軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第126話 賢者の宝冠

1週間程前、『冒険者の街』にて。

『金色の鷹』の控え室では、リリアンヌとアリクが話し合っていた。

「リリアンヌ。ロランの『火竜の島』での地ならしはいつまでかかるんだ。これだけの長期間、街を離れてギルドの資金を使っておきながら、いまだに何の成果も上げられないとなれば、執行役としての資質を疑われても仕方のないことだ。事実、すでにロランの行動について、ギルドの内外から疑問の声が寄せられている」

「アリク。先日も申し上げました通り、『火竜の島』の情勢は思いの外厄介です。ロランさんも地元の冒険者ギルドを育てるのに四苦八苦しています。ここは私達がしっかりと信じて支えてあげなければ」

「だが、もはやこれ以上、隊員達の不満を抑えるのは難しい。俺にも立場というものがある。『金色の鷹』の内務を蔑ろにして、他の街のことにばかりかかりきりになっている者を擁護するのにも限界がある。このままではロランが『火竜の島』に投じてきた費用と労力が全てご破算になってしまう、ということにもなりかねんぞ」

「うーむ。そうですか」

リリアンヌは物憂げにペンダントを指で撫でた。

『竜の涙』は青い光を放っている。

「では、こういうのはどうでしょう。来期のダンジョン割り当てですが、『鉱山のダンジョン』を『金色の鷹』にお譲りしますよ」

「なんだと?」

「担当するダンジョンが増えれば、『金色の鷹』の収入は増加しますし、隊員達も仕事で忙しくなります。そうなれば、ロランさんへの不満も逸らせることができるでしょう?」

「確かに、それなら一時的に不満を抑えることはできるが……、しかし、それでは常々『鉱山のダンジョン』を担当している『魔法樹の守人』第二部隊はどうするつもりだ? まさかあれだけの強者が揃っている街最強の部隊を遊ばせておくわけにもいくまい。そんなことになれば、今度突き上げを食らうのは君の番だぞ」

「『魔法樹の守人』第二部隊は『火竜の島』に派遣します」

「『火竜の島』に?」

「はい。第二部隊も『鉱山のダンジョン』攻略に慣れてきて、そろそろ街の外のダンジョン探索を経験させる頃かな、と思っていたところでした。彼らを『火竜の島』に派遣すれば部隊の強化に繋がりますし、ロランさんにとっても助けになるはずです。あなたとしても『金色の鷹』内部の不満を抑えつつ、立場を強化することにも繋がって……」

「三方よし、というわけか」

アリクは腕を組んで、少し考えた。

「いいだろう。それで手を打とう」

その後、リリアンヌはユフィネとシャクマに、ロランを支援するため第二部隊を率いて、『火竜の島』へと赴くよう命じた。

モニカも派遣部隊に志願したが、リリアンヌは何かと理由をつけて、モニカだけは『冒険者の街』に留まらせた。

『火竜の島』へと向かう船内で、ユフィネが通路の椅子に腰掛けて休んでいると、軽薄な笑みを浮かべた男が近づいてきた。

「やっほー。彼女ヒマ?」

ユフィネがジロリと睨むが、男はなおのこと話しかけてくる。

「君、『魔法樹の守人』の 治癒師(ヒーラー) だよね。俺は『賢者の宝冠』の魔導師なんだけどさ。どう? あっちでちょっとお話ししない?」

「おい、やめとけって。揉め事は起こすなって隊長に言われただろ」

ツレらしき男がナンパ男をたしなめる。

「いいじゃねーか。彼女退屈してるみたいだし。ねえ」

ユフィネは男の言葉には反応せず、無表情のまま微動だにもしない。

「そうツレない態度とるなよ。せっかく同じ船に乗ったんだからさ。なんなら俺が魔法先進地帯『魔導師の街』の魔法について教えてやっても……」

肩に手を置こうとしてくる男に対して、ユフィネは杖で床をガンッと叩いて、船内にくまなく魔法陣を展開させた。

「なっ、なんだぁ?」

「これはっ。回復魔法? バカな。こんな広範囲に魔法陣を展開させることができるなんて。こんなの『魔導師の街』でも見たことがないぞ」

『賢者の宝冠』の魔導師達が 狼狽(うろたえ) ていると、『魔法樹の守人』の 戦士(ウォーリアー) 達がやって来た。

「どうされましたか。レイエス隊長!」

「この魔法陣は一体? まさか戦闘を仕掛けられたのですか!?」

駆け寄って来た 戦士(ウォーリアー) 達の言葉を聞いて、魔導師達はより一層慌てた。

「た、隊長? まさか、じゃあこの人は……」

「『 広範囲(ワイドレンジ) 治癒師(・ヒーラー) 』のユフィネ・レイエス!?」

「し、失礼しましたぁ」

『賢者の宝冠』の二人は、尻尾を巻いて逃げ出した。

「ユフィネ。どうかしましたか?」

ユフィネの魔法陣を見たシャクマもやってきて、尋ねた。

「どうしたもこうしたもないわよ。だーっ、もう、いつまでこんな船の中に籠もってなきゃならないのよ。毎日、毎日、船内をウロウロする以外やることもない。変な男には絡まれるし」

「まあまあ。そう悪いことばかりでもありませんよ」

シャクマが宥めるように言った。

「『火竜の島』に辿り着けば、久しぶりにロランさんにも会えますしね」

シャクマがそう言うと、ユフィネも怒気を緩めて、思い出を振り返る時、窓の外を見るような顔をした。

「そうね。ロランさんに会えるのは楽しみだわ。私の成長した姿をきっちり見てもらわなくっちゃ」

ユフィネがそんなことを言っていると、通路の向こうからザワザワと人の騒ぐ気配がした。

長身のスラっとした男が2、3人の配下を従えながら、近づいてくる。

胸元には『賢者の宝冠』の紋章を付けている。

「『 広範囲(ワイドレンジ) 治癒師(・ヒーラー) 』はどこだ? こっちか?」

彼はユフィネに目を留めると、すぐに彼女の非凡さに気づき、愛想のいい笑みを浮かべながら近づいて来た。

ユフィネもユフィネで彼が先程絡んで来た男達とは格が違うことを一目見て悟った。

(こいつ……強いな。Aクラスか?)

「あなたがユフィネ・レイエスですか? これは思いがけない僥倖だ。『魔法樹の守人』が同船しているとは聞いていましたが、まさかかの名高い『 広範囲(ワイドレンジ) 治癒師(・ヒーラー) 』にお会いできるとは」

「あなたは?」

「これは申し遅れました。私、『賢者の宝冠』の 筆頭治癒師(エース・ヒーラー) を務める、イアン・ユグベルクと申します。『火山のダンジョン』では、強力な飛行ユニットである竜族がいることから 治癒師(ヒーラー) を始めとした後衛の働きが重要です。ダンジョン内では盗賊に対して共同戦線を張ることもあるでしょう。その時はよろしくお願いします」

「……」

「あ、もうすぐ船が港に着くみたいですね」

シャクマが呟くように言った。

船員達が慌ただしく下船の準備を始める。

ユフィネとイアンも下船に備えるため、その場は別れた。

港に降りた『賢者の宝冠』と『魔法樹の守人』は島の住人達によって歓呼の声をもって迎えられた。

両ギルドとも街の住民によって、広場まで誘導される。

『賢者の宝冠』筆頭支援魔導師のニール・ディオクレアは、広場までの道案内を務める男に尋ねた。

「おい、つかぬことを聞くが、『魔導院の守護者』のセイン・オルベスタが『 巨大な火竜(グラン・ファフニール) 』を討伐寸前まで追い詰めたというのは本当か?」

『魔導院の守護者』の名前を聞いた途端、道案内の男はそれまで愛想良くニコニコ笑っていた顔を引っ込めて、不機嫌な顔になる。

「今、私に魔導院の奴らのことについては聞かないでいただきたいですな」

「ということは、やはりセインが『 巨大な火竜(グラン・ファフニール) 』を追い詰めたというのはウソなのだな?」

「さあ、どうでしょうかね。何せ魔道院の奴らは、災害の後始末もせず、逃げるように島を出て行きましたからな。ただ、私には奴らが『 巨大な火竜(グラン・ファフニール) 』にそこまで善戦したとは思えませんがね。何せ奴らが挑んだ後、『 巨大な火竜(グラン・ファフニール) 』は元気に暴れて地震を起こしていましたからな。仮に彼らの戦いを讃えるような話が流れているのだとしたら、それはどこぞの誰かが流したいい加減な噂だと思いますがね」

「おい、聞いたか諸君」

ニールは嬉しそうに仲間の方を振り返って、呼びかけた。

「セインが『 巨大な火竜(グラン・ファフニール) 』を追い詰めたという話は嘘っぱちだそうだ。また セイン(暴れん坊) のホラ吹きに一杯食わされちまったな」

『賢者の宝冠』の隊員達の間でドッと笑いが起こる。

彼らは常々『魔導院の守護者』をライバルとして意識していたため、ギルドの本拠地である『魔導師の街』でセインの吹聴する戦果にピリピリしていたところだった。

ニールは 一頻(ひとしき) り魔導院を笑い物にして、隊員達の士気を高揚させるとイアンの隣に来る。

「良かったね、ニール。まだ『 巨大な火竜(グラン・ファフニール) 』が狩られていないようで」

「ああ。セインの話が本当なら、今頃、他のギルドの奴に『 巨大な火竜(グラン・ファフニール) 』が横取りされていないとも限らんからな。それにしても……」

ニールは心底嬉しそうに笑みを浮かべる。

「魔導院の奴らのあの嫌われ様。どうやら奴らは、この島の住民を大層失望させたようだな」

「暴れん坊のセインが突然、街を飛び出して『火竜の島』に向かうと聞いた時は、焦ったけど……、どうやら杞憂に終わったようだね」

「奴め。あれだけ勝算があると 嘯(うそぶ) いておきながら、結局、考えなしの遠征だったようだな。所詮は青二才の考えることよ」

「二人とも魔導院の失敗に安心している場合ではないぞ」

肩幅の広い剛直な雰囲気の、『賢者の宝冠』筆頭攻撃魔導師グレン・ロスが言った。

「これは島民を救うだけの遠征ではない。『魔導師の街』でのメンツを賭けた戦いでもあるのだ。魔導院の奴らよりも少ない成果で帰った日には、街中の笑い物になってしまうぞ」

「そうは言っても楽勝でしょ。この島には大した冒険者なんていないし。Aクラスの俺達に匹敵する奴なんて……」

「確かにこの島には目立った冒険者ギルドはない。だが、そう言ってはなぜか毎回思い通り事を運べないのが、この島の難しいところだ」

まだ若いイアンとニールのお目付役でもある彼は、年長者としての威厳を示しながら言った。

「特に盗賊ギルドは油断ならん連中だ。街の住民も一筋縄ではいかない。『 火竜(ファフニール) 』など飛行ユニットも厄介だ。二人とも足下をすくわれないように、気を引き締めてかかれよ」

「へいへい。分かった。分かったよ」

ニールは煩わしげに手を振って話を終わらせる。

その後、『賢者の宝冠』は広場の演壇までたどり着いた。

筆頭支援魔導師、ニールが演説を行う。

「『 巨大な火竜(グラン・ファフニール) 』の脅威に怯える島の住民よ。我々『賢者の宝冠』が来たからにはもう安心だ。今日、ここに来た部隊には頼もしき者達がいる。『賢者の宝冠』第一部隊には、研鑽と修練を積んだ優秀な魔導師が多数在籍しているばかりではなく、Aクラスの魔導師が3名いる」

聴衆の間で騒めきが起こった。

「Aクラスが3人も!?」

「これはえらいことだ」

聴衆のリアクションに満足したニールは演説を続けた。

「では、君達に我が『賢者の宝冠』第一部隊自慢のAクラス魔導師達を紹介しよう。まず、あらゆる属性の攻撃魔法を極めたAクラス魔導師グレン・ロス!」

グレンが前に出て手を挙げる。

観衆から拍手が起こった。

「次に、回復魔法の発動速度と命中率では他の追随を許さない、 治癒師(ヒーラー) イアン・ユグベルク!」

イアンが前に出て行儀よく一礼する。

また、観衆から拍手が起こった。

「そして、最後に! 攻撃・防御・俊敏、あらゆる支援魔法のスペシャリストである、この俺、ニール・ディオクレアだ!」

ニールが堂々とトリを飾った。

観衆達の喝采は最高潮に達する。

「本当にAクラス魔導師が3名もいるようだぞ!」

「これなら、『 巨大な火竜(グラン・ファフニール) 』も倒せるんじゃないか?」

「我々、『賢者の宝冠』が『魔導院の守護者』のような無様な顛末になることはない! 必ずや彼らを上回る成果を出すことをここに約束しよう!」

そのようにライバルギルドをくさすことも忘れず演説を締め括ると、聴衆から拍手が湧いた。

「『大同盟』は結成するのですか?」

観衆の一人が質問した。

「『大同盟』? なんだそれは?」

「『魔導院の守護者』が結成した同盟です。彼らは島中の冒険者をスキル・ステータスの分け隔てなく傘下に入れ、ダンジョンの攻略に挑みましたよ」

「ふむ。そうなのか。イアンどう思う?」

ニールは傍のイアンに小声で聞いた。

「ここは魔導院の先例に倣っておいた方がいいんじゃないかな? どの道、地元冒険者の協力は必須だし」

「しかし、分け隔てなくというのはどうなんだ? あんまりにも質の低い冒険者を部隊に入れては足手纏いになるぞ」

「そこはホラ。集めるだけ集めて、後から何かと理由を付けて追い返せばいいさ」

「なるほど。それでいくか」

イアンと内緒の相談を終えたニールは、改めて観衆に向き直る。

「失礼。少し仲間と細かい事柄について確認していた。『大同盟』についてだが、無論我々も同様の同盟を提唱し、地元ギルドと緊密に連携しながら、ダンジョン攻略を進めるつもりだ。島の冒険者にあっては、奮ってご参加いただきたい」

観衆の中の、特に冒険者の一団からワッと歓声が上がった。

「あのっ。島の冒険者として『賢者の宝冠』の皆様に提案したいことがあります」

観衆に混じって一人の女性 盗賊(シーフ) が手を挙げて訴えた。

「何かな? お嬢さん?」

「『賢者の宝冠』の皆様も『精霊の工廠』に参加してみてはいかがでしょうか?」

「『精霊の工廠』?」

ニールは聴き慣れない文言に訝しげにした。

「『精霊の工廠』は最近、この島で急激に勢力を伸ばしている錬金術ギルドです。錬金術ギルドでありながら、独自に冒険者同盟を結成しており、先日、ついにAクラスのクエストも成し遂げました。我々のギルド『山猫』も『精霊の工廠』同盟に参加しています。『賢者の宝冠』も『精霊の工廠』同盟に参加すれば、きっと素晴らしいことになると思うのですが」

ニールはついつい面倒くさそうな顔をしてしまう。

(『大同盟』に『精霊の工廠』ねぇ……。なんだかちょっといない間にずいぶん様子が変わったなこの島も)

「ニール。流石に錬金術ギルドは不味いんじゃない?」

イアンが耳打ちした。

「同業者に関することならともかく、錬金術のこととなると、僕達では対応できない。『竜の熾火』にしておいた方が無難だよ。それに……」

イアンはチラリと背後に控えている『魔法樹の守人』の方を伺った。

「『魔法樹の守人』も来ている。彼らの中にはAクラスも混じっている。Aクラス同士の戦いになれば、モノをいうのは装備の優劣だ。ラウル・バートレーを始めとする『竜の熾火』の錬金術師達をどれだけ確保できるかで勝負が決まる」

「そうだな。流石にそこは譲れねーか」

ニールは再びイアンとのコソコソ話を打ち切って、観衆に向き直る。

「ギルド『山猫』の勇敢なる冒険者よ。素敵な提案をありがとう。だが、申し訳ない。我々の部隊には『竜の熾火』の錬金術師でなければ整備できない装備を身に付けている者が多数在籍しているのだ。『精霊の工廠』同盟も魅力的な提案ではあるが、今回は見送らせてもらう」

ニールがそう言うと、『山猫』の 盗賊(シーフ) は肩を落としてうなだれた。

「では、後もつかえていることだし、我々の演説はこの辺りにしておこう。ありがとう。ありがとう」

ニールは観衆から起こる惜しみない拍手に手を振って応えながら、演壇を後にした。

そして、すぐ様イアン、グレンと小声で話し始める。

「おい。『竜の熾火』に急ぐぞ。『魔法樹の守人』の奴らよりも先にカルテットを確保するんだ」

「そうだな。この島ではまずそこを押さえんと話にならん」

「そうだね。幸い『魔法樹の守人』はそのことに気付いていない。競合相手が彼らで助かったよ。彼らがまだこの島に来たことがない初心者で……」

実際、ユフィネはすでに今の時点でおろおろしていた。

促されるままに誘導されて、ここまで来たが、イマイチこのパレードと演説大会に何の意味があるのか分かっていない。

先ほど地元の者に演説をするよう言付けられてはいたが、何も用意していないし、何を喋ればいいのか皆目見当つかなかった。

「ちょっとシャクマ。演説なんて何しゃべればいいのよ」

「えっ? 私に言われても。まさかこんなことになるとは……」

「どうすんのよ。前の奴はなんだか立派そうなことを喋っていたし。ちょっとリック。あなた演説やりなさいよ」

「え゛え゛っ!? じ、自分がですか? ちょっ、勘弁して下さいよ」

ユフィネ達が内幕でわちゃわちゃしているうちに、観衆達はいつまでも演説が始まらないことを不審がり始めた。

ユフィネ達はますます居心地が悪くなる。

その時、一人の青年が 人集(ひとだか) りをかき分けて演台の方に近づいてきた。

「すみません。通して。通して下さい」

ユフィネはその人物を見て、パッと顔を明るくする。

「あっ、ロランさん!」

「ユフィネ。久しぶり。すみません。通ります」

ロランはリックの手を借りて演台に上がった。

会場は意外な人物の登場にどよめく。

「ロランさん、よかった。ちょうど困ってたところなんです」

「遅くなってすまない。まさか君達が来てくれるとは思わなくって」

「急遽決まったんです。ギルド長からロランさん支援のために『火竜の島』へと行くように言われて……」

「そうだったのか。とりあえず、積もる話は後でしよう。この場でのことなんだけど……」

ロランはユフィネにこの場で喋るべきことを伝えた。

全て聴き終わったユフィネは、ロランと共に観衆に向かう。

「皆さん、初めまして。私は『魔法樹の守人』第二部隊隊長を務めるユフィネ・レイエスと申します。私達がこの島に来た目的は鉱石でも、『 巨大な火竜(グラン・ファフニール) 』でもありません。私達の目的、それは我々の友人である『精霊の工廠』を支援することです。我々はここに『精霊の工廠』同盟への参加を表明します!」

会場から万雷の拍手が湧いた。

その盛大さは『竜の熾火』に向かおうとしていた『賢者の宝冠』の足を止めるほどであった。

「凄い拍手だね」

「うむ。まさか『竜の熾火』以外にここまで地元の信望を集める錬金術ギルドがあったとはな」

イアンとグレンが意外そうに言った。

ニールは演台で観衆に手を振るユフィネを面白くなさそうな顔で見た。

(なんだあいつら。新参者のくせに……。気にいらねぇな)