軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第二百一話 旅の前にお勤めを

「俺はやることがあるから、ドラちゃんとスイは先に寝てていいよ」

風呂から出て、ドラちゃんとスイにそう声をかけて主寝室とは別の部屋に入った。

そろそろ1週間だし、明日にはまた旅が始まるから例のお勤めをしておこうと思ってね。

「みなさん、います?」

そう呼びかけると神様たちの『待ってました』と言う声が聞こえた。

「明日にはベルレアンに向かいますんで、今日のうちにご所望を聞きますんで」

旅の途中だと面倒くさいんだよねぇ。

だからなるべく今のうちに終わらせておきたいってのが本音だ。

『ぬぅ、面倒くさいとは聞き捨てならんぞ。妾たち神に供え物を捧げる神聖な行いを何だと思っているのじゃッ!』

俺の思考を読んだのか、 残念女神(ニンリル様) が噛み付いてくる。

神聖な行い?

これって、神聖な行いなのか?

どう考えても神様のおねだりだと思うんだけどなぁ。

『おねだり……ぐぬぬ。否定できぬのじゃ』

何だ自分でも自覚してるんじゃないですか。

まぁ、何だかんだ言っても神様たちとは腐れ縁のようなもんですし、いいんですけどね。

それよりさっさと終わらせて寝たいんですけど。

明日は早く出発するんで。

『むぅ、いろいろ言いたいことはあるが、後が詰まっているからのう。妾はいつものとおり不三家のケーキなのじゃっ』

ホント、ブレないね。

ネットスーパーの不三家のメニューを開く。

「不三家のケーキだと、ショートケーキのメニューの中の続きのショートケーキが1個と……あとは、このチーズケーキのカットしたもの3個、これはチーズケーキでも別の種類ですから。残りは……こっちのホールケーキになりますね。ちょっと大きいけど大丈夫ですか?」

あれ?

ニンリル様(残念女神) の反応がないんだけど。

いつもは新しいケーキ見ると騒ぎ出すんだけどな。

『…………な、な、な、ななな何じゃこれはッ?! こ、こんな夢のようなケーキがあるのかッ?!』

ニンリル様(残念女神) 、平常運転でしたね。

ホールケーキを見て興奮しすぎたみたいです。

「これの1番小さいサイズなら1個大丈夫ですね。えーと、直径14.5センチだから……これくらいの大きさの丸いケーキですね」

そう言って、手でこのくらいだと示した。

「1番小さいサイズとは言っても、いつものショートケーキに比べたら大きいですけど大丈夫ですか?」

『もちろん大丈夫なのじゃッ! というか早よう大きいケーキを送るのじゃッ!』

送るのじゃじゃなくってさ、その前に種類を選んでもらわないと。

『うむ、種類はな、また端から順にお願いするぞ!』

ショートケーキのパターンと同じか。

ということはこれだな。

見た目はイチゴショートだけど、スポンジの間にフルーツがサンドされているケーキ。

『むふふ~むふふ~』

何か ニンリル様(残念女神) が変な声で笑ってるよ。

見たことがないから ニンリル様(残念女神) がどんな顔してるのかわからないけど、きっとだらしない顔してホールケーキをむさぼるんだろうなぁとは想像できるよ。

本当に残念な女神様だ。

そんな残念な女神様は放っておいて、次だ次。

『次は当然私、キシャールよー、というかニンリルが気持ち悪い顔して笑ってるんだけど』

「そんなの知りませんよ。そこまで責任持てませんし。現物をそちらに送ったら正気に戻るんじゃありませんか?」

ニンリル様(残念女神) はケーキが目の前に現れたら真っ先に飛びつくだろう。

『それもそうね。それじゃ私の希望はね~、うーん特にないんだけど……。ねぇ、美容にいいものでおすすめないかしら?』

美容にいいものねぇ。

うーん、うちの姉貴の受け売りだと美容液が大切なんだとか言っていたな。

クレンジング、洗顔、化粧水、乳液、クリームは当然のこと、肌の質を向上させたいなら美容液が大事なんだと力説していた。

潤いやらアンチエイジングやら目的別に選べるから効果も高いんだって言ってた。

そういえば姉貴は、あの成分がどうたらこの成分が新成分で効きそうだとか、美容雑誌見ながら真剣に次に何を使うか選んでたなぁ。

「美容液なんかどうですか? 化粧水の後につけるものみたいですけど、目的別に選べて効果も高いってことみたいですよ」

『こ、効果が高いですって?! それっ、その美容液をお願いするわっ!』

キシャール様はこれまたグワっと食いついてきたね。

ネットスーパーにある美容液を見ていく。

「目的別にいろいろあるみたいですけど、何がいいですかね? 乾燥とかアンチエイジング…まぁシワとかですね、あとは美白っていってシミとかくすみに効くものなんかもあるようです」

『シ、シワ……』

キシャール様、シワが気になるのか?

若い女神様のイメージだったんだけど、けっこうなおばさんなのかな?

『ちょっとッ、私はおばさんじゃないわよっ! ピチピチなんだから!』

キシャール様がそう言うと、他の神様たちから『お主がピチピチならここにいるみんなピチピチだろ』とか突っ込まれてる。

『クッ、おだまり! 異世界人クン、お肌のハリをもたらすようなものないかしら? 綺麗になって、こいつ等をぎゃふんと言わせてやるんだから!』

キシャール様もお肌の曲がり角を気にする年齢だったんだね。

それなら……。

「これなんかどうですかね、銀貨5枚とちょっと高いですけどアンチエイジングの美容成分が入ってる美容液みたいですよ?」

『それっ、それでお願いするわ!』

へいへいっと。

でも余りが出るね。

「残りの銀貨1枚分はどうします? 次回に回してもいいですけど」

『じゃ、次回にお願いするわ』

キシャール様は銀貨1枚を次回に繰越っと。

『次はオレだな! アグニだけど、前回と同じビール頼むぞ! 普通のヤツも黒いヤツも前回と同じの種類でな。いやー、どれも美味かったぜ! 冷やして飲むと最高だな!』

アグニ様は前回のチョイスが相当気に入った様子。

各社のプレミアムなビールに黒ビールを加えたラインナップだったからね。

ネットスーパーで選べる範囲としてはなかなかいいチョイスだったんではと自分でも思う。

アグニ様のために前回と同じものをカートに入れていき、残額分は今回はオーストラリア産の白ワインにした。

よし、次はルカ様だな。

『……私もニンリルと同じの。大きいケーキ欲しい』

はいはい。

ホールケーキね。

甘い物好きはあのホールケーキに魅せられるんだね。

Sでもあの大きさは一人で食えないような気がするんだけど。

『大丈夫。甘いものは別腹』

おう、思考読まれた。

甘いものは別腹って女性の考えは、神でも人でも変わんないんだな。

ルカ様のために不三家でニンリル様と同じものを選んでいった。

「次は……」

『おーう、儂らじゃ』

『俺たちはな、まずは前と同じ世界一のウイスキーだな。あれを1本ずつ頼むぞ。あれだけは譲れんからな』

『うむ。あれは自分の為に飲むとっておきだからのう』

国産S社のウイスキー、よっぽど気に入ったんだね。

確かあれでも一番下のグレードなんだよな。

『な、なぬ? あれよりも美味いウイスキーがあるのかッ?!』

『おいっ、あれよりも美味いウイスキーってそれは本当かっ?!』

あ、ヤベっ思考読まれた。

「あ、いやですね、俺のネットスーパーではそれしか買えませんよ。それより上となると、それこそ専門店でもないと……」

『専門店とな? それはテナントということか?』

「まぁ、テナントに酒屋があればの話ですけど」

そう言うと、ヘファイストス様とヴァハグン様がボソボソ何か話し出した。

『ところでお主、レベルはどうなった?』

ヘファイストス様がそう聞いてくる。

レベル?

レベルって言われても次のテナントの解放までは行ってないけど…………って、あ!

「もしかして”獲得経験値倍化”のスキル付けたのって、ヘファイストス様とヴァハグン様ですか?」

『わ、わ、わ、儂は知らんぞ』

『お、お、お、俺だって知らん』

……お2人とも、そんなにどもってちゃ自分たちだって言ったようなものなんですけど。

後ろで女神様たちが『また馬鹿なことやって』とか『ホント懲りないわね』とか言ってる。

本当にこの2人は酒のことになると何でもやるね。

まぁ、今回の件は別に俺にとっても悪いことでもないから大丈夫だけどさ。

でも……。

「あのですね、今回は俺にとっても悪いことじゃないから特に何も言いませんけど、勝手にスキル付けるとかは止めてくださいね。少なくとも一言断ってくださいよ」

『む、分かったぞい』

『へいへい』

分かってくれたならいいんだけどさ。

「それで、ほかのはどうしますか?」

『儂は飲んだことのないやつがいいと思うんじゃが、どうだ戦神の?』

『ああ、俺も飲んだことがないやつがいいと思うぞ。新しい酒の探求はすべきだからな』

飲んだことないやつか……。

そうなると比較的値段の高いやつしか残ってないんだよなぁ。

残ってる金額で買えそうなのは……これかな。

「残ってる金額からいくと、これ、この黒い瓶のものが買えますけど、これでいいですか?」

ネットスーパーの画面の国産S社のメスフラスコに似た黒い瓶のウイスキーを指さした。

『それは飲んだことないな。いいと思うぜ。鍛冶神の、どうだ?』

『うむ、確かにそれは飲んだことがないな。儂もそれでいいと思うぞ』

それじゃこれに決定だ。

俺は段ボールの祭壇に神様ごとに希望の品を載せていった。

「それではお受け取りください」

そう言うと段ボールの祭壇の上の品々が消えていった。

すぐさま神様たちの歓声が聞こえた。

やっと終わった。

さて寝るかと部屋を出て行こうとすると、ヘファイストス様の声が頭に響いた。

『ところで、お主レベルはいくつになったんじゃ?』

「レベルですか? そう言えばオークの集落殲滅してから確認してなかったな。ちょっと待ってください」

【 名 前 】 ムコーダ(ツヨシ・ムコウダ)

【 年 齢 】 27

【 職 業 】 巻き込まれた異世界人

【 レベル 】 32

【 体 力 】 335

【 魔 力 】 326

【 攻撃力 】 303

【 防御力 】 300

【 俊敏性 】 281

【 スキル 】 鑑定 アイテムボックス 火魔法 土魔法

従魔 完全防御 獲得経験値倍化

《契約魔獣》 フェンリル ヒュージスライム ピクシードラゴン

【固有スキル】 ネットスーパー (+1)

【 加 護 】 風の女神ニンリルの加護(小) 火の女神アグニの加護(小)

土の女神キシャールの加護(小)

お、ちょっと上がってるな。

オークを2匹倒しただけなんだけどね。

前のイビルプラントである程度経験値が溜まってたのかもしれないな。

『32か。微妙だな。もうちっとがんばれや』

この声はヴァハグン様か。

微妙とか言わないでほしいよ。

『とはいえ、お主、ベルレアンに行った後にダンジョンに行くんじゃろう? 期待してるぞ』

『おうおう、そうだったな。期待してるからな』

そんな期待されてもねぇ。

次のテナントを狙ってるんだろうけど、酒屋が出るとは限らないからね。

そこんとこちゃんと分かっててもらいたいよ。

「お2人とも、次のテナントに何が出るかはわかりませんからね。あんまり期待し過ぎないでくださいよ」

『わかっておる、わかっておる』

『そうそう』

2人が返事した後にプツンと通信が切れた。

軽い返事だったけど、あの2人本当に分かってんのかね?

(鍛冶神と戦神の会話)

『異世界人、怒らんかったのう』

『ああ。思った通りだったな』

『レベルは上がってるが、40にはまだまだだのう。じゃが、ダンジョンに行くということだからのう』

『ダンジョンに潜るとなりゃ嫌でもレベルは上がるだろう』

『そうだのう』

『ああ。いよいよテナントだ』

『テナントじゃな』

『『酒屋だな(じゃな)』』

『アハハ』

『ガハハ』

『アハハハハハハ』

『ガハハハハハハ』