軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第四百三十一話 ベリー尽くし

キッチンへと移動して夕飯作り開始だ。

実家で大量にもらったからって、お裾分けだと送りつけられてきたときにどうやって食おうかと思ってネットでレシピを見て物は試しだと1回作ってみたことがあるから大丈夫だろうけど……。

その時のことを思い出しながらネットスーパーで材料を揃えていく。

今日作ろうと思っているのは3種肉のブルーベリーソース掛けだ。

使うのはダンジョン産のヴィオレットベリーだから正確に言うとヴィオレットベリーソース掛けかな。

ベリーソースって割と何の肉でも合うし、ちょっと洒落た料理なうえに3種類の肉を使えば見た目も豪華になるから今日のリクエストにピッタリだと思うんだ。

「ヴィオレットベリーを使うなら、デザートも作ってヴィオレットベリー尽くしにしても面白いかも。魔道冷蔵庫もあるから簡単なものなら俺でも作れるし」

ということで、デザートも作ることにした。

作るのはヨーグルトゼリーヴィオレットベリーソース掛けだ。

冷やし固める時間が必要なヨーグルトゼリーから作っていきたいところではあるけど、そうなるとまずは魔道冷蔵庫を起動してみないとな。

壊れて動きませんでしたなんてことになったら作れなくて材料が無駄になるだけだし。

とにかく魔道冷蔵庫が起動するかのチェックだと、俺はアイテムボックスから魔道冷蔵庫を取り出した。

「確かフェルから聞いた話では……」

魔道冷蔵庫の上の部分全面に描かれている魔法陣の中央部分の窪みに魔石をセットすれば起動するはずだ。

窪みの大きさに合いそうな手持ちの魔石(小)をセットしてみる。

一瞬、魔法陣がほんのり輝くと同時にブゥゥゥンという鈍い音を出すとともに魔道冷蔵庫が起動した。

魔道冷蔵庫の扉を開けて温度を確かめると……。

「おお、冷えてる」

中はしっかりと冷えて、元の世界で使っていた冷蔵庫と遜色ないくらいに冷えていた。

「よし、魔道冷蔵庫が問題ないならヨーグルトゼリーからだ」

粉ゼラチンを水でふやかしておいたら、鍋に牛乳と砂糖を入れて温めて、そのふやかしたゼラチンを入れて溶かしていく。

粗熱をとった鍋に、かき混ぜてなめらかにしたプレーンヨーグルトを入れてしっかりと混ぜていく。

あとは容器に入れて冷やし固めるだけだ。

ちなみにだけど、フェルとドラちゃんとスイ用にはネットスーパーで買った特大ガラスのボウルを使ったよ。

大食いのみんなにはこれくらいないとね。

お次はヨーグルトゼリーのヴィオレットベリーソースだ。

これもしっかりと冷ましておく必要があるから作っておいた方がいいだろう。

まずはヴィオレットベリーを半分に切っていく。

こうしておくと水分が出やすいしヴィオレットベリーが大きめだからこれくらいの大きさがちょうどいいってのもあるからね。

あとは鍋に切ったヴィオレットベリーとグラニュー糖とレモン汁を入れて弱火で加熱。

水分が出てグラニュー糖が溶けて少しとろみが出るまで煮詰めたら出来上がり。

あとは冷ましておけばOKだ。

デザートの準備ができたら、次は肉だ。

ダンジョン産のギガントミノタウロス、ロックバード、レッドボアの3種類を使う。

ギガントミノタウロスの肉はオーブンでローストビーフにして、ロックバードとレッドボアの肉はフライパンでソテーに。

ヴィオレットベリーソースをかけるから、どれも味付けは塩胡椒のみだ。

肉を焼きながらヴィオレットベリーソースも作っていく。

しかし……。

「自分で言うのもなんだけど、料理の手際がだいぶ良くなってきてるよな……。いつの間にか職業欄に料理人ってのがついてたけど、レベルアップするごとにその補正も上がってくってことなのかね。俺、料理人のつもりはさらさらないんだけどさ」

言っとくと、職業は冒険者がメインでもないんだぞ。

自分では商人がメインだと思ってるんだ。

全然商人らしいことが出来てないところがあれだけど、一応はね。

そんなことを考えながらも手は動かしてヴィオレットベリーソースを作っていく。

鍋に半分に切ったヴィオレットベリーと赤ワイン、醤油、バルサミコ酢、ハチミツ、塩、胡椒を入れて少しトロミがつくまで煮詰めればソースの出来上がりだ。

焼きあがったローストビーフもといローストギガントミノタウロスの切れ端にヴィオレットベリーソースをちょこっと付けて味見を。

「うんうん、いいんじゃないの」

いつもとは違った味わいのソースが新鮮だし、何と言っても美味い。

甘酸っぱいフルーティーなソースって意外と肉に合うんだよね。

俺がそんなことを思いながらモグモグやっていると、キッチンの出入り口からジトーッとした視線が。

もちろんこちらを覗いているのはフェル、ドラちゃん、スイの食いしん坊トリオだ。

『おい、お主だけ食うとはズルいぞ』

『そうだそうだ。俺らにも早く食わせろー。腹減ったー』

『あるじー、お腹すいたー』

「今のは味見してただけだって。もう出来上がるから、すぐに持っていくって。ちょっと待ってなさいよ」

そう言うと『すぐだからな』と渋々リビングに戻る面々。

まったくもう……。

俺は待っている食いしん坊トリオのために盛り付けを開始した。

どうせなら盛り付けもキレイにと思って購入した特大の白い平皿に、まずは薄切りにしたローストギガントミノタウロスを花びらのように盛り付けて、中央にミントの葉を飾る。

そして、ヴィオレットベリーソースを回し掛けたら一皿目の完成だ。

二皿目は同じく特大の白い平皿に、ロックバードのソテーを少し重なるよう見目良く並べて皿の右上辺りにミントの葉を飾ったら、ヴィオレットベリーソースを掛けて完成。

三皿目も特大の白い平皿にレッドボアのソテーを扇状に並べて付け根部分にミントの葉を飾り、ヴィオレットベリーソースを掛けたら完成だ。

3種肉のヴィオレットベリーソース掛け。

豪華だし、ヴィオレットベリーソースの紫色が実に美しい。

って、出来栄えに感心してる場合じゃないな。

腹を空かせて待っている食いしん坊トリオの下へ届けないと。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

『美味いではないか! この甘酸っぱいソースが不思議と肉と合うぞ』

『それな!』

『美味しー!』

…………。

ガツガツ食っているみんなを見てガックリ。

美味そうに食ってくれているのは嬉しいけど、みんなの前にそれぞれ3皿ずつ出したら、いきなりガツガツ食いだすんだもん。

盛り付けの美しさとかをちょっとは楽しんでほしいよ。

食い気が先の食いしん坊トリオにそれを求めるのは間違いなのかもしれないけどさ。

「フェルが食ってるのがギガントミノタウロスでドラちゃんが食ってるのがレッドボア、スイが食ってるのがロックバードだ。3種肉のヴィオレットベリーソース掛け、ちょっと豪華だろ」

『うむ。3種類の肉を味わえるとはいいな』

『このソース、レッドボアの肉に抜群に合うな!』

ドラちゃんがそう言うのを聞いて、『そうなのか?』と早速レッドボアの皿に口をつけるフェル。

『むむっ、これはドラの言うとおりだ。なかなかに美味い!』

フェルも唸る味に釣られてスイもレッドボアの肉へ。

『ホントだぁ。これ、美味しいねー』

みんなが美味いと口を揃えるのだから俺だって食わないわけにはいかないよな。

俺の分として1皿にまとめた3種肉のヴィオレットベリーソース掛けのうち、レッドボアの肉をパクリと口に放り込んだ。

モグモグ―――。

「おお、こりゃイケるな」

ほんの少しだけ野性味のあるジビエの風味が残っているレッドボアの肉に爽やかな甘酸っぱいヴィオレットベリーソースが絶妙にマッチしている。

今度はレッドボアの肉の隣のロックバードの肉をパクリ。

「うーん、ロックバードの肉もいいなぁ。淡白な鳥系の肉にもこの甘酸っぱいソースがバッチリ合うわ」

『ゴクン……。うむ、確かに』

フェルがロックバードの肉をゴクリと飲み込みながら俺の言葉に同意している。

『このギガントミノタウロスの肉もこのソースならサッパリ食えるのがいいな』

ドラちゃんの言うとおり、確かに。

さしの多いギガントミノタウロスの肉もこの甘酸っぱいソースならば重くなり過ぎないのが良い。

『あー、足らん、足らんぞ! おかわりだ、おかわりをくれ!』

3種肉をペロリと平らげたフェルが声をあげた。

『俺も! レッドボアとギガントミノタウロスの肉のおかわりを頼むぜ』

『スイは全部おかわりー!』

ドラちゃんとスイもフェルに続いておかわりと言い出した。

「はいよ。今持ってくるからちょっと待ってて。あ、最後にはデザートもあるから、その分くらいは余裕持たせとけよー」

『わーい、デザートー!』

デザートと聞いてスイが人一倍喜んでいた。

その後も何度もおかわりして、これでもかというくらいに3種肉を堪能したフェルとドラちゃんとスイ。

ようやく腹いっぱいになって最後の〆のデザートへ。

ガラス製の特大ボウルに入ったプルプルのヨーグルトゼリーをみんなの前へ置いた。

もちろんゼリーの上には鮮やかな紫色のヴィオレットベリーソースが掛かっている。

「どうぞ。今日はヴィオレットベリー尽くしで、デザートのヨーグルトゼリーヴィオレットベリーソース掛けだ。魔道冷蔵庫を使って冷やしてあるから冷たいぞ」

『おお、あれを使ったのか?』

「ああ、ちょうどいいと思ってな。使わせてもらった。イイ感じに冷えるし、いろんな料理、特にこういうデザートには使えるかもな」

『ほぅ、楽しみにしているぞ』

『これプルプルで美味しいね~』

『肉を食った後の口の中がさっぱりしていいな』

爽やかな酸味のあるヨーグルトゼリーも好評で、みんなの特大ボウルもすぐに空になった。

『あるじー、プルプルするのおかわりー』

特にスイがゼリーを気に入ったみたいでおかわりと強請ってきた。

「え、おかわり?」

『うん、このプルプルおかわり欲しいの~』

「あの、えっと、ごめんな。ヨーグルトゼリーのおかわりはないんだ」

特大ボウルだから十分だと思ってヨーグルトゼリーのおかわりなんて用意してなかったよ……(汗)

『えぇ~』

悲しそうにショボンとするスイ。

「つ、次は絶対おかわり用意しておくから、今日は許して」

『絶対だよー、あるじー』

あれだけさんざん肉を食った後に、特大ボウルのヨーグルトゼリーもペロリ。

さらにまた特大ボウルのヨーグルトゼリーのおかわりを要求してくるなんて……、今更だけどスイちゃん、なんて恐ろしい子なの。