軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第五百十九話 なに今気付いたみたいな顔してんの?

シーサーペントが数多く生息する海域というだけあって、俺たちが一戦交えた後も次々と襲ってきた。

先ほどの一戦で、精魂尽きた俺は戦線離脱。

フェル、ゴン爺、ドラちゃん、スイのうちの従魔ズと“ アーク(箱舟) ”の面々が相手をしていた。

うちの従魔ズはドカンと一撃で倒すスタイルで、“アーク”の面々は連係プレーで手数を出して倒すスタイルだ。

Sランクのシーサーペント相手に、どちらも危なげなく戦っている。

うちの従魔ズは分かるけど、“アーク”の面々もすごい。

このダンジョンで、フェル、ゴン爺、ドラちゃん、スイの戦いを見た“アーク”の面々は自信喪失気味になっていたりというか、少々弱気な言葉もでたりしていたんだ。

だけど、さっきのシーサーペントとの戦いで自信を取り戻したようなのか、みなさん自信に満ちあふれた力強い戦いぶりだ。

従魔ズも“アーク”の面々もノッてきたのか次々と撃破していく。

ドロップ品は、スイが触手を駆使して残らず回収。

俺は、そのドロップ品をアイテムボックスへ。

スイってばポイポイ放るように回収するもんだから、山になって終いには海へと落ちそうになっていたからね。

せっかく回収したドロップ品が海へ逆戻りするのももったいないってことで、とりあえず俺のアイテムボックスへ。

特に肉を落としたりしたら、フェルたち食いしん坊カルテットがガッカリってことになっちゃうもんな。

うちのみんなが嬉々としてシーサーペントを狩っているのだって、ほぼ肉のためだろうしね。

そんなわけで、俺はスイが回収してどんどんと積み上がっていくシーサーペントのドロップ品の保管係として専念することになったのだった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

『ふむ、シーサーペントの海域を抜けたようだな』

『チッ、もうか? しゃあねぇな~』

『ドラよ、十分じゃろうが』

『いっぱい獲ったね~』

「フゥ、やっとかよ。しかし、こんなにSランクの魔物がうじゃうじゃ出てくるとはねぇ」

『まぁ、ダンジョンだからのう』

ゴン爺曰く、ダンジョンの中ではそういうこともあるらしい。

そんな風に俺たちが話している一方で……。

「おい、やったぞ!」

「ああ。あのシーサーペントを倒したんだ! 俺たちは!」

「しかも5匹もじゃ! Sランクの魔物をのう!」

「まだまだ、私たちは冒険者としてイケる!」

完全に自信を取り戻した様子の“アーク”の面々が盛り上がっていた。

みなさん元々Aランクの冒険者で実力は折り紙付きだからね。

たださ、うちのみんなの戦いを見て、ちょっぴり自信を無くしていただけでさ。

まぁ、うちのみんなはデタラメに強いから比べちゃうことからして間違いなんだけど。

とにかくだ、“アーク”のみなさんの気力が戻って良かった。

「なぁ、とりあえず今日はこの辺で探索終了ってことにしようぜ」

『そうするか。シーサーペントも食いたいしな』

「ってちょい待ち。“アーク”のみなさんと狩ったんだから、きちんと分けてからじゃないとダメだよ。うちにばっかり肉が来るとは限らないんだから」

『なぬ?! 肉は我らだろう! 肉はやらんぞ!』

『儂らは皮や骨や魔石などいらんからなぁ。己の血肉になり、なおかつ美味い肉の方がよっぽどいいわい』

『そうだそうだ! 肉はよこせ!』

『お肉ー!』

他の冒険者が聞いたら確実に血涙を流しそうなセリフを垂れ流す食いしん坊カルテット。

というか、フェルとゴン爺は声に出していたから、“アーク”の面々がバッチリ聞いていたようで苦笑いしているよ。

「分かったから、ちょっと交渉するから待ってなさい」

そう言って、苦笑いする“アーク”の面々の方へ体を向けた。

「うちのが言いたい放題ですみません。うちは肉が一番なもので……」

ホント、困ったもんです。

美味い肉は絶対に逃さないからね、うちの食いしん坊たちは。

「いや、ここしばらく一緒に居たら分かるし」

「ムコーダさんの従魔たち、美味いもんに目がないもんなぁ」

「皮や骨や魔石がいらんとはなぁ。儂ら冒険者は、肉よりも欲しい素材なんだがのう」

シーグヴァルドさんのその言葉に、ガウディーノさんとギディオンさんが頷いていると、一人だけ意見の違う者が。

「私は肉が欲しい。シーサーペントは一度食べてみたかった」

食いしん坊エルフことフェオドラさんだ。

しかし、ガウディーノさん、ギディオンさん、シーグヴァルドさんは、「なに言ってるんだコイツは」とでも言うような目で見ていた。

「おいおい、フェオドラ。肉を手に入れてどうするっていうんだ」

「そうだぞ。肉なんて手に入れたってどうにもならんだろう」

「そうじゃぞ。結局売る以外にどうしようもないわい」

ため息を吐きつつなお三方の突っ込み。

というか、普通に料理して食えばいいんでないの?

「食べればいい。というか、私は食べたいの」

何故か呆れるガウディーノさん、ギディオンさん、シーグヴァルドさんにそう主張するフェオドラさん。

「ハァ~。いいか、肉が手に入っても食えないんだぞ。長い付き合いなんだから分かるだろ」

「リーダーの言うとおりだ。俺もリーダーもシーグヴァルドも料理なんてできないんだぜ」

「ついでに言うと、お主も料理はからっきしできないじゃろうが」

今更何を言っているんだという雰囲気でそう言いながらフェオドラさんを見るガウディーノさん、ギディオンさん、シーグヴァルドさん。

だが、フェオドラさんは、お三方の言葉にハッとしたように目を見開いた。

「それじゃあ、美味しく食べられない?」

「いやいやいや、お前ね……」

「なに今気付いたみたいな顔してんの?」

「長い付き合いで、このメンバーの中に一人も料理ができる奴なんておらんの知っとるじゃろう」

そう言って、あまりにもなフェオドラさんを呆れ果てた目で見るガウディーノさん、ギディオンさん、シーグヴァルドさんだった。

そんな“アーク”の面々を笑いをこらえながら見ていた俺は、シーサーペントを使った料理は作るので肉はこちらに全てもらえないかと提案。

“アーク”の面々は快く承諾してくれた。

特にフェオドラさんは何度も何度も頷いてたよ。

そんなわけで、肉全部が俺たちの取り分になった代わりに、“アーク”の面々には皮を3枚と牙付きの頭蓋骨を3つ、それから魔石6つを渡した。

最初、“アーク”の面々は皮2枚に頭蓋骨2つ、魔石を1つ希望していたんだけど、シーサーペントを5匹も討伐しておいて、それではあまりに少な過ぎると話して、皮2枚に頭蓋骨3つ、魔石5つということになったんだけど、それでも俺たちばかり希望のものをもらってうんたらかんたらと交渉して、皮3枚に頭蓋骨3つ、魔石6つに増やすことに成功した。

まぁ、押し付けるともいうけどね~。

だって、うちは肉ならいくらあっても困らないけど、皮や頭蓋骨や魔石があっても結局冒険者ギルドに売って金にするしかないし。

皮はランベルトさんへのお土産になるかもしれないけど、ホントにそれくらい。

今のところは、お陰様で金には困ってないから単に手間がかかるだけなんだよね。

そうは言っても、まだまだ皮も頭蓋骨も魔石もあるから、その手間はいつかはかけなきゃならないけど。

他のドロップ品もあるし、カレーリナに帰ったら、面倒くさいドロップ品整理しなきゃならんと思うと先が思いやられるな。

そんなことを考えていると……。

『よし、肉は我らの物に決まったようだな』

『早く食おうぜ!』

『シーサーペントは久しぶりじゃ。楽しみじゃのう』

『お肉、お肉、お肉~♪』

「シーサーペント、楽しみ!」

食いしん坊カルテット&食いしん坊エルフの期待とともに、今夜の寝床となる島へと向かう俺たち一行だった。