軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

遭遇

数時間後、僕たちは町の北の端まで移動していた。その場所は深くて巨大な穴がいくつも開いていた。穴の側には造りかけの神殿があり、中央に運命の神ダリスの像が建っている。

こっちにはダリスの神殿か。信心深いのか、邪神ドールズを恐れていたからなのか。

視線を動かすと、緩やかな斜面が見える。どうやら、そこから上のダンジョンに行けるようだ。

なんとか地下都市から脱出することができそうだな。

カタ……カタカタ……。

突然、歯を鳴らすような音が聞こえ、周囲の建物の中から三百体以上の骸骨兵士たちが現れた。

骸骨兵士たちは全ての通路を塞ぎ、僕たちを取り囲む。

「全員、戦闘態勢を取れ!」

コリンヌが叫ぶと、月光の団の団員たちが各々の武器を構える。

僕、アルミーネ、ピルン、キナコも調査団の人たちを守るように骸骨兵士たちの前に立った。

さっきと違って数が多すぎる。これはまずいかもしれない。

僕は腰に提げていた魔喰いの短剣を引き抜く。

しかし、骸骨兵士たちは僕たちに近づいてこない。

ん? 攻めてこないのか?

「さっさと出てきたら?」

シルフィールが双頭光王を構えて、大きな声を出した。

「隠れてるのがバレバレなのよ。それとも、私がそっちに行くほうがいい?」

数秒後、天井が壊れた建物の中から黒い角を生やした銀髪の魔族が姿を現した。

「あなたがダグルードね?」

シルフィールがダグルードを指さす。

「そうだ。お前はハイエルフか?」

「ええ。十二英雄のシルフィールよ」

「……ふむ」

ダグルードは首を僅かに傾けて、シルフィールを見つめる。

「手に入れた武器を試すのもいいが、ハイエルフとなると殺すのは惜しいな」

「はぁ? 何言ってるの?」

シルフィールが銀色の眉を吊り上げる。

「殺されるのはあなただから」

「……ほぉ。魔族相手に強気だな」

「魔族なんて、何体も殺してるし」

シルフィールは黄金色の刃をダグルードに向ける。

「あなたもすぐに殺してあげる。地獄で私と戦ったことを後悔しなさい」

「いや、待て!」

ダグルードは右手を前に出した。

「その前に交渉をしようではないか」

「交渉? 魔族と?」

「そうだ。お前、仲間が死ぬのはイヤだろう? これだけの数の骸骨兵士に攻められたら、必ず死人が出るぞ。だが、交渉に応じればお前の仲間を生かしておいてやる」

「……話だけは聞いてあげる。さっさと言って」

「お前たちが奪った奴隷を返してもらおう。それとお前は新たに奴隷となれ。ハイエルフの体が普通のエルフとどう違うのかを調べてみたいからな」

ぴくりとシルフィールの眉が動いた。

「……そんな交渉に私が応じるとでも思ってるの?」

「お前たちにとって、非常に割の良い取引だと思ったのだが」

ダグルードは首をかしげる。

「この交渉がまとまらなければ、お前たちは全員死ぬことになる。だが、交渉が成立すれば、二十人以上が助かる。そんな算術もわからないのか?」

「計算が間違ってるわ。私たちが全員死ぬことはないから」

シルフィールは一歩前に出た。

「あなたこそ死にたくなければ、私たちを全員逃がしなさい。私のほうが、あなたより圧倒的に強いんだから」

「面白いことを言う。お前は俺より強いのか?」

「当然でしょ。私は最強なの」

「……ほぅ。最強か」

ダグルードはシルフィールをじっと見つめる。

「……面白い。お前の強さ、見てみたくなったぞ」

そう言って、胸元からポルタ文明の文字が刻まれた小さな円柱を取り出す。ダグルードが円柱のボタンを押すと、建物の中から、銀色に輝く人形が姿を現した。

人形は背丈が二メートル近くあり、ひょろりとした体形をしていた。目、耳、鼻、口はなく、光沢のある銀色の肌は鏡のように周囲の景色を映している。

「この人形は地下都市で見つけたものだ。その人形を俺が改良した。最高の素材を使ってな」

ダグルードはゆらゆらと上半身を揺らして近づいてきた人形を見つめる。

「この人形……メタリックドールにお前が勝てたら、全員を無傷で逃がしてやろう」