軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

116.成長してる

第十五階層は丘陵エリアだ。勾配が緩やかな低山がいくつも連なっている。移動が大変なのもそうだけど、何より高さを活かした奇襲をしてくる魔物が多いのが特徴だね。

その中でも強敵なのがレッドラプトル。見た目は小さめの恐竜という感じ。単独でもCランクに相応しい強さなのに、少数の群れを作って襲いかかってくるので厄介な相手だ。

特に危険なのは、高所からの奇襲突撃。傾斜を下ることで突進に勢いが付き、重装の盾役でも捌くのは難しいという話だ。まあ、僕らのパーティーに盾役はいないから、最初から受けて耐えるという選択肢はないけどね。

僕らの対レッドラプトルの戦略は、足止めと早期殲滅。

『む? 気がつかれたか。ラプトルが来るぞ! 数は七だな』

「了解! スピラは足止めをお願い」

「わかったよ。三頭は止められるかな」

盾役はいないけど、スピラの樹属性を絡めた攻撃で足止めはできる。三頭も拘束できるなら上等だ。

「ハルファはシロルと組んでね」

「うーん、仕方がないか。シロルに乗ったままショックボイスが使えないかな?」

『ぼ、僕にぶつけるんじゃないぞ!』

「最初の一撃だけにしといてね……」

ハルファのショックボイスは強力だけど、乱戦だと使えない。味方が巻き込まれたら大変だからね。敵が近づいてきたときの最初の一撃だけで勘弁してもらう。

それ以降は巨大化したシロルに騎乗してみんなのフォローだ。ハルファはレッドラプトルの突進に対応するのが難しいからね。スピラの方は不意打ちじゃなければ物理攻撃はどうとでもなる。今は実体化しているけど、彼女は精霊だ。いざとなれば透明化すればいい。

「ローウェルはとにかく隙を見て攻撃して。とにかく数を減らそう」

「ああ、任せてくれ」

ローウェルは僕と一緒に殲滅力担当。とにかく、数を減らして、相手の手数を減らさないと。

「かかったよ!」

レッドラプトルが接近したところに、スピラが氷の蔦を壁のように張り巡らせた。勢いがついたラプトルたちは停止できずに、そのまま突っ込んでいく。パキパキと音を立てながら氷の蔦がちぎれていくけど、その一方で次々と枝葉が育ちラプトルを絡め取っていく。最初に申告したとおり、三頭のラプトルを拘束し、完全に動きを封じた。後続の四頭も拘束こそ逃れたものの、突進の勢いは完全に失われている。

「いくよっ! わぁっ!!!」

シロルに騎乗してラプトルの側面に移動したハルファがショックボイスで後続の四体を攻撃した。まともに受けた二頭が倒れ伏した。消滅はしていないけど、頭への衝撃で意識が朦朧としているみたい。レッドラプトルは耐久力も高いから、さすがに一撃で倒すことはできなかったけど、効果は十分だ。

この時点でまともに動けるラプトルは二体。そのうちの一体にローウェルが駆け寄った。手にした白銀の剣は白く輝く氷の粒を宿してキラキラと光っている。気付いたラプトルが噛みつき攻撃で迎撃しようとするけど、ローウェルはするりと躱し、首元を鋭く切りつけた。ギャウという悲鳴を上げて飛び退くラプトル。傷は深いとは言えない。

だけど、凍てつく一撃はラプトルの熱を奪う。ラプトルは特に氷属性に弱いみたいだから、あと何度か攻撃を受けるとまともに動けなくなるだろう。

僕だって、ただ様子を観察しているわけじゃない。シャドウリープで一気に距離を詰め、不意打ちの一撃を入れている。ラプトルの表皮は硬いので、初めから光刃での突き刺し攻撃だ。下手に刃を入れると僕の力じゃ抜けなくなっちゃうからね。

攻撃したあとは、シャドウリープでスピラの影に退避。それで、ラプトルは僕を見失う。ラプトルはあんまり頭がよくないので、これを繰り返せば一方的に攻撃を加えることができる。と言っても、奇襲による【影討ち】発動で一撃の威力がかなり上がっているから、何度も繰り返すほどラプトルがもたないけどね。

僕とローウェルが受け持っていたラプトルを仕留めれば、あとはほとんど危険もない。最後は、ラプトルのお株を奪うような突撃攻撃でシロルがとどめをさした。

うーん、僕たちも強くなったなぁ。メンバーが増えていることもあるけど、Cランクの魔物の群れを相手に一方的に戦えるようになるなんて。いやいや、この程度で満足してはダメだよね。邪神関連で巻き込まれることが多いから、妥協せずに強くならないと。

「おっと、宝箱だ」

「本当だ。でも意外と出ないよね。宝箱は迷宮型ダンジョンだと、もっと見つかるのに。今なら物探し棒もあるしさ」

ハルファは宝箱の出現頻度に不満を持っているみたい。といっても、それなりに見つけてはいるんだけどね。

「迷宮型の方がたくさん見つけられたのは確かだと思うけど……、物探し棒に関してはどうかな?」

迷宮型ダンジョンでは宝箱があらかじめポップする方式だから、物探し棒に反応するとは思う。でも、役に立つかどうかは微妙だ。物探し棒が示すのはあくまで目標のある方向。ルートを示してくれるわけじゃないからね。近くにあるけど、大回りしないと辿り着けないなんてこともあり得るから。

まあ、いいや。そんなことよりも宝箱だ。罠解除と解錠をちゃちゃっとやって、いざ開封っと。

「んん? なんだこれ?」

宝箱に入っていたのは、柔軟性の高い棒の先端にふさふさとした何かがついた不思議なアイテム。鑑定の結果、これは『信念のかんざし』だということがわかった。精神攻撃に対する耐性を高める効果があるみたい。

悪くないアイテムだけど、かんざしってこんなだっけ? 正直、僕には猫じゃらしにしか見えない。

うーん、猫かぁ。

アイングルナで猫は見なかったけど、猫っぽい人はいたよね。