軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第五百五十六話 今日もリヴァイアサン

解体が始まって5日目。

念願のリヴァイアサンを食って、食いしん坊カルテットも落ち着いたものの、今度は『今晩も腹いっぱいリヴァイアサンを食うぞ』と張り切っている。

変にピリピリされるのも嫌だけど、そう張り切られるのも考えものだよなぁ。

結局のところ料理作るのは俺なんだし。

昨日だってどんだけムニエルを焼き続けたことか……。

疲れちゃってあんなに美味いリヴァイアサンをじっくりと味わえなかったしさ。

今日もあれの再来かと思うとゲンナリだわ。

とは言ってもなぁ。

今日の作業はリヴァイアサンの身の部分から骨を外す作業が中心だ。

リヴァイアサンの解体作業を采配(一応はね)しているエルランドさんがそう言っていたし。

余談だけど、あの人は疲れも見せずに毎日ニッコニコで生き生きとしているよ。

まぁ、そんなことは置いておいて、そうなると、昨日の分とは比べるべくもない大量のリヴァイアサンの肉が俺の手元に戻ってくるのは確実。

フェル、ゴン爺、ドラちゃん、スイの食いしん坊カルテットは狂喜乱舞なわけで。

ハァ~、今晩もしんどそうだな……。

ギルドマスターがいれば少しは愚痴れて気も晴れたかもしれないってのに、余程忙しいのか昨日は帰ってこなかったしさ。

今朝、ここの解体現場に来て見かけたから捕まえて少し話したら、これからは王都冒険者ギルドで寝泊まりするんだって。

ギルドマスター曰く「今のところ忙しいからそうした方が都合がいいんだよ。それと、お前のところにいると騒動に巻き込まれかねないからな」とのこと。

騒動ってどういうこと?と思っていたら、ギルドマスターが「昨日儂が帰ってたら、お前リヴァイアサンを食わしただろ?」って聞くから、もちろん「ええ」って答えたんだ。

そりゃあうちの食いしん坊カルテットにリヴァイアサンの肉を使った料理を食わせたんだからそうなるでしょ。

そうしたらさ「この国どころか、周辺国でも話題の中心になってるリヴァイアサンの肉を儂が食ったなんて知られてみろ。何されるかわかんねぇよ」だって。

でも、「ドラゴンの肉は食いましたよね?」って聞いたら「ぐっ……。儂は学んだんだよ」って、何を学んだんだか。

というか、俺が良いって言ってるんだし、俺たちが食ってるものをお裾分けして他人にとやかく言われる筋合いはないと思うんだけどなぁ。

そもそもそんなことで騒ぐ人がいるの…………、いたわ。

若干一名。

あの人というかあのエルフなら、「私にも~」とか言って泣いて縋ってくる姿がありありと目に浮かぶ。

想像するだけでゲッソリだ。

まぁ、そんなことでギルドマスターの言い分にも納得。

今晩も俺たちの食卓にリヴァイアサンを使った料理が並ぶことは決まっているようなもんだしな。

というか……。

皮を剥がれ白い身をさらしたリヴァイアサンの巨体を眺めつつ「今晩の夕飯は何にしよ……」とそればかり頭をよぎる俺だった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

今日も今日とて王都で借りている家へと着くなり、休む間もなくキッチンへと追い立てられた俺。

作るメニューは決めてあるものの……。

「これから毎日こんなんなのか?」

俺のアイテムボックスに大量に集まったリヴァイアサンの肉を思い出してゲンナリする。

うちの底なしの大食い共が腹いっぱいに食ったとしてもけっこうな期間は保つ量があるぞ。

「それなのに、これで全部じゃないんだよなぁ……」

そうなのだ。

身から骨を外す作業がまだ半分以上残っている。

ということはだ、もっともっと大量にリヴァイアサンの肉が俺の下へと集まってくるということだ。

思わずブルリと震える。

「ま、まぁ、あんまり考えないでおこう。うん、そのうちみんなも食い飽きるだろうし」

リヴァイアサンの肉を食い飽きるだなんて、他の人が聞いたら卒倒しそうなことだけどね。

まぁ、早いとこ食いしん坊カルテットが食い飽きることを心の中で願いつつ今晩の飯を作っていくとするか。

今夜のメニューは、ホイル焼きだ。

大量に作らないといけないし、とにかく簡単にできるものをってことでな。

あとはこれなら野菜も一緒に摂れて美味い。

ということで、まずはネットスーパーで足りない材料を調達。

それが済んだら野菜類のカットだ。

アイテムボックスに大量収納してあるアルバン印のタマネギとキャベツを使用。

タマネギは薄くスライスして、キャベツはざく切り。

ネットスーパーで調達したエノキは下の石づきを切ってからほぐしておく。

大量の野菜類のカットが終わったら、ソースを作る。

今日のホイル焼きは、ポン酢醤油と味噌マヨネーズでいこうと思っている。

ポン酢醤油は食う直前にかけるから、作るのは味噌マヨネーズだ。

と言っても超簡単。

味噌とマヨネーズと白だしを混ぜるだけ。

これだけで超美味い味噌マヨソースができる。

味噌マヨソースができたら、あとはバターを塗ったアルミホイルに材料を並べていくだけだ。

タマネギ、キャベツを敷いて塩胡椒を振ったリヴァイアサンの肉をON。

その上にまたタマネギとキャベツを載せて、エノキも載せる。

そうしたら、バターをひとかけ置いてアルミホイルで包むものと、味噌マヨソースをかけてからアルミホイルで包むものとの2種を作成。

この2種を大量作製したら、あとはオーブンで焼くだけだ。

ホイル包みも焼いて取り出してをひたすら繰り返し……。

「よし、これだけあれば大丈夫だろう」

今日は俺もゆっくり食いたいから、多めに作った。

昨日みたいに追加で作るなんてことになったら、ゆっくり味わえないからな。

リヴァイアサンの肉も大きめに切って一つ一つのホイル焼きを大きめに作ったし、数も相当作ったから今日こそは大丈夫だろう。

ということで、腹を空かして待っているみんなの元へ。

「今日はホイル焼きにしてみたぞ。こうしてホイルを開けて。アチッ」

ふんわりとバターの香りが漂ってくる。

「こっちにはこのポン酢醤油をかけてさっぱりと。こっちのは味噌マヨネーズソースがかかってコッテリめの味付けだ。熱いから気を付けろよ~」

ホイルを開けてやりながら説明していく。

『おいしい~♪』

熱いのもへっちゃらでホイル焼きを食ったスイが、体をプルプル揺らしながらご機嫌にそう言う。

『うむ。どちらも美味い! 両方とも甲乙つけがたいのう』

ゴン爺も両方をバクバク食って頷きながらそう言う。

『両方美味いけど、俺はこっちのコッテリ味の方が好きだな』

ドラちゃんは味噌マヨの方が好みのようだ。

そして……。

一足先にホイル焼きを楽しむみんなをジト目で見つつ、熱々なのを風魔法で冷ましてから一歩遅れてホイル焼きにありついたフェル。

『うむ。美味い。野菜は余計だがな。やはりリヴァイアサンは美味いな』

なに言ってんだよ。

ホイル焼きに野菜は必須だろ。

野菜も美味いじゃないか。

俺もホイル焼きをいただいている。

味噌マヨの方を白飯と一緒にね。

このコッテリとした味がご飯のおかずに最高だ。

リヴァイアサンは言わずもがなだけど、火が通って甘味を増した野菜にリヴァイアサンのうま味と味噌マヨが絡んで美味いったらないよ。

こんなんご飯のおかわり必須じゃん。

なんて考えていると、すかさず食いしん坊カルテットからおかわりコール。

「フフフ、昨日は追加で作らなきゃならなかったからな。今日はたくさん用意してあるから大丈夫だ」

すぐさまおかわりのホイル焼きを用意。

『ほぅ、それなら何度おかわりしても大丈夫だな』

『フハハ、それは重畳。今日は昨日にも増して食い倒すかのう』

『それしかねぇな!』

『スイも昨日よりもいっぱいいーっぱい食べるよ~!』

そう言って張り切る食いしん坊カルテット。

俺の余計な一言がみんなの胃袋を活性化させてしまったようだ。

「え? いや、そういう意味で言ったんじゃないからね! 適度に、適度に食えよ!」

活気付く食いしん坊カルテットにアタフタする俺。

『あ、主殿、この間の麦酒、“びーる”というやつをもらえんかのう? これに間違いなく合うと思うんじゃ』

『ズルーい! それならスイも黒いシュワシュワ飲みたいー』

『コーラだな。俺もコーラ飲むぞ!』

『我は透明なサイダーだな。それと、またおかわりだ』

『儂もじゃな』

『俺も!』

『スイもー!』

「ちょっ、みんな俺の言ったこと聞いてた? 適度に、適度にだからなぁぁぁっ」