軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

155.妖精たちへの対価

「あなたたちに、私の加護を授けます」

妖精女王の言葉を受けて、アレンとミリィは恐縮した様子で頭を下げ、シャラは不思議な微笑を浮かべて軽くお辞儀をした。ピノはニコニコ笑っている。

精霊神様や運命神は、妖精女王からすると格上の存在。そんな神々が加護を与えた僕らに、あとから自分が加護を与えるというのは 憚(はばか) られるみたい。上司のお気に入りにちょっかいをかけるみたいな感じなのかな?

そんなわけで、代わりを探した結果、白羽の矢が立ったのがプチゴーレムズだ。ゴーレムに加護を授けるのは前代未聞のことだとは思うけど、妖精女王は嫌な顔をせずに応じてくれた。他に対象者がいないんだから女王としても他の選択肢がなかったのかもしれないけど。

加護の効果はマナの自然回復上昇と地形トラップのような自然地形によるダメージ等を軽減。もっとも、それがゴーレムにも適用されるかどうかはわからないけど。それと、招待状なしで妖精界に訪れることができるみたい。

ロロを妖精界に送り返すこともできたし、妖精女王との謁見も終わった。目的は果たしたと言っていいんだけど、できればお願いしたいことがある。

「ポーションの材料が欲しいので採取させてもらってもいいですか?」

図々しいお願いかなとは思ったけど、女王は笑みを浮かべたまま応じてくれた。

「ロロの恩人ですからね。取り過ぎなければ構いませんよ。ただし、資源はあくまでそこに住まう妖精たちのものです。彼らに話を聞き、望む対価を支払っていただく必要がありますよ」

「なるほど、わかりました!」

たしかに、対価は必要か。

妖精たちが管理しているものを貰うのだから、当然のことだよね。どれくらいの対価が必要なのかは妖精たち次第になるけど、入手の機会があるってだけでもありがたいよ。

ちなみに、僕が申し出たのはポーションの材料の採取だけど、管理している妖精と交渉さえすれば、そのほかの資源を採取しても構わないそうだ。妖精界には様々な妖精がいる。鉱山を管理している妖精なんかもいるそうだし、折を見てそちらにも顔を出してみよう。アレンたちが一緒なら妖精界に入れるようになったからね。

ともあれ、今欲しいのはポーションの材料だ。ロロの案内でふたたび、花の妖精のテリトリーに戻る。

「それで、あなたが欲しいのは何?」

「ポーションに使える珍しい植物が欲しいんだけど」

「そんなこと言われても、私にはわからないわよ。ポーションなんて作らないもの」

それはそうか。もっと具体的に言わないと。

「えっと、ゴルドディラはあるかな? 金色の四つ葉なんだけど」

「ああ、うんうん。クローバーにまじってたまに見つかるやつでしょ? クローバーが多いところになら案内できるわ!」

ステータス向上薬に必要なゴルドディラに狙いを絞って伝えると、心当たりがあるみたい。先導するロロに従って花畑を進めば、少しずつ咲く花の傾向が変わっていくのがわかる。花壇みたいに区画ごとに花の種類が分かれてはいないので、かなり入り交じってはいるけどね。

「ここよ! でも、金色の四つ葉はなかなか見つからないわよ? あなたに見つけられる?」

「うーん、たぶん?」

いつか立ち寄った村とは違って、一面のクローバー畑というわけじゃないから、少し探すのは大変だと思うけど全く見つからないわけじゃないと思う。試しに、少し屈んで探してみると――

「あっ。あったね」

「はやっ!?」

運良くすぐに見つかった。これなら、きっと十分な数のゴルドディラを確保できるだろう。どうしようもなければ物探し棒を使う手もあったけど、足下が草や花で覆われている場所には不向きな道具だからね。自力で見つけることができて良かった。

「このゴルドディラを幾つか採取させて欲しいんだけど、大丈夫?」

「珍しいけど、私たちにとっては他のクローバーと変わりないからね。採取するのは構わないわよ」

「ありがとう。対価はどうしようか?」

「うーん、そうねぇ」

ロロは少し考えたあと、「みんなー!」と周囲に呼びかけた。遠巻きに見ていた花の妖精たちが集まってきて会議が始まる。 喧々囂々(けんけんごうごう) とした議論の末、妖精たちを代表してロロが宣言した。

「甘いものが欲しいわ! 花の蜜よりも甘いものよ!」

「甘いものかぁ」

甘いお菓子はみんな大好きだから、卵と牛乳を手に入れてから色々と作っている。材料も収納リングには十分にあるから、今からでも作れるだろう。問題は何を作るか。

「ねえねえ、スピラちゃん! 久しぶりにソフトクリームを作ろうよ!」

「いいね! 作ろう作ろう!」

迷っていると、ハルファたちがあっさりと決めてしまった。

ソフトクリームか。ガロンドの料理コンテストで二人が優勝したときに提供していたのが、ソフトクリームだったね。ちょっと作るのが大変なこともあってあまり作ることがなかったけど、久しぶりに作る気になったみたいだ。