軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第五百六話 お久しぶりの海鮮BBQ

お久しぶりの海鮮BBQだ。

食材はドラちゃんとスイが獲ってくれたジャコ貝とジャイアントスカラップの貝柱。

そのままだと大きいから適当な大きさに切り分けておく。

塩胡椒をして焼くだけでも美味そうだけど、なにかもう一品と思い、そう言えばと思い出したものがあった。

「確かネットスーパーで鍋を買ったときにあったの見たんだよな……」

“アーク”の面々がこちらを見ていないのを確認してから、ネットスーパーを開いた。

そして、キッチン用品のメニューを見ていくと……。

「お、あった。これこれ、スキレット!」

大小あったスキレットの大きい方をとりあえず4つ購入。

これで作るのは、今度BBQをやるときには作ってみようと思っていたアヒージョだ。

貝もアヒージョにしたら美味いし作るしかないでしょ、これは。

付け合わせにと買ったシメジは石突きを切り解して、マッシュルームは半分に切っておく。

アヒージョに欠かせないニンニクはみじん切りにして、鷹の爪は輪切りに。

スキレットにオリーブオイルを入れて、ニンニクと鷹の爪、塩を入れてBBQコンロの網の上に。

フツフツして香りが立ってきたら、シメジとマッシュルームと貝を入れていく。

ジャコ貝とジャイアントスカラップの貝柱のスキレットを2つずつだ。

火が通ったところで、最後にミル付きの容器に入った黒胡椒をガリガリ。

「よっしゃ、出来た!」

『よし、食わせろ』

『主殿、早速』

『よっしゃ、食うぞー』

『あるじー、ちょーだーい!』

スタンバっていた食いしん坊カルテットから催促が。

「あー、分かったから待て待て」

塩胡椒を振って焼いたジャコ貝とジャイアントスカラップの貝柱のアヒージョをそれぞれの皿に盛っていく。

クッ、食いたかったアヒージョが食いしん坊カルテットによそったらなくなったぜ。

貝山盛りの皿をみんなに出した後、BBQコンロに追加で塩胡椒を振ったジャコ貝とジャイアントスカラップの貝柱を載せて焼いていく。

もちろんスキレット4つを使ってアヒージョを作ることも忘れない。

『これは、酒が欲しくなる味じゃのう』

そう言いながら俺をチラチラと見てくるゴン爺。

チラチラ見たって出さないからね。

ここはダンジョンなんだから、さすがに酒はダメだろ。

酒なんか飲んで油断したら危ないだろうが。

『けっこう美味いな、この貝』

『美味し~。いっぱい獲って良かったね~』

ドラちゃんとスイは、自分たちが獲った貝が美味いことにご満悦だ。

『悪くない。確かに悪くないが、これだけでは物足りないぞ。ここはやはり肉だ、肉を焼け!』

フェルがそう言うと、ゴン爺、ドラちゃん、スイも『肉!』と目の色が変わる。

あ~、うちはやっぱり肉至上主義なのね。

俺は苦笑いしながらも、肉大好きなみんなのために、BBQコンロにギガントミノタウロスの肉を大量に載せていった。

ちなみにギガントミノタウロスの肉もシンプルに塩胡椒のみを振り焼いている。

肉を焼きつつジャコ貝のアヒージョをパクリ。

「鑑定では“割と美味しい”って出てたけど、めっちゃ美味いじゃんか」

火が通ったことで身はふっくらとして、噛むとジワッと貝独特の旨味があふれてくる。

その旨味と鷹の爪が入ったちょいピリ辛なニンニクの風味がめちゃくちゃ合っている。

確かにこれはゴン爺の言うとおり、酒が欲しくなる味だわ。

続けてジャイアントスカラップの貝柱のアヒージョもパクリ。

「く~、これも美味い!」

貝柱の旨味とピリ辛ニンニク風味がたまらん。

ついついアヒージョに手が伸びそうになるが、そこは抑えて後ろを振り返った。

その先には、車座に座って未だ落ち込んだ顔をしている“アーク”の面々が。

はぁ~、気持ちは分からなくもないけど、ここまで来ちゃったんだからしょうがないでしょ。

焼けた肉を食いしん坊カルテットの皿に手早く配り、トングを脇に置いて“アーク”の皆さんに近付いていった。

「皆さんも一緒に食いましょうよ」

「ムコーダさん……」

力なく俺の名前を口にするガウディーノさん。

「皆さん落ち込まないでくださいよ。うちのみんなに任せておけば何とかなりますから。ね」

そう言うと、さらに項垂れたギディオンさんがため息を吐く。

「でもよ、俺たちムコーダさんたちに迷惑ばっかかけてる気がする。1階層だって、俺たちだけだったら絶対に抜けられなかったはずだぜ……」

その言葉に同意するように、シーグヴァルドさんが「さらにここの階層もとなるとのう……」なんて言って、ムキムキの肩を落として落ち込んでいる。

匂いに釣られて一番にBBQに飛び付きそうなフェオドラさんまで無言のまま下を向いていた。

お通夜のような雰囲気に、まったくこの人たちは真面目なんだからと思う。

「あのですねー、俺たちは一緒にこのダンジョンに潜ろうってことで合意して来たわけですよ。すなわち、臨時ですが同じパーティーってことですよね。それは仲間ってことなんじゃないんですか? 仲間なら助け合って当然じゃないですか」

俺がそう言うと、“アーク”の面々がハッとした顔をする。

「仲間か……。そうか、そうだよな。俺たちは共同でこのダンジョンに挑んでいるんだから」

ガウディーノさんがそうつぶやくと、ギディオンさんもシーグヴァルドさんもフェオドラさんも頷いている。

顔を上げた“アーク”の面々の表情はどこか吹っ切れていた。

「よし! ムコーダさんの美味い飯、ご馳走になろうぜ!」

「そうじゃのう。ムコーダさんの飯はどれも美味いから逃せんわい」

「いっぱい食べる」

明るい顔に戻ったみなさんにホッとした俺だった。

と、その時……。

“アーク”の面々の背後の砂地から巨大な何かが飛び出してきた。

「ブハッ、な、な、何だぁっ?!」

顔にかかった砂を払い、前を見ると……。

大きな鋏をカチカチ鳴らして、今にも俺たちに襲い掛かろうとする魔物がいた。

「うわっ!」

焦る俺とは対照的に、“アーク”の面々は落ち着いていた。

「ジャイアントココナッツクラブだな」

「リーダー、知ってんのか?」

「本でな。見たのは初めてだ」

「ほー。勉強熱心なことじゃな」

「そのおかげで倒し方も分かってるんだ、バカにできんもんだろ。Aランクだが、アイツの武器はあの鋏だけ! アレを封じさえすれば、俺たちでも倒すことは可能だ! フェオドラ!」

「うんっ」

フェオドラさんがボソボソと何かを念じると……。

太い蔓が砂地の中から飛び出してきた。

そして、その太い蔓がジャイアントココナッツクラブの鋏を雁字搦めにした。

「俺とギディオンは関節を重点的に攻めるぞ! シーグヴァルドは頭を思いっきりぶっ叩け!」

「了解!」

「おう!」

了承の声とともに開始される攻撃。

ジャイアントココナッツクラブ、なるほどヤシガニの魔物か。

いつかテレビで見たヤシガニに確かに似ている。

カニとは言いつつも実はヤドカリの仲間なんだよな。

3メートルはあろうかという巨大ヤシガニの胴体の付け根の関節部分を、ガウディーノさんのバスタードソードが叩くように切りつける。

同じ関節部分にギディオンさんのミスリルの槍が突き刺さる。

シーグヴァルドさんは自慢のウォーハンマーで頭をタコ殴りだ。

自分の武器を封じられた巨大ヤシガニことジャイアントココナッツクラブは、数分もしないうちに倒されることとなった。

残されたのは、たっぷりと身の詰まっていそうな鋏と小ぶりな魔石だった。

「よっしゃぁぁぁっ!」

ギディオンさんの雄叫びの後、肩を叩き合う“アーク”の面々がいた。

そして……。

「ムコーダさん、これを」

そう言ってジャイアントココナッツクラブの鋏を俺に渡してくるガウディーノさん。

「ジャイアントココナッツクラブの身って美味いらしい」

「いつも美味い物食わせてもらってるんだから、俺たちもたまには食材を提供しないとな」

頭の後ろで手を組みながらギディオンさんがそう言った。

「ハハッ、それじゃあ早速BBQの食材にしますか!」

早速とばかりに、獲れたてのジャイアントココナッツクラブの身に舌鼓を打つ俺たちだった。

“アーク”の面々が戦っているときに、呑気に肉を食っていた食いしん坊カルテットもちゃっかりジャイアントココナッツクラブの身にありついていたよ。

ちなみに、何で手を出さなかったのかというと……。

フェル曰く『彼奴らでも十分対処できそうだったからな』だそうだ。

本当は肉に夢中になって気付かなかっただけなんじゃないの?

なんてな。