軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第百六十五話 フライドポテト

アドリアーノさんから話を聞いていくと、要はなにか新しい料理はないかということだった。

どこの食事処でも同じメニューしかないと言われ頭を痛めているようだ。

さすが商人ギルドのギルドマスターと言うべきか。

転んでもタダでは起きないね、アドリアーノさん。

まぁ、買取代金も大幅に増やしてくれたし(多分あれってウゴールさんの指摘もあって今後を見越して大分増やしてくれてる感じするんだよね)、料理を教えるくらいならばいいけどさ。

ウゴールさんは俺たちの話を聞いて、冒険者ギルドに関連する話ではないと分かると早々に帰って行った。

「料理は煮るか焼くしかないわけですから、同じようなものになるのは仕方のないことなのですがね……」

その上味付けは塩とほんの少しの胡椒とハーブ類くらいのものだから、どこも同じ感じの料理になってしまうのかもしれない。

「ムコーダ様はこの国の人ではないようですし、料理も得意とのことなので、何か目新しい料理がありましたら教えていただけるとありがたいのです。この街は冒険者が多いですからな、酒と合う料理なら尚更ありがたいですな」

うーん、ネットスーパーの調味料が使えれば美味いものはいくらでも教えてあげるんだけどねぇ。

それはできないし。

味付けは塩と胡椒。

話を聞いていくと、なるべく高価な材料は使わないでということだから、胡椒も無理かもな。

高価な材料使わないってのは分かる。

一般の食事処で高価な材料何て使えないもんな。

さらに酒に合うか……。

難しいな。

あっ、そういやさっきアドリアーノさんは”料理は煮るか焼くしかないわけですから”って言ってたな。

それならば……。

「アドリアーノさん、揚げ物ってあるんですか?」

「揚げ物? それはどんな料理ですか?」

「油で揚げるんですよ。えーと、油で煮るというか何というか」

「油であげる、油でにる……うーん、よくわからんですな」

お、やっぱり揚げるって調理法はなさそうだね。

それならばピッタリの料理を思いついた。

この世界で一般的に使われている油と言えばオリーブオイルだ。

何でも一大産地があるらしくそこで盛んに生産されていて、値段もそれほど高くはない。

塩だってこの国は海に面しているから、それほどバカ高いというわけでもなさそうだしね。

それを考えると、今思いついた料理ならコストもそれほどかからないだろう。

それに酒にも合う。

この世界でよく飲まれているエールとも相性抜群だと思うぞ。

「1つ思いついた料理があるので、実際に作ってみますか?」

「おおっ、それはありがたい。新しい料理はみな知りたいでしょうから、人を呼んでもよろしいですかな?」

「それはいいですけど……」

ちょっと人に見られるのはこっぱずかしいが仕方ないか。

それよりも、魔道コンロ出すのに広い場所がいいんだけど。

そう言ったら、何故か商人ギルドの受付前の広いフロアでやることになった。

材料としてオリーブオイルと塩が必要と言ったら、すぐに用意してくれたよ。

では、作っていきますか。

まずは、魔道コンロを出してと。

アイテムボックスから魔道コンロを出すと、ギャラリーが「おおっ」っとどよめいた。

その後に「随分デカいアイテムボックスだな」とか「あれは最新式魔道コンロだ」とか言う声が聞こえてくる。

そういう声は今は無視だな。

今回作るのはフライドポテトだ。

これなら簡単だしコストもそれほどかからないし、酒のつまみにもピッタリだ。

まずはジャガイモからだな。

ダンジョンに潜る前に買ったジャガイモがあるから、その中の芽が出ていないものを選んで洗っていく。

たしかこっちでもジャガイモはジャガイモって言うんだったな。

「えーとですね、ジャガイモをよーく洗って水気を拭いたら、こういう風に切っていきます。よく洗ったら皮付きのままでも大丈夫です。今回はこういう形に切りましたが、細長く切ったり、薄く切ったりと変化を付けても食感が変わっていいですよ。その辺はいろいろ試してみてください。あと、ジャガイモはよく使われているようなのでご承知かとは思いますが、芽が出てしまっている場合は芽の部分をくり抜いて、皮は厚めに剥いてくださいね」

そう言いながら、ジャガイモを皮付きのままくし形に切っていく。

値段は高くはないとはいえ、あんまり油も使わない方が良いだろうから少し時間はかかるけどフライパンで揚げていく方法にするか。

「そうしたら、切ったジャガイモをフライパンに入れてひたひたになるくらいまでオリーブオイルを入れてください。そしたら中火にかけます。そしてゆっくり火を通していきます」

ボッと魔道コンロに火が付く。

このまましばらく置いてと。

「こういう感じでブクブク泡が出てジャガイモが浮いてきたら、火を強火にして表面がカリッと香ばしい感じの色が付くまで揚げていきます。香ばしい感じに揚がったら、油をよくきって取り出してください。そうしたら塩を振って、出来上がりです。中に火が通ってるか心配な場合は、ジャガイモが浮いてきた時点で、1つ取り出して割ってみて中まで火が通ってれば大丈夫ですよ。ただ、今回の作り方は時間がかかるので、最初から熱した油で揚げるというのもありです。油も今はオリーブオイルを使いましたけど、動物の脂を使ってもいいと思います。切り方と一緒にいろいろ試してみるといいと思いますよ。あ、油を使ってますのでくれぐれも火事にはご注意くださいね」

今回作った方法は、あくまでも家庭料理の範疇だからね。

店で作るとなるとある程度の量を揚げることになるだろうし、切り方とか油でも食感や風味が違うと思うんだよね。

その辺はいろいろ自分で作って試してみるのが一番だと思うよ。

「それでは試食どうぞ」

揚がったばかりのフライドポテトを差し出すと、ギャラリーがわらわら集まってくる。

「熱いから気を付けてくださいね」

みんな揚げたてのフライドポテトをハフハフ言いながら試食している。

「おおっ、外はカリッとして中はホクホクで美味いな」

「塩味がきいていて、ついつい手が出てしまう味ですな」

「これは確かにエールに合いそうだ」

「何より材料費がかからんのがいいですな」

「しかも作り方も簡単ですし、これなら今日からすぐにでもメニューに加えられますぞ」

おおむね好評価ってところか。

まぁ、フライドポテト嫌いなやつって聞いたことないもんな。

あとはさっき言ったみたいに切り方を変えるとか、その辺は自分たちで工夫してやってくださいよ。

「いやぁ、ムコーダ様、本当にありがとうございます。油で揚げるとは恐れ入りました。しかも材料費もそれほどかからないうえ、酒にも合うとは。このような素晴らしい料理を教えていただけるとは、本当にありがたい」

アドリアーノさんが近付いて来てそう言った。

終始笑顔なのを見ると、フライドポテトで良かったみたいだね。

ちょっと簡単すぎるかとも思ったんだけど、こっちの材料で簡単に作れるもんでパッと思いついたのがこれだけだったんだよね。

フライドポテトを教えたくらいでこんなに喜んでもらえたなら良かったよ。

「ささやかですが、商人ギルドの次回更新時の年会費と税金分はうちのギルドで持ちますので」

「本当ですか、それはありがたい」

フライドポテト教えてあげただけで、次回更新分がタダになったよ。

ラッキー。

それじゃ、用件も済んだし片付けてみんなを起こしたら帰りますかね。

フェルもドラちゃんもスイも飽きてお昼寝タイムになっちゃってるし。

さてさて帰ったら今度はみんなの飯だな。

「それじゃ、私はこれで」

「ありがとうございました」

アドリアーノさんに別れを告げて、俺たちは商人ギルドを後にした。