軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

調査団

僕たちのパーティーは地下都市の南にある神殿を調査していた。神殿にはがらんとしていて、中央には高さ十メートルを超える戦いの神バルドの像が建っている。

戦いの神バルドか。たしか神話では邪神ドールズと相討ちになって死んだんだよな。本当のことかどうかわからないけど。

「ヤクモくん」

アルミーネが足元の床を指さした。

「この床、仕掛けがあるんだけど、動かす方法がわからないの。だから、ヤクモくんにお願いしようと思って」

「お願いって、何をすればいいの?」

「あれよ」

アルミーネが壁の上部を指さす。そこには扉のようなものが見えた。

「多分、この床が動いて階段のような形になるんだと思う」

「そういうことか。わかった」

僕は紙を宙に固定させて、壁の上部にある扉までの階段を作る。

「これでいいかな?」

「うん。ばっちり」

アルミーネは僕の肩を軽く叩く。

僕たちは紙の階段を上って、壁の上部にある扉の前に立った。

アルミーネが魔道具の『万能鍵』を使って、扉の鍵を開ける。

扉の先には縦横二十メートルのがらんとした部屋があった。中には二十人以上の男女が床に座り込んでいる。年齢はばらばらで全員の首に黒い首輪がはめられていた。

この人たちは……。

「どうやら、見つけたみたいね」

アルミーネがメガネをかけた四十代の男に歩み寄った。

「調査団の人たちですよね?」

「は、はい。私はサイラス。調査団のリーダーをやってます」

サイラスの痩けた頬が動いた。

「た、助けにきてくれたんですか?」

「はい。冒険者ギルドから調査団の救出の依頼を受けたんです」

「あ、ああ。よかった。助かったんだ」

メガネの奥のサイラスの目から、涙が流れ落ちた。周囲にいた人たちも瞳を潤ませて、僕たちに歩み寄る。

「まっ、待て!」

隣にいた黒ひげの男が僕たちを指さす。

「四人だけなのか?」

「私たちのパーティーは四人だけど、他にも月光の団が地下都市にいますよ。数は二十八人だったかな」

「それじゃ足りん! 俺たちを拘束したのは魔族で強化した骸骨兵士が五百体以上いるんだ」

「やっぱり魔族が関わっているんですね」

「ああ。あの魔族……ダグルードは六魔星ゼルディアの直属の部下らしい。奴に俺たちは捕らえられて、ポルタ文明の財宝探しの手伝いをやらされているんだ」

ゼルディアの名前に僕の隣にいたキナコの体がぴくりと反応した。

ゼルディアって、キナコの村を滅ぼした魔族だ。

カチリとキナコの牙が鳴る音がした。

黒ひげの男ははめられた首輪に触れながら、アルミーネに顔を近づける。

「奴に逆らうと、この首輪が首を切断する。だから、俺たちは逃げることもできなかった。護衛していた冒険者たちも全員死んでしまったしな」

「じゃあ、残っているのは……」

「ここにいる二十三人だ」

「……そう……ですか」

アルミーネは親指の爪を唇に寄せて考え込む。

「ヤクモくん。シルフィールに連絡を取って。これは協力したほうがよさそうだから」

「わかった」

僕はズボンのポケットに手を入れ、シルフィールから受け取った立方体を取り出す。

顔に近づけ、青い金属板を指で押し込むと、立方体からシルフィールの声が聞こえてきた。

『何? もう助けが必要なの?』

「いや、そうじゃなくて、調査団の人たちを見つけたんです」

『……はぁ? あなたたちが見つけたの?』

シルフィールの声が大きくなる。

「はい。南側の神殿の中に隠し部屋があって。ただ、やっぱり魔族が関わってるみたいなので、シルフィールさんに伝えておこうと思って」

『……わかった。すぐに行くから待ってなさい』

向こうから通信が切れた。

「アルミーネ、シルフィールさんはすぐに来てくれるみたいだ」

「了解。じゃあ、こっちは首輪を外しておこうかな」

アルミーネは魔法のポーチから、細長い金属の棒を取り出した。