軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第四百六十九話 に、肉……

昨日の夕飯でも、フェルとゴン爺にはあんまり効いてなかったようだから、ぎゃふんと言わしたる作戦続行ということで、今朝の朝飯も野菜尽くし(肉極々少なめ)にしてみたんだ。

ちなみに俺好みのあっさりした和食だ。

メニューは、アルバンの畑で採れたジャガイモとタマネギの味噌汁だろ、それに甘辛い味付けにしたコカトリスの肉そぼろを混ぜた玉子焼き(肉そぼろを溶き卵に入れて焼いただけなんだが、これがまた朝飯にピッタリで美味いんだ)、あとはダンジョン牛のしぐれ煮とおかかを具にしたおにぎりだ。

ああっと、それから箸休めに浅漬けの素で漬けたナスとキュウリの浅漬けもね。

その朝食を見たフェルとゴン爺は唖然として固まってたよ。

フェルに『に、肉はどうした?』って聞かれたから、「卵焼きとおにぎりの具に入ってるけど」って言ったら、苦虫を噛み潰したような顔してたよ。

俺は俺で、そんなフェルとゴン爺を無視して俺好みの朝飯を美味しくいただいた。

フェルとゴン爺はそんな俺を見て諦めたのか、昨日みたいにムスッとした顔をして無言でモソモソ食ってたよ。

対してドラちゃんとスイは『肉が少ない』と文句を言いつつもパクパク食って、しっかりおかわりも何度もしてた。

朝飯を食った後、午前中はゆっくりと過ごしつつ昼飯の時間帯に。

まさか三食続けてはないだろうと、フェルとゴン爺は高を括っているかもしれないけど、甘いぞ。

まだまだぎゃふんと言わしたる作戦続行中だから。

一言『ごめん』って謝ってくれたら止めるんだけどねぇ。

フェルもゴン爺も最強って言われるような存在だから、謝るって概念が希薄でさぁ。

そうは言っても、さすがに三食野菜尽くしの飯が出てくれば何をすればいいか気付くでしょうよ。

ってか、気付いて欲しいぞ。

ま、そういうことで、昼飯も野菜尽くし(肉極々少なめ)だ。

何にしようかなと考えて、今のところひき肉がたっぷりあるということで、野菜とひき肉を使う料理でパッと思いついたガパオライスを作ることに。

もちろん野菜たっぷりのガパオライスだぞ。

そして付け合わせは、アジアンテイスト繋がりでカニ風味のかまぼこを使ったお手軽簡単の生春巻きで。

まずは、手元にない材料をネットスーパーで調達していく。

ナンプラーにオイスターソース、バジルの葉、あとはライスペーパーにカニ風味のかまぼこ、スイートチリソースくらいかな。

それを購入したら、調理開始だ。

まずはガパオライスから。

タマネギ、ニンジン、ナス、ピーマンを1センチ角に切って、ニンニクはみじん切りにして、鷹の爪は輪切りにしておく。

フライパンに油をひいて、ニンニクのみじん切りと鷹の爪の輪切り(スイがいるから少なめで)を香りが出るまで炒めていく。

香りがでたら、タマネギを入れて半透明になるまで炒め、ダンジョン豚とダンジョン牛の合いびき肉を入れる。

ひき肉にある程度火が通ったら、ニンジンを入れて炒めて、ニンジンに火が通ってきたところで残りのナスとピーマンを入れて炒める。

全体に火が通ったら、ナンプラーとオイスターソースをよく混ぜたものをかけて味が馴染むように炒め合わせていく。

最後にバジルの葉をちぎって入れて、さっと炒め合わせる。

あとは、器に飯を盛ってその上に炒めたものをたっぷりかけて、別のフライパンで作っておいた半熟の目玉焼きを載せて野菜たっぷりガパオライスの完成。

そうしたら次はお手軽カンタン生春巻きだ。

レタスは適当な大きさにちぎって、ニンジンとキュウリは千切りにする。

あとは、お湯にくぐらせたライスペーパーの上に、レタス、ニンジン、キュウリ、カニ風味のかまぼこの順に載せて、くるりと巻いていく。

あとは半分に切って見栄えよくお皿に並べて、スイートチリソースを添えれば出来上がり。

うんうん、緑がキレイだね~。

野菜たっぷりはいいもんだよ。

さぁて、みんなの下へ持っていきますか。

「飯、出来たぞ~」

………………

…………

……

プクククク、笑っちゃ悪いんだけど、フェルとゴン爺の顔を思い出すと笑っちゃうよ。

ぎゃふんと言わしたる作戦続行中ということで、昼飯も野菜たっぷりのガパオライスと生春巻きだったわけだけど……。

フェルもゴン爺も出した途端に目を見開いて口をパクパクさせてるんだもん。

それで『に、肉……』とか『肉、肉がない……』とかつぶやいてさ。

だから「肉ならガパオライスに入ってるよ。ちょこっとな」って言ってやったら、フェルもゴン爺もこの世の終わりというか絶望しきった顔するんだもん。

肉が食えないくらいでそんな顔すんなよってこっちが突っ込みたくなったよ。

三食目ともなると、さすがにドラちゃんとスイからも『肉が食べたい』って言われちゃって、次からは元の肉メニューに戻すかなんて考えていたら、フェルとゴン爺が音を上げて『すまん』って謝ってきたよ。

野菜尽くし三連チャンはさすがに堪えたみたい。

フェルもゴン爺も哀愁漂う姿でさ、こっちが悪いみたいで居心地悪くなっちゃったよ。

罪悪感から今日の夕飯は、ガッツリたっぷり肉をということで、ダンジョン牛の上位種&ギガントミノタウロスのステーキを焼く約束をしたら、すぐに機嫌が直ったけどね。

現金な奴らだよ。

そんなわけで、昼飯を済ませた後は、みんなで冒険者ギルドに向かうことに。

昨日の買い取り代金の受け取りだ。

さてさて、ウラノスで狩った獲物はいくらに化けているのやら……。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

冒険者ギルドに着くと、ギルドマスターは王都に向かう件で忙しいらしく「買取り代金は準備してある。ヨハンから受け取ってくれ」とのことで、倉庫にいるヨハンのおっさんの下へ向かった。

俺たち一行が倉庫へと入ると、すぐに気付いたヨハンのおっさんが声を掛けてくる。

「おー、来たか」

「どうも。ギルドマスターからこちらに伺うように言われまして」

「おう、ちょっと待て。えーと、内訳を説明してくぜ。まずは……」

『待て。まずは肉をよこせ』

説明しようとするヨハンと俺の間に割って入って『肉をよこせ』と言い出すフェル。

『そうじゃ。肉を』

肉という言葉に敏感に反応したゴン爺まで肉って言い出したし。

というか、フェルとゴン爺がいきなりヨハンのおっさんに迫るみたいに顔を寄せるから、びっくりしてるじゃんか。

「お、おい」

こわばった顔のヨハンのおっさんが俺に助けを求める。

「あー、はいはい、フェルとゴン爺は後ろに下がって」

『しかし、肉が』

『うむ、肉じゃ』

「肉肉言ってるけど、ここで食うつもりなの? そうなると生だよ、生」

さすがに、この場で調理するわけにもいかないからな。

『この際、生でもよい。お主が肉を出してくれないから、肉を食いたくてたまらんのだ』

『うむ。儂もじゃ』

フェルもゴン爺も三連チャンの野菜尽くしが想像以上に効いているみたいだね。

「はいはい、分かったよ」

ヨハンのおっさんにお願いして、先に肉を出してもらうことに。

「コカトリスにロックバード、それからオークだな」

一番多そうなオークの肉を、フェルとゴン爺へと差し出す。

「とりあえずこれだけな」

今日の夕飯は豪勢にステーキ三昧なのに、食い過ぎてもよくないと思って、少し小さめの肉塊を出した。

『これだけか?』

『主殿、ちと少なすぎやしないかのう?』

フェルもゴン爺も不満そう。

「今日の夕飯はステーキなんだから、食い過ぎたら美味しく食えなくなるだろ。いいのか?」

そう言うと渋々ではあるが納得した。

『ドラちゃんとスイはどうする?』

とばっちりではあるが、同じメニューで三連チャンの野菜尽くしだったドラちゃんとスイにも念話で聞いてみる。

『俺はいいや。今更生の肉は食う気しないし』

『スイもいらなぁーい。あるじの焼いたお肉の方が美味しいもん!』

『そっか。今日の夕飯はステーキいっぱい焼くから、いっぱい食えよ』

『もちろんだぜ!』

『いーっぱい食べるー!』

「おい兄ちゃん、肉はまだまだあるぜ。早くしまってくれ」

おっと、ヨハンのおっさんが出した肉で作業台の上が埋まってるよ。

俺は、出された肉をせっせとアイテムボックスにしまっていった。

「そんで最後がこれだ」

ヨハンのおっさんが台車に載せて運んできた大きな肉塊。

肉塊というか、形が残ってるんだけど……。

うう、よく見たらこれモロじゃんか。

「ジャイアントミミックフロッグだ」

皮を剥がれ内臓も抜かれてはいるが、ほぼカエルの形が残る肉。

「これも買い取りさせてもらえれば、最高なんだがなぁ」

ヨハンのおっさん曰く、このジャイアントミミックフロッグの肉は、滅多に出ない最高級品で、市場に出せば争奪戦間違いなしの逸品らしい。

見た目がグロいし、カエルなんだけどねぇ。

なんなら売っちゃうかなんて考えが浮かんできたところで、ゴン爺から一言。

『その肉は儂の好物の一つなのじゃ。主殿、期待しているぞ』

クッ……、そう言われちゃそのまま持ち帰るしかないじゃないか。

顔を引き攣らせながら、ジャイアントミミックフロッグの肉をアイテムボックスへとしまった。

「よし、それじゃあ買い取りの説明に入るぜ。まずは………………」

あれやこれやとヨハンのおっさんが内訳を説明してくれているが、細かすぎて右の耳から左の耳へ通り抜けていく。

「……とまぁ、合計で金貨3610枚だな」

ひぇっ、ダンジョンでもないのにとんでもない金額になっているよ。

自分で買い取りに出しておいてなんだけど。

俺が目を丸くして驚いていると、ヨハンのおっさんが笑いながら「あのウラノス産の魔物だからなぁ」と言う。

確かにあんな所に生息している魔物だし、あそこにしか生息しない変異種だっていうから、そういうものなのかもしれないけどさぁ。

一狩りでこの金額はえげつないわ。

「今回も白金貨と大金貨で用意したぞ。確認してくれ」

ヨハンのおっさんがそう言って、俺の前へと小さな麻袋を差し出した。

中を確認して、白金貨と大金貨の枚数を確認していく。

白金貨が1、2、3………………、計36枚。

そして、大金貨が1枚。

合計白金貨36枚に大金貨1枚で、きっかりちょうどあるね。

「間違いありません」

「いや~、やっぱり兄ちゃんがいると退屈しないな。また、面白いもん持って来いよ」

「ギルドマスターを悩ませると、せっかく生えてきた毛が抜けそうだからほどほどにしときます」

「ブハハハハハッ、言うなぁお前も」

「それではまた」

「おう」

買い取り代金を受け取り、俺たち一行は冒険者ギルドを後にした。

帰りの道中、そわそわ落ち着かない様子のフェルとゴン爺。

「フェル、ゴン爺、どうしたんだ?」

『早く家に帰るぞ』

『うむ、そして美味い肉を食わせてくれ、主殿』

何だよ、肉が食いたくてそわそわしてるのかよ。

まったくお前って奴らは。

思わず笑ってしまった。

『おい、笑い事ではないぞ』

ムッとするフェル。

「ハイハイ、すみませんねぇ。それじゃあちょっと早いけど、家に帰ったら夕飯にするか」

『うむ!』

『さすが主殿!』

『よっしゃステーキだ!』

『お肉~!』

夕飯と聞いて、みんなの家に帰る足が速まる。

「お、おい、速いって」

速すぎる歩みにフェルの毛をつかむが、速度が落ちるどころか『速くしろ!』と言われる始末。

まったく、飯のこととなるとみんな妥協しないんだから。

食いしん坊どもめ。