軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第二百二十九話 Sランク冒険者

遅めの朝食をとった後、まったり食後の休憩をとっていた。

みんなはサイダーを、俺はカフェオレを飲んでいる。

久々のカフェオレ、美味いな。

ちなみに朝飯はみんなは肉とのことで、オークの味噌焼き丼と豚汁を出してやった。

いつものことだけど、みんな朝からしっかりたっぷり食ってたよ。

俺は豚汁とおにぎりで済ませたけどね。

昨夜、ヘファイストス様とヴァハグン様からもらった聖刻印は大切にアイテムボックスにしまってある。

エイヴリングのダンジョンで大いに役立つものだからね。

それにしてもアンデッドが多いダンジョンとはね……。

「フェル、昨日さ、神様たちからエイヴリングのダンジョンのこと聞いたんだ」

『ぬ、そうなのか? して、どうだった?』

「それがさぁ……」

昨日、ヘファイストス様とヴァハグン様から聞いた話をフェルとドラちゃんとスイに聞かせた。

27階層あって、ドランと違ってフィールド型の階層はなく、四方を石壁で囲まれた古典的なダンジョンの様相をしていること。

それからアンデッドがいて、その階層が3層くらいあることも。

『ぬぅ、アンデッドがいるのか……』

『ゲーッ、俺アンデッド大っ嫌いなんだよ。だってあいつ等なかなか死なないんだぜー』

フェルとドラちゃんは思いっきり顔を 顰(しか) めている。

スイは何のことを言っているのかわからないみたいで左右にプルンプルンと揺れている。

あとドラちゃん、死なないんだぜってアンデッドはもう既に死んでると思うんだ。

『アンデッドにはほとんど攻撃が効かんからな。ゾンビやスケルトンなら頭を潰せば倒せるが、レイスは何をやっても効かん。聖魔法ならばアンデッドには効くが、聖魔法持ちなどめったにいない。さすがに我も聖魔法は持ち合わせていないからな。ダンジョンでアンデッドと遭遇したことは何度もあるが、いちいち相手にしていたらきりがない。アンデッドだけは無視して通り過ぎるのが一番だ』

『だよなぁ。あいつ等何度攻撃しても立ち上がって向かってくるんだぜ。気持ち悪いのなんのってよー』

さすがのフェルもドラちゃんもアンデッドは苦手みたいだね。

というか、ゾンビとかスケルトンなら頭を潰せばなんとか倒せるのか。

でもいちいち頭狙って攻撃するのも大変だよな。

しかもフェルの話だとレイスには何やっても効かないみたいだし。

レイスっていや幽霊っぽいのだったよな?

なら、物理攻撃も魔法攻撃も効かないのは当然か。

考えて見りゃ、アンデッドって聖魔法持ちじゃなきゃ鬼門じゃないかよ。

ほとんどの人間が聖魔法何て持ってないんだから、鬼門も鬼門ってことだな。

そんなアンデッドが闊歩してるダンジョンなら、200年近く前の踏破から芳しくないってのも分かるね。

話ではドロップ品やら宝箱から出るマジックアイテムも良い物が多いってことだから、アンデッドのいる階層がどの階層かはわからないけど、その手前の階層で止めるとかしてもそこそこの成果はありそうだしね。

だけど、フェルたちはエイヴリングのダンジョンも踏破するつもりなんだろうね。

「なぁ、そうは言っても、フェルもドラちゃんもスイもエイヴリングのダンジョンを踏破するつもりなんだろ?」

『当然だ』

『あったりめぇだぜ』

『一番下まで行くのー』

やっぱりね。

「一応聞くけど、アンデッド対策は?」

『対策などない。無視して駆け抜けるだけだ。数が多過ぎて無理なときは高火力の火魔法をぶつける』

『うん、それだな』

『わかんないけど、ビュッビュッってすれば倒せるでしょー?』

ほぼ策なしってことかよ。

スイの酸弾はゾンビとかスケルトンの体すべて溶かす勢いならいけそうだけど、レイスはどうにもならんだろう。

「フェル、ドラちゃん、話した通りエイヴリングのダンジョンは石壁に囲まれてるんだぞ。そこで高火力の火魔法使ったら、自分も火だるまになっちゃうよ」

『む、我の結界で防げばいいだけだ』

『そう、その手があるぜ』

確かに、それでもいけなくはなさそうだね。

だけど、もっと簡単に解決できそうだぞ。

俺が考えてることが可能なら、アンデッドの階層が俺たちにとってはドロップ品と宝箱の中身を大量に取得できるウハウハ階層になるはず。

ヘファイストス様とヴァハグン様から授けてもらった聖刻印。

これの説明を聞いて、いけるんじゃないかと考えてたことがあるんだよね。

「実はな、昨日鍛冶神のヘファイストス様と戦神のヴァハグン様から授かったものがあるんだ。これなんだけど……」

俺は聖刻印をアイテムボックスから取り出して見せた。

そして、昨日ヘファイストス様とヴァハグン様から説明されたことを話した。

『なるほどな。魔力を流しながらその聖刻印とやらを武器に押し、その武器で攻撃したアンデッドは消滅するか。さすがは神の作りしものだな』

『スゲェけどよう、武器を使って戦うのなんて人間のお前くらいなもんだぞ』

うん、もっともな意見だ。

だけどな……。

「いや、お2人の説明ではな、”武器にでも何でもいいんだが刻印を押すとな”って言ってたんだよ。その言葉で、武器に限定されているもんじゃないって俺は思ってるんだ」

『武器に限定されてないって、んじゃ武器以外に何に押すんだ?』

フハハハハ、そこで俺はピンと来たってわけさ。

「みんなだよ」

『俺たち?』

『……むっ、そうか。我ら自身にその聖刻印とやらを押せば、我らが攻撃すればアンデッドは消滅するということか』

「そう。フェルの言うとおり。フェルとドラちゃんとスイにこの聖刻印を押せば、みんなの攻撃でアンデッドは消滅するんじゃないかって考えてる」

『なるほどっ、そういうことか!』

まぁ、そうなるんじゃないかなって思ってるだけなんだけどね。

アンデッドがいないんじゃ試しようがないし。

でも、いけると思う。

何せこれは神様が自ら作り上げたものなんだからな。

「アンデッドがいる場所じゃないと試しようがないけど、神様が作ってくれたものなんだから大丈夫だと思う。エイヴリングのダンジョンで試してみる価値はあると思うぜ。俺が言ってるようになれば、アンデッドの階層も怖くない。それどころか、アンデッド階層はそのせいでほぼ手が付けられてないだろうから、ドロップ品とか宝箱も取り放題になると思うぞ」

『うむ、面白そうではないか』

『アンデッドもバンバン倒せるのか。いいなそれ』

『スイもいっぱい倒すー』

エイヴリングのダンジョンのアンデッドの階層になったら、すぐに試してみようということになった。

『ダンジョンがますます楽しみになったな』

『ああ。バンバン倒して踏破してやろうぜ』

『ダンジョンすっごく楽しみだね~』

なんかみんなますますやる気満々になっちゃったけど、まぁいいか。

今回は俺もレベリングするつもりだし。

でもさ、まずはやることがあるから、エイヴリングに行ってもすぐダンジョンに潜るわけじゃないからな。

「エイヴリングに着いてもすぐにはダンジョンに潜らないぞ。まずは冒険者ギルドに行って、ダンジョンのマップがあるか確認して、どんなモンスターが出るのか確認だ。そこまで神様たちに聞けなかったからな。それに、ダンジョン内で食う飯のことも考えないといけないしな。今回旅で食う飯も含めて多めには作ったけど、エイヴリングに着いてあまり残ってないようだったら、作り足さないといけないしな。それから、ちょっと武器屋にも行きたいしな」

『ぬぅ、我はとにかく早く潜りたいぞ』

「そこは善処するよ」

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

昼飯をとった後、俺たちは冒険者ギルドに来ていた。

明日この街を発つから、その挨拶だ。

窓口に声をかけると、すぐにマルクスさんがやって来た。

「この間は俺が対応できなくて悪かったな。お前がギルドに来なきゃ、使いを出そうと思ってたところだ」

何でも、この間俺の対応してくれた職員に俺の新しいギルドカードを渡すのをすっかり忘れていたらしい。

そう言えばSランクになるって話だったんだ。

俺もすっかり忘れてたぜ。

「お前が持ってるAランクのギルドカードとこの新しいSランクのギルドカードを交換だ」

俺はAランクのギルドカードをマルクスさんに渡して、Sランクのギルドカードを受け取った。

見た目はAランクと同じ金ピカのカードだけどSと大きく書いてあった。

「これでお前もSランク冒険者だ。これからも冒険者ギルドを盛り立てていってくれよ!」

マルクスさん、期待が重いです。

「んで、なんか用があったのか?」

「えっと、明日の早朝にはこの街を発つつもりなんでご挨拶に来ました」

「もう発つのか? もっといてくれてもいいんだぜ。高ランク冒険者が街にいてくれんのは非常にありがたいからな」

マルクスさんが「例の 赤竜(レッドドラゴン) の件もすぐ片付いたしな」と小声で付け足した。

この街は魚介も美味いし、景色も綺麗だし、俺としてはもう少し長居してもいいんだけど、フェルたちは聖刻印のことを聞いてますますダンジョン熱が高まってきてるからね。

これ以上待たせると、首根っこひっつかまれて強制的に連れていかれそうだよ。

「フェルたちはダンジョンに早く行きたいみたいでして……」

この間も3日延長するのにもブー垂れてたもんな。

「ああ、この間この街の後にはエイヴリングに行くって言ってたもんな。エイヴリングのギルドマスターにはもう連絡してあるから、街に着いたらとりあえず冒険者ギルドに行ってくれよ」

おお、早速連絡してくれたのか。

話が早くて助かるね。

「エイヴリングのダンジョンのダンジョンボスはヒュドラって話だが、お前らなら心配ないだろう。踏破すれば200年振りの快挙だ。がんばれよ!」

『ほう、ヒュドラか。面白い』

あー、フェルがヒュドラって聞いてますますやる気満々になっちゃったよ。

『ヒュドラか。名前は聞いたことあるけど、俺はまだ見たことねぇな。楽しみだぜ!』

『ヒュドラって強いの~? でも、スイがんばって倒しちゃうよー』

ドラちゃんとスイもフェルと同じくやる気満々のようだ。

それにしても、ヒュドラがいるのかよ。

確か9つの頭を持つヘビだったよな?

そのうちの1つが不死の頭で、それを切り落とさないと他の頭はいくら切り落とされても元に戻るっていう話だった。

ど、どうすんだ、これ。

9つも頭あったら、どれが不死かなんてわからんぞ。

よほど運が良くて不死の頭をすぐ切り落とせない限り、長い戦闘が続きそうだ。

ま、まぁ今そんな先のこと考えたってしょうがないか。

ヒュドラの下までたどり着けるかどうかもわかんないし。

「踏破できるかわかりませんけど、がんばります。マルクスさん、短い間でしたがお世話になりました」

「ああ。またこの街に来いよ。元気でな!」

俺たちは挨拶を交わし、冒険者ギルドを後にした。

『明日は早く出発するぞ。早くダンジョンに行くのだ』

「分かってるって。明日は朝一番でこの街を出発だ」