軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

新しい仕事

五日後、僕、ピルン、キナコはタンサの町の北地区にあるアルミーネの家に集合した。

僕たちがテーブルに座ると、すぐにアルミーネが口を開いた。

「新しい仕事が決まったよ」

「魔王ゼズズの討伐か!」

ピルンが紫色の瞳を輝かせた。

「そんなわけないでしょ。今回はガホンの森でドールズ教の神殿探しと信者の捕獲だよ」

「ドールズ教の神殿探し?」

僕はアルミーネに聞き返した。

「そうだよ。しかも、炎龍の団の指名でね。ヤクモくんがいるパーティーに依頼を頼みたいって」

アルミーネは僕に顔を近づける。

「いつの間に炎龍の団のリーダーと知り合ったの?」

「あ、いや。知り合いってほどじゃないけど……」

僕は冒険者ギルドでメルトと出会った時の話をした。

「……なるほどね」

アルミーネが胸元で腕を組む。

「だから、依頼料も相場より高かったのか」

「高かったんだ?」

「うん。一日金貨四枚。私たちのパーティーの構成から考えると、二倍近い価格かも」

「……それはたしかに多いね」

「まあ、ドールズ教関係の仕事は危険度も高いからね。それもあるとは思う」

「そうだな」

無言だったキナコが口を開いた。

「ドールズ教の神殿を探すのなら、信者が邪魔をしてくる可能性が高い。しかも、誰が信者かわからないからな」

「だよね。噂では貴族の中にもドールズ教の信者がいるって聞くし、隣の家の家族が全員ドールズ教の信者だったって話もある」

アルミーネがため息をつく。

「そう考えると、恐いよね。だって、相手は人を殺してもいいって思ってるんだから」

「アルミーネ」

ピルンが右手を上げた。

「ドールズ教の信者を見分ける方法はないのか?」

「うーん。特別な秘薬を飲ませて、魔法で自白させる方法はあるけど、それって難しいの」

「どうしてなのだ?」

「秘薬を作るのに高価な素材がいくつも必要になるからね。信者かどうかを判定するために、大金貨一枚以上のお金をかけるのは現実的には難しいかな」

アルミーネは壁際の棚に並んでいる素材を見回す。

「まあ、『天界龍の宝珠』でも手に入れれば、簡単に真実を見分ける魔道具が作れるかも」

「そんなことより、仕事内容は詳しく話せ」

キナコがじろりとアルミーネを見つめる。

「ごめん、ごめん。えーと、依頼主はレステ国よ」

「ん? 炎龍の団じゃないのか?」

「炎龍の団はまとめ役ってところね。ガホンの森は広いから、団員だけじゃ足りないってことで、いくつかの団やパーティーに依頼するみたい。そのお金は炎龍の団が払うって流れかな」

「ガホンの森に神殿があるのは確実なのか?」

「炎龍の団のリーダーはそう考えてるみたい」

「……ふむ。状況によってはそのまま神殿に突入するってことか」

「でしょうね。人数を集めてるし」

アルミーネは依頼書をテーブルの上に置いた。

「出発は二日後でガホンの森の入り口で炎龍の団と合流することになるかな。だから、そのつもりで準備しておいて。私もいろんな魔法に使う素材をいっぱい持っていくから」

「了解なのだ!」

ピルンが僕の腕を掴んだ。

「ヤクモっ! すぐに『肉星亭』に行くのだ!」

「えっ? 肉星亭って肉料理を出す店だろ?」

僕はまぶたをぱちぱちと動かす。

「仕事の準備とどういう関係があるの?」

「食いだめなのだ」

ピルンが薄い胸を張った。

「今回の依頼は時間がかかるかもしれないからな。それなら、美味しいお肉を今のうちにいっぱい食べておかないといけないのだ」

「いや、いけないってことはないよ。というか、食いだめしても意味ないだろ?」

「意味はあるのだ。だから、ヤクモもつき合うのだ!」

「まあ、つき合うのはいいけど。どうせ、何か食べようと思ってたし」

僕は口元のよだれを拭っているピルンを見て、頬を緩める。

ほんと、ピルンは食べ物のことばかり考えているな。でも、それがピルンの魅力かもしれない。パーティーのムードメーカーだし。