軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第二百七十七話 二日酔いの面々

「ふぁ~あ」

一眠りして起きると、二日酔いに効く栄養ドリンクのおかげか二日酔いも大分マシになっていた。

周りを見渡すと、 アーク(箱舟) の面々と 影の戦士(シャドウウォーリア) の面々が未だグースカ寝ていた。

俺は起こさないように気をつけながら、マイ布団をアイテムボックスにしまった。

「とりあえず、これ何とかしなきゃな……」

部屋の中に大量に散乱する空の酒瓶。

俺は酒瓶を拾いアイテムボックスに突っ込んでいった。

これはあとでまとめてスイに処分してもらうことにしよう。

こういうゴミ処理はすべてスイの分裂体が処理してくれるから、ホント助かってる。

酒瓶の処理はこれでいいとして、そうだ、庭にBBQコンロやらが置きっぱなしだったな。

庭に出ると、フェルとドラちゃんとスイが日向ぼっこしながらまどろんでいた。

平和でいいねぇ。

その傍らで、俺はBBQコンロやらを片付けていった。

「ふぅ、これでよしと」

一息ついていると、フェルの声が……。

『終わったか。腹が減ったぞ』

フェルの横にはドラちゃんとスイもそろい踏みだ。

『肉だからな。今朝みたいなのはダメだぞ』

今朝と同じく出来合いのでもいいかと頭をよぎるが、先にドラちゃんにダメ出しされた。

『スイもお肉がいい~』

スイも肉がいいのかよ。

肉の在庫を考えると、昨日に続いてまたヘビ肉だな。

鶏肉に似た味わいだから、簡単でパンにも合う鶏肉いやヘビ肉のトマトチーズ焼きにしよう。

ネットスーパーでトマトやらとろけるチーズなんかの材料を調達したら、調理開始だ。

ヘビ肉(今回はブラックアナコンダの肉にしてみた)を適当な大きさに切ったら、ガーリックソルトを両面に満遍なく振って、あとはチキンソテーを作る要領でフライパンで焼いていく。

ちなみにだけど、ガーリックソルトはガーリックパウダーと塩とあら挽き胡椒が一緒になってるやつで、これ1つで肉にも魚にも応用できるから愛用している。

ヘビ肉が焼けたら、その上に輪切りにしたトマトととろけるチーズを載せてオーブンで焼いていく。

チーズが溶けて、うっすら焦げ目がついたら出来上がりだ。

これパンの間に挟んでも美味そうだな。

それならたしか……、お、あったあった。

アイテムボックスに残っていたこっちの世界の黒くて丸いパン。

その黒パンの真ん中を割って、そこにヘビ肉のトマトチーズ焼き挟み込めば……。

「ヘビ肉のトマトチーズ焼きバーガーの出来上がりだ。なかなか美味そうじゃないか」

同じように、黒パンにヘビ肉のトマトチーズ焼きを挟んで、次々とヘビ肉のトマトチーズ焼きバーガーを作っていった。

「はい、出来たぞー」

大皿に積み上がったヘビ肉のトマトチーズ焼きバーガーをフェルとドラちゃんとスイに差し出した。

早速がっつくフェルとドラちゃんとスイ。

『うむ、美味いな。やはり肉はいい』

やはりって、朝ちょっとパンになっただけじゃん。

『この白いチーズっていうのが美味いな。肉と合ってるぜ』

『うんトロっとしたのおいしーね』

さて、フェルたちがおかわりするだろうから追加でヘビ肉を焼いたら、俺の分の朝食を作るか。

さすがに今は肉を食う気にはなれないから、胃にやさしい粥でも作ろうかと考えてる。

追加のヘビ肉のトマトチーズ焼きを作っていると、後ろから声が掛かった。

「ムコーダさん、私たちにもいただけませんか」

この声はエルランドさんか。

振り返ると……。

「フェオドラさん?」

ニコニコ顔のエルランドさんの隣には、なぜかフェオドラさんもスタンバイしていた。

「いやぁ、何度かノックしたんですが、出てらっしゃらないんで入らせていただきました。朝もお邪魔したんですが、皆さん寝ていたようなので……」

このエルフ2人は朝飯食いにきて、俺が起きてなかったもんだから今度は昼飯目当てで来たってことか?

「実に美味しそうですねぇ」

「……ご飯」

エルランドさんもフェオドラさんも、フェルたちの食っているヘビ肉のトマトチーズ焼きバーガーを凝視している。

ったくこのエルフ組は食い物には目がないね。

「今作ってますんで、ちょっと待っててください」

追加で作った分が出来上がったところで……。

「はい、どうぞ」

エルランドさんとフェオドラさんにヘビ肉のトマトチーズ焼きバーガーを渡した。

「おお、これはガーリケの香り……。食欲をそそられますね」

ガーリケってニンニクのことか?

万能調味料ガーリックソルトを使ってるからな。

エルランドさんがヘビ肉のトマトチーズ焼きバーガーにかぶりついた。

「溶けたチーズが何とも言えませんねぇ。美味しいです」

エルランドさんの言葉に、渡して早々パクついていたフェオドラさんが何度も頷いていていた。

「それはそうと、この香りはニンニクですよ」

この町の店で見かけたときも、確かニンニクって書いてあったはずなんだけど。

「ああ、私の故郷ではガーリケって言うんですよ。面白い話ですが、ガーリケと言う地域とニンニクという地域があるんです。何でも昔々異なる世界から召喚された勇者様がガーリケをニンニクと言っていて、それが根付いたとか。だからガーリケもしくはニンニクと言ってますね。まぁ、どっちでもたいがいは通じますしね。けっこうそういうのあるんですよ」

ほ~、昔々異なる世界から召喚された勇者様ね。

それ、間違いなく日本人だわ。

実際、俺たち勇者召喚の儀式でこの世界にいるんだから、昔にそういう儀式が行われていたとしてもおかしくはないわな。

まったく呼ばれた俺たちにとっては迷惑千万な話だけどさ。

ま、今更どうこう言ってもしょうがない話だけど。

って、このエルフ組、1個じゃ足りないよな。

「1個じゃ足りないでしょうから、ここにもう1個ずつ置いておきますね」

そういうと「あの、できればもう1個いただければ……」とエルランドさん。

それに同意するようにフェオドラさんも高速で頷いている。

しょうがないな。

ヘビ肉のトマトチーズ焼きバーガーをもう1個ずつ皿に載せていった。

『おい、おかわりだ』

『スイもおかわりー』

フェルとスイのおかわりが入る。

ドラちゃんはもう腹いっぱいとのことだった。

フェルとスイにおかわりをあげて、さあ粥を作ろうかと思っていると、アークの面々と影の戦士の面々が次々と起き出して来た。

「う~、気持ち悪りぃ」

「うっぷ……」

「頭がぁ~」

「うぅぅ」

一様に二日酔いのようだ。

そりゃ、あれだけ飲んだらなぁ。

そういう俺もひどい二日酔いだったんだけどさ。

「うーん、いい目覚めじゃな! 昨日は美味い酒がたんと飲めて最高じゃったわい」

1人だけ元気いっぱいだけど。

シーグヴァルドさん、一番酒飲んでたのに元気だね。

シーグヴァルドさんには、とりあえずヘビ肉のトマトチーズ焼きバーガーを渡すと「悪いのう」といってバクバク食ってたわ。

あとは他の面々をどうにかしないとな。

アルコール度数の高い酒ばかり出しすぎたのもいけなかったな、反省。

予想をはるかに超えてみんなバカスカ飲んでたのもあるけど。

みんなに見えないところでネットスーパーを開いて、スポーツドリンクを購入してタンブラーに入れた。

「これ、二日酔いに効く飲み物です。どうぞ」

二日酔いの面々にスポーツドリンクを渡していった。

「うう、すまんな……」

いつもはリーダー然としているガウディーノさんも今回ばかりは形無しだ。

「じゃ、この中にその飲み物が入ってますんで、多めに飲んでおくと酒の抜けが早いですよ」

スポーツドリンクの入ったタンブラーを置いた。

どうせだし二日酔いの面々の分も含めて粥を作ろう。

そうなると粥は粥でもサラッといける中華粥がいいか。

ちょうど土鍋1つ分の飯が残ってるから、それで簡単中華粥を作ろう。

本当なら中華粥は生米からじっくり作るのが一番だけど、時間もないしな。

ネットスーパーで材料を購入して作っていく。

まずは鍋に飯と水を多めに入れて火にかけ、フツフツと煮だってきたら顆粒の中華だしの素を入れてさらに煮ていく。

少しトロみがついたところで塩で味を調えたら、あとは器によそってザーサイのみじん切りをトッピングして出来上がりだ。

今回はザーサイだけにしたけど、他のトッピングも載せたりごま油をちょろっとかけても美味いんだよな。

「これ、腹にやさしいんで食べてください」

そう言って中華粥を渡すと、酷い顔をした二日酔いの面々が中華粥をすすっていく。

俺も中華粥をすする。

うん、なかなか美味いな。

何よりあっさりして胃にやさしいのが二日酔いにとっては良い。

「おー、これはまたあっさりしてますね。しかしながら、このコリコリして塩気のあるものと一緒にすするといい塩梅になり非常に美味しい」

…………エルランドさん、何であんたまた食ってんの?

この中華粥はあんたのために作ったんじゃないんだけど。

ってか、フェオドラさんもちゃっかり中華粥すすってるよ。

鍋に残ってたやつだからいいけどさ。

しっかし、エルランドさんもフェオドラさんも細身なのによく食うよなぁ。

「んじゃ、楽しかったぜ。ごっそうさん。それじゃ、またな」

「また機会があったら飲もうぜ。そんじゃ、またな」

アークの面々と影の戦士の面々が帰っていった。

1人を除いて。

「おい、フェオドラがいねぇぞ!」

ドアの外からギディオンさんの声が聞こえた。

その後すぐさま俺の部屋のドアが開いた。

「ムコーダさん、すまない」

すました顔で俺の部屋に居座っていたフェオドラさんが、申し訳なさそうな顔をしたガウディーノさんとギディオンさんに引きずられていった。

「ガハハハッ、すまんのうムコーダさん。そんじゃ、またな。今度は儂ももっともっと美味い酒をみつけてきてやるから、楽しみに待っててくれよ!」

最後にシーグヴァルドさんがそう言ってドアを閉めて出て行った。

「はぁ、ようやく嵐が過ぎ去った」

今日はもう何もしないぞ。

ゆっくり過ごすんだからなっ。