軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

277.トップ交代?

「あらためまして、神域へようこそ。 私(わたくし) はプロミナ。あなたたちには太陽神と呼ばれておりますね」

女神様はニコリと笑顔を浮かべ、小首を傾げる。太陽神様と言えば、教会では主神として奉られる存在だ。とはいえ、廉君やガルナの態度を見る限り、立場が上の存在というわけではないみたいだね。

「プロミナは神々のまとめ役なんだよ」

「あくまで父上の代理として、ですけどね。大役を押しつけられて参ってしまいますよ。皆より先に生まれたというだけなのに」

何でも、太陽神様は創世神が最初に生み出した神様みたい。人間で言うなら長女みたいなものだね。そのせいで、神々の代表みたいな役割をやらされてるんだって。渋々といった様子を見せてるけど、そのわりには演出がどうのって、ずいぶんノリノリだよね。

「まずは御礼を。あなたのおかげで、長きに渡って続いたガルナラーヴァとの対立も解消されました。ありがとう」

太陽神様の言葉に合わせて、白い空間に無数の声が響く。高い声に低い声、しわがれた声と様々あるけど、その全てが御礼の言葉だ。

ビックリする僕たちに、廉君が説明してくれる。

「姿は見せてないけど、他の神も見てるからね。最初はみんなで迎えようって話だったのを、僕がどうにか押しとどめたんだよ」

どれだけ数がいると思ってるんだよと廉君がぼやく。御礼の言葉はまだ続いているから、本当に多くの神が感謝してくれてるみたい。その全員がここに押し寄せたとしたら……うん、圧迫感が凄そうだ。中にはテンションが高そうな神様もいるし、下手したらわけもわからず揉みくちゃにされていたかもしれない。廉君には感謝しておこう。

ありがとうと廉君に頷いてから、太陽神様に向き直る。

「いえ、僕は廉君の使徒なので」

結果として、たくさんの神様に感謝されることになったけど、僕は使徒としてやるべきことをやっただけ。もっと言えば、運命神の巫女としての役割を担うハルファを助けようと思っただけなんだよね。

僕の戸惑いを察したのか、太陽神様はくすりと笑った。

「あなたがどういう想いを持って行動したとしても、その結果に私たちは満足しているのです。感謝を直接伝えたいと考えただけですので、それほど気にならさず。何か御礼をしたいところですけど……」

太陽神様が窺うような視線を向けてくる。それを見た廉君が息をついて、首を振った。

「本人が必要ないって言ってるんだから、それでいいでしょ。押しつけるのも違うと思うよ」

「それはそうですが、神としての体面がありますし」

「誰に対する体面だよ。プロミナは変なこと気にしすぎなんだって」

太陽神様と廉君が揉めているのは、僕らへの御礼についてみたい。実は、廉君から事前に何か欲しいものはないかと聞かれていたんだよね。でも、特に欲しいものはないし、必要ないって答えたんだ。

だって、使徒としての使命を全うしただけだし。それに、神様からの御礼って大仰になりそうだからちょっとね……。

「では、何かあれば、そのときに力を貸してください」

「そうですか。では、そのように」

僕の申し出に、太陽神様が頷く。少し不服そうだけど、この辺りが落とし所だよね。

「ところで、トルト。一度、天職を見直してみたらどうです?」

用事はこれで終わりかなと思ったけれど、まだ続きがあるみたい。

「天職……って何でしたっけ?」

「職業神の加護ってヤツだよ。正確には加護じゃないんだけどね」

僕の疑問には廉君が答えた。

なるほど、あれか。僕は冒険者になってすぐに迷宮探索士の加護を授かった。恩恵は器用さに加えて、【罠解除】や【解錠】といった迷宮探索で必要な技能が成長しやすくなるんだったかな。器用さはともかく、スキルの方はあまり活用できてない気はするね。最近では探索も戦闘も、ゴーレムを使うことが多い。ゴーレム関連の職業の加護を授かれるなら、そちらの方がいいね。

「そうですね。ここを出たら見直してみます」

「いえ、その必要はりませんよ。見直す気があるなら、担当者を呼びます。セルウス!」

太陽神様が天に向けて呼びかけると、いつの間にか、その隣に白髪のお爺さんがそばに立っていた。鷲鼻で視線は鋭く、ちょっと厳めしい感じだ。

「呼んだかな」

「呼んだかな、ではありませんよ。見ていたのですから、わかっているでしょ?」

「何を言う。様式美ってものがあるだろ」

見た目はともかく、ノリは緩い感じだったけれど。太陽神様のツッコミにカカカと笑っている。

「冗談はさておき。私はセルウス。お前たちの言う職業神だ。さて、天職の付け替えだったな。早速やっていこう」

職業神様がパンパンと手を鳴らすと、僕らの目の前に巨大スクリーンが現れた。映っているのは、幾つもの文字。たぶん、僕の天職候補を羅列したものだと思うんだけど……とんでもなく数が多い!

「これはすごいな。ここまで種類が豊富な者は滅多にいないぞ」

「昔よりも増えてるんですけど!」

「天職候補は増えることも減ることもある。お前の場合、様々な経験を経て、資質が芽吹いたのだろう」

職業神様の解説を聞きながらも、天職候補のリストに目を走らせていく。盗賊、暗殺者なんて物騒なものから、敏腕助手とか名料理人なんてものもある。あ、ゴーレム使いとか、ゴーレム術士とかもあるね。付け替えるなら、この辺りかな。

そんな風に考えていると、太陽神様が大きな声を上げた。

「ああ、ありました! ありましたよ!」

とても興奮した様子で、太陽神様がスクリーンの一点を指さす。そこに記されていたのは『創世神(卵)』の文字だ。

え? いや、僕の天職だよね?

創世神って職業なの!?

混乱する僕をよそに、太陽神様がニコニコ笑顔で告げる。

「やはり、トルトは父上の力を受け継いでいるようです! それなら、私がまとめ役をする必要はありませんね! 今日から、あなたが我々のトップです!」

え、えええええぇぇぇ!?