軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

閑話 勉強会での一幕

あさおきたら、おかあさんとあいやおばちゃんがつくったあさごはんをたべます。

おとうさんおかあさん、おりばーおにいちゃん、えーりくおにいちゃん、とにおじちゃん、あいやおばちゃん、こすてぃおにいちゃん、せりやおねえちゃん、たばさせんせい、おひげのおじちゃん、おっきいおにいちゃんたち。

みんなといっしょにたべます。

むらにいたときはあんまりたべられなかったけど、ここではおいしいごはんがいっぱいたべられます。

おかわりもできるから、とってもうれしいです。

あさごはんをたべたら、おてつだいをします。

きょうはおとうさんのはたけのおてつだいをしました。

おっきなとまとがいっぱいなっていました。

おとうさんはむこーだのおにいちゃんのおかげだといっていました。

おてつだいがおわったら、おひるごはんです。

おかあさんとあいやおばちゃんがつくったおひるごはんもみんなでたべます。

おひるごはんもとってもおいしいです。

そのあとはおべんきょうです。

おべんきょうはあんまりすきじゃないけど、おとうさんとおかあさんががんばりなさいっていうのでがんばっています。

ほんとうならおべんきょうはできないんだって。

むこーだのおにいちゃんのおかげでおべんきょうできるんだっておとうさんとおかあさんがいっていました。

おとうさんとおかあさんととにおじちゃんとあいやおばちゃんは、まいにちむこーだのおにいちゃんにかんしゃしています。

おとうさんとおかあさんは、ろってもかんしゃしないとだめだよといいます。

よくわからないけど、むこーだのおにいちゃんはおいしいものをいっぱいたべさせてくれるからろってはだいすきです。

おおきくなったらむこーだのおにいちゃんのおよめさんになってもいいなとおもいます。

それをいったら、おとうさんとおかあさんはちょっとうれしそうにしていました。

なんでだろう?

ここではまいにちたのしいです。

きょうもたのしかったです。

「できたー!」

「書きあがったのかい。どれ、見せてみな」

「はい、タバサ先生」

ロッテちゃんが先生のタバサにノートを渡した。

タバサがノートに書かれたものを読んでいく。

字はまだまだ下手くそだけれど、なかなか良く書けていた。

「なかなか良く書けてるじゃないか」

タバサがロッテちゃんに出したお題は、「今日は何をしたのか」ということだった。

「よし、みんなの前で発表してごらんよ」

「はーい!」

今はムコーダが指示した勉強会の時間だ。

みんなが揃っている前で、ロッテちゃんが作文を読み上げていった。

それを聞いたロッテちゃんの両親のアルバンとテレーザはバツの悪そうな顔をしていた。

子どもとは大人のことを見てないようでよく見ているものだ。

「アッハッハッ、ロッテちゃんはムコーダさんの嫁さんになるのか」

「玉の輿だな、玉の輿」

ロッテちゃんの作文に1番に食いついたのは当然というか獣人のおちゃらけた双子だ。

「うーん、まだわかんないけど、ムコーダのお兄ちゃんはおいしいものいっぱい食べさせてくれるし、お嫁さんになってもいいかなぁって思うの」

ロッテちゃんがそう答えると、アハハと笑うおちゃらけ双子。

「ねぇねぇお父さん、玉の輿って何?」

純粋な興味から父親のアルバンに意味を聞くロッテちゃん。

それにどう答えていいか困り顔のアルバン。

「お母さんは知ってる?」

次にロッテちゃんに振られた母親のテレーザも困り顔だ。

「ロッテの嬢ちゃん、玉の輿ってのはな金持ちの男の嫁さんになるってことだ」

助け舟を出したのはドワーフのバルテルだ。

「金持ちの嫁さんになりゃあ欲しいものも買えるし美味いもんも食えるんだぜー」

「そうそう。金の心配なくいい生活ができるってもんだ」

双子がいらぬ情報を話して聞かせる。

「あんたらは余計なこと言わなくていいんだよっ」

バチコンッと姉のタバサに頭を叩かれる双子。

「わぁ~、そうなんだー! じゃあね、じゃあね、ロッテはムコーダのお兄ちゃんのお嫁さんになるー!」

美味しいもんが食えるというその一言に釣られて、ムコーダの嫁になるというお気楽なロッテちゃん。

一方で、コソコソと話すトニとアイヤ夫婦とその娘のセリヤちゃん。

セリヤちゃんの顔がみるみるうちに赤くなっていく。

子どもに苦労なく生活してほしいという願いは、どこの親も一緒ということなのであろう。

「ってか姉貴は玉の輿いいのか?」

「うーん、ムコーダさんには本当に感謝しているけど、嫁になりたいかって言われるとねぇ。何ていうか、そういう対象じゃないっていうか……」

「姉貴にこんなこと言われるなんて、ムコーダさんが可哀そう過ぎるぜ」

「行き遅れで何選んでんだよって話だよな」

「あんたたちねーっ」

余計な一言を言って、タバサから今度は拳骨を食らう双子。

それを見て、この場のみんなが笑った。

「しかし、ムコーダさんに感謝というのはしてもしきれないのう」

しみじみとそう言ったのはバルテルだった。

その言葉に、ここにいたみんな頷いた。

「この国で奴隷は最低限の生活の保証をされてる。でも、奴隷になったからには自由もなくてもっとこき使われるの覚悟してた……」

普段は無口なペーターがそう言った。

通常はペーターの言うとおりだ。

最低限の生活は保証されるものの、奴隷は奴隷。

普通の人がやりたがらない仕事をあてがわれることが多いうえ、仕事をする時間も長いのが当たり前だった。

「普通に暮らしてた冒険者時代に比べても、今のここでの生活は天国みたいなもんだよね」

そのタバサの言葉に何度も頷く者たち。

「ああ。姉貴の言うとおりだよ。冒険者時代は収入が不安定だったからな……。住む場所やら飯の心配をしなくていいってのは最高だぜ」

「俺たち奴隷だってのに、ムコーダさんってば高級な肉とか食わせたりするんだもんなぁ。こっちの方が心配になっちまうよ」

ルークとアーヴィンがタバサの言葉に続いてそう言った。

「私らみたいな者にもこうして字を覚える機会を与えてくださって、ムコーダさんは本当に神様みたいな人ですよ」

そう言ったのは、字が書けないし読めないまま大人になってしまったトニだ。

「まったくです。私らは無学のまま大人になってしまいましたからね。それは仕方がないことだと思ってましたが、こうしてこの歳で少しずつですが字の読み書きができることになろうとは……。本当にありがたいことです」

貧乏な農家に生まれて勉強どころではなかったアルバンがしみじみとそう言った。

それぞれの妻であるアイヤとテレーザも夫たちの言葉に深く頷いていた。

「ムコーダさんに報いるためにも、儂らはムコーダさんに指示されたことをしっかりとこなしてこの家を守ることが大事じゃな」

「そうそう。バルテルの言うとおりだよ。ということで勉強再開だよ」

タバサのその言葉に「エェ~」と嫌そうな声を発したのは双子だ。

「当然でしょうが。この勉強会だってムコーダさんの指示なんだからね。あんたらも観念してしっかり勉強しな」

「ちぇっ、勉強から気をそらせたと思ったのによ。ムコーダさんにはものすごく感謝してるけど、この歳で勉強とか嫌すぎるぜ」

「そうなんだよなぁ」

文句たらたらな双子にタバサの額に青筋が。

「トニやアルバンたちを見なっ。少しでも字の読み書きができるようにってがんばってんだよ! それをあんたたちはっ! あんたらがアタシの弟だと思うと情けないよっ」

「だってなぁ」

「ああ。俺たちは読み書き十分できるし」

「十分じゃないからこうなってんでしょうがっ。もうっ、あんたたちには特別に課題を出すからね! それをこの勉強の時間が終わるまでにできなかったら、明日は1日飯抜きだよ!」

「何だよそれー!」

「横暴だー!」

「つべこべ言わずにやりな!」

獣人の姉弟のやり取りにため息をつくバルテルとペーター。

「あいつらも懲りんなぁ……」

「ルークもアーヴィンも余計なことを言わなければいい奴なんだけどね……」

そう言いつつも、姉弟を放っておいて勉強の続きを始める先生役のバルテルと生徒のペーターだった。

1番の利口者は話には入らず粛々と勉強を続けていたオリバー君、エーリク君、コスティ君の男の子3人なのかもしれない。

そして、トニとアイヤ、アルバンとテレーザたちは、自分たちの子どもに「ああいう大人になってはダメだぞ」と密かに注意をするのだった。