由がある。

2つ同時に話を終わらせるために、互いに牽制させスムーズにケリを付けるためだ。

また和やかに飲食することで、 軍団(レギオン) 同士の友好をはかり『純潔乙女騎士団の寝首を掻いてその座を奪う』なんて物騒な考えを思いとどまらせるか、もしくは落としどころを探るのが今回の狙いだった。

そのためわざわざちょっとランクの高い飲食店を貸し切ったのだが……

「貴様達のような若造の 軍団(レギオン) に、伝統ある純潔乙女騎士団が守護するココリ街を明け渡すつもりはない。さっさと荷物を纏めて出て行くがいい……ッ」

開幕早々、純潔乙女騎士団の団長である獣人種族イタチ族のルッカが、 狼剣(ウルフ・ソード) 代表でマッチョでもあるゴウラと、 百合薔薇(リリ・ローズ) の代表で妖艶な美人のラヴィオラに喧嘩を売る。

同席しているオレと、純潔乙女騎士団の顧問のガルマの顔が青くなる。

背後に立つメイド姿のシアだけは、オレ達の背後に控えて表情を変えず旅行鞄を持ち続けていた。

オレは思わず、隣に座るガルマに小声で話しかける。

(どうしてルッカさんをこの場に連れて来たんですか!? 彼女の性格上、こうなることは付き合いの浅い僕でも分かりますよ!)

(本当にすまない! 出がけに捕まってしまって……『 軍団(レギオン) の代表者が集まる会議に、純潔乙女騎士団の団長である自分がなぜ出席出来ないのですか?』って迫られて……断り切れなかったんだ。本当に申し訳ない!)

今更謝られても遅すぎる。

純潔乙女騎士団を神聖視している彼女を、後釜に座ろうと狙っている 軍団(レギオン) の代表者に会わせたらどうなるかなんて、火を見るよりも明らかだ。

なのにわざわざ連れてくるなんて……ッ。

すでに事態は最悪なものになっていた。

しかしルッカの頭も固すぎる。いきなりの喧嘩腰にこの態度。

ガルマも苦労してるんだろうな。……と言っても、仕事を受けてしまった以上もう人事ではなく、オレ達も巻き込まれている訳だが。

ルッカはゴウラとラヴィオラを見て、うんざりとした声音で溜息を漏らす。

「影で結託しようとこそこそ動いて……まったくこれだから歴史も誇りも無い 軍団(レギオン) は嫌なのよ」

「今日はこないだ話した同盟の返答と 軍団(レギオン) 同士の友好を深めるための食事会だと手紙には書いてあったが……どうやら俺様の読みとは違うらしいな」

「 私(わたくし) も悔しいですが、 狼剣(ウルフ・ソード) と同じ意見ですわ。戦争がしたいのなら、分かりやすいようそう仰って頂ければ宜しいのに。伝統というカビと埃にまみれた 軍団(レギオン) を潰すぐらい、 百合薔薇(リリ・ローズ) にとって造作もないですわ」

「き、貴様ら……ッ」

ゴウラは犬歯を剥き出しにして、ラヴィオラは微笑みを浮かべているが毒舌を吐き出す。

ルッカは彼らの挑発をまともに受けて、目を血走らせるほど激怒する。

和やかさなど1ミクロンも存在しない。

(どうするんですか!? これじゃ当初の予定は丸つぶれですよ!?)

(この場は強引にでも解散して、また日を改めて話し合いの場を設けるしかないだろうな)

改めて場を設けるのは吝かではないが、正直今回の一件を水に流すためこちら側がある程度譲歩しなければならなくなるだろう。

それを分かった上で、ガルマは『日を改める』という決断を下す。このまま話を続けるよりはまだマシだろうという判断なのだろう。

オレもその考えに賛同し、頷いて同意する。

今回の場を解散させるのは、ホストであるガルマに任せよう。

しかし、状況はさらに混迷を深める。

ガルマが立ち上がり、睨み合う3人に声をかけようとすると――来客が現れたのだ。

今夜は会議のため店を貸し切っている。

なのに扉が開き、清んだ鈴音を店内に響かせた。

その場に居た全員が音に反応して入り口に視線を向け、来客に絶句する。

店に入って来たのが、全身を鎧で覆う甲冑野郎だったからだ。